記事タイトル:ワーファリンのモニタリングはPT(INR)で 


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お名前: 鎌谷直之   
ワーファリンの体内濃度はCYP2C9多型により大きく影響されるそうです。
しかし、出血の副作用や必要濃度、PTなどのデータとの関連の論文は
乏しいようです。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=12496751&dopt=Abstract

だれか、やりませんか。我々はハプロタイプ解析の強力なツールを持っています。
[2003年2月22日 9時18分14秒]

お名前: 勝又康弘   
現在青山病棟に入院中のSSc、腎不全の患者さんが、入院後warfarinを導入されたところ
(5 mg/日)、TT 5%未満となり、warfarinは一時中止されましたが、本日夜(2/21)、
特に誘引なく突然大量の鼻出血を生じました。とりあえず、ボスミン綿球で圧迫止血
し、ケイツーNを点滴静注しましたが、バイアスピリンも内服していることもあって、止
血困難で、結構出血してしまいました。

まさに、このようなケースがあるので、特に導入時や増量時などは、TTでのwarfarinコ
ントロールは危険だと思います。つまり、TTは5%未満になると、4.9%も、1%も区別がつ
かず、慌ててVit.Kを投与してでも凝固を回復させなくてはならない状態なのか、それと
もとりあえず中止のみで様子をみてよさそうな状態なのかわからないのです。また、今
回の事例では、中止後2-3回TTを測定して、いずれも5%未満のままだったのですが、その
ような場合は、中止やVit.K投与によって凝固がどの程度回復してきているのかいないの
かも、わからないのです。また、下記のようなdataも、TTでは余りありませんし、仮に
あったとしても、TTは試薬や測定法で値が異なるので、それをそのまま自験例にあては
めてよいのかわからないのです。


人工弁置換術後の患者での坑凝血療法と出血の関係についての報告を2つ紹介します。

 大出血(%/年)   PT(INR)
 1.0(小出血 5.2) 1.9-3.6
 2.1(小出血 10.1) 7.4-10.8

 0.5        1.8-2.8
 1.8        2.5-3.5
 2.2        3.0-4.5
 3.6        4.0-6.0


今回の事故の前の回診でも指摘させて頂きましたが、やはり病棟ではPT(INR)で
warfarinコントロールすべきと思います。


蛇足ですが、保険点数は、PTが19、TTが38に下げられていました。また、前述していま
すが、両者を同時に測定した場合は、主たるものしか算定できません。
[2003年2月22日 4時40分8秒]

お名前: 田中 栄一   
実際の本センターの外来診療ではトロンボテストと同様に、PT(INR)も至急採血ですぐに
結果をだすことは可能ですか?

僕は、昔からの(心研ローテート時代から:人工弁置換後、毎日、トロンボテスト
を朝に測定し、夕にデーターをみてワーファリン量を調節していました。)慣例で、
今は全例至急トロンボテストを出しています。

あと、トロンボテストとPT(INR)は同時に出すと、どちらかは保険で切られるようです。
[2003年2月21日 21時38分17秒]

お名前: 勝又康弘   
おそらく、PT(INR)もトロンボテストも、検査手技や測定時間やコストは大して変わらない
と思います。ただ、同時に両方を測定すると保険では主たる方しか請求できないことか
ら、またコストも考えて、院内至急扱いはどちらかだけ(日本では多くがTT)になっている
のだと思います。

青山病院では、どちらもB2Fの検査室に届いてから20分程度で結果が出ます。

たとえば、脳塞栓症の治療/予防におけるワーファリンの至適投与量の研究は、すべてPT
(INR)でなされており、TTでどの程度にコントロールすればよいかというのは全く分かりま
せん(換算すれぱある程度の推測はできますが)。APSや血管炎でも同様の状況と思われま
す。従って、少なくとも青山病棟では、PT(INR)のfeasibilityも問題ないと思われますの
で、ワーファリンはPT(INR)でコントロールすべきと思います。

ちなみに、保険点数は、PTが22、TTが44です。
[2003年2月21日 14時29分27秒]

お名前: 山中 寿   
臨床検査項目の基本は、
Validity(正確さ)、Discrimination(識別性)、Feasibility(利便性)です。

特にFeasibilityに問題がある検査は普及しません。

TTはfeasibilityが評価されていると思いますが、PTのfeasibilityはどうでしょうか?
[2003年2月21日 12時17分15秒]

お名前: 鎌谷直之   
ワーファリンは確かCYP2C9で代謝され、これには遺伝的多型があります。
我々はこの多型を測定するのでそれによりワーファリン量を調整する
ことも考えられます。
[2003年2月21日 7時15分29秒]

お名前: 勝又康弘   
PT(INR)による経口抗凝固療法の標準的治療域としては、欧米では、深部静脈血栓の予防は
2.0 (1.5-2.5)、深部静脈血栓や肺梗塞の治療は2.5 (2.0-3.0)、非弁膜症性心房細動にお
ける脳梗塞予防は2.0 (2.0-3.0)、TIAや脳塞栓症の再発予防や反復性深部静脈血栓・肺梗
塞の治療には3.0 (2.5-4.0)、心筋梗塞を含む動脈疾患や人工弁置換後は3.5 (3.0-4.5)と
されています。但し、日本人ではこれらの基準を緩和した方が良いとも言われています。
[2003年2月20日 23時2分5秒]

お名前: 勝又康弘   
トロンボテスト(TT)は、経口抗凝固療法のモニタリングのために開発されたもので、肝で
合成されるビタミンK依存性凝固因子(第II、VII、X因子)を総体として測定するものです。
TTは、感度は低いながらも第IX因子に対する感度があり、一方、プロトロンビン時間(PT)
は、第IX因子に対する感受性がなく、かつ第V因子に対する感受性があるので、経口抗凝固
療法のモニタリングにはPTよりも有利と言われています。またTTは治療域5〜15%を敏感に
把握できるように試材に工夫がなされています。おそらくそういったことを背景として、
また慣習的に、日本では、経口抗凝固療法(ワーファリン)の評価に際しては、TTを使用し
ている施設が多いようです。

しかし、TTは施設間での成績の互換性がなく、凝固が抑制されるほど測定感度が鈍くな
り、出血合併症の監視には危険とされており、世界保健機関(WHO)や国際血栓止血学会は、
PT(INR)を使用するよう勧告しており、欧米ではPT(INR)が一般に用いられています。

PTやTTの測定値は試薬や測定法によって異なり、更にロットごとにも異なることから、WHO
は、血栓症治療の経口抗凝固療法のモニタリングを国際間で安心して施行できるように、
国際的なPT値の互換性を検討して、国際標準試薬を設定し、これと商品の試材を検定し、
それぞれの試薬感度を国際感度指数(international sensitivity index, ISI)として表示
し、各検体のPTの国際正常化指数(international normalized ratio, INR)を算出すること
を提唱しています。

例えば、自治医科大学循環器内科の検討では、PT(INR) 3.0以下ではTTとの間に直線的な相
関がありましたが、人工弁置換例で標準的とされるPT(INR) 3.0〜4.0では、相関は低く、
凝固時間の延長に対して感度が低くなっていました。また、日本で抗凝固療法の標準的治
療域とされている10
[2003年2月20日 22時50分9秒]

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