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お名前: 鎌谷直之   
Wilson JF et al. Population genetic structure of variable drug response. Nat
Genet 29, 265-269, 2001
薬物代謝酵素座位および薬物標的の多型を含む遺伝的多様性の地理的パターンはしばしば
起きる可能性がある。ここに二つの疑問がある。それは薬物の安全性と有効性の評価にお
いて人集団の構造をどう代表させるか、その構造をどう薬物反応に対応させるかの疑問で
ある。これらの疑問を我々は、(i) ヘテロなサンプル内に存在する構造を推定し、(ii)
推定された個体の構造の遺伝的クラスター間での薬物代謝変異の分布を比較し、研究し
た。我々は通常用いられる人種のラベルは遺伝的クラスターの推定には不十分で不正確で
あると、薬剤代謝酵素変異の分布により特徴付けられる薬剤代謝プロフィールはクラス
ター間で顕著な違いが見られた。しかし、人類学的歴史の複雑さにより自明のクラスタリ
ング法は存在せず、適度の度合いまでの解決も存在しない。我々の薬物代謝プロフィール
のクラスター間での比較により遺伝的な薬物反応への遺伝的構造に関して適度な程度の解
明が可能となる。
プログラムSTRUCTUREを用いる方法である。このプログラムが実際に用いられたことが面
白い。実際に世間で言われている人種と、遺伝的なクラスターとは一致しないというのが
結論である。おおよそ4つのクラスターに分けられ、A. はヨーロッパ系(エチオピアの
62%、カリブ海沿岸の黒人の21%を含む)、B. はパプアニューギニア、C. はバンツ(黒
人)、D. は中国。

Nat Genet  2001 Dec;29(4):412-7
Computational identification of promoters and first exons in the human genome.
Davuluri RV, Grosse I, Zhang MQ.
コンピュータによるプロモーターと第一エクソンの同定
CpGアイランド(プロモーターにはこの配列が多い)などを標的とし、判断木(decision
tree)を用いて同定。86%くらい正確。

Nat Genet  2001 Dec;29(4):365-71
Minimum information about a microarray experiment (MIAME)-toward standards for
microarray data.
Brazma A, Hingamp P, Quackenbush J, Sherlock G, Spellman P, Stoeckert C, Aach
J,Ansorge W, Ball CA, Causton HC, Gaasterland T, Glenisson P, Holstege FC, Kim
IF,Markowitz V, Matese JC, Parkinson H, Robinson A, Sarkans U, Schulze-Kremer S,
Stewart J, Taylor R, Vilo J, Vingron M.
マイクロアレーデータの標準化のための最小限の情報
マイクロアレーデータは互いに比較することが難しいため、これを標準化しようという論文。

Nat Genet  2001 Dec;29(4):465-8
Mutations in PTPN11, encoding the protein tyrosine phosphatase SHP-2, cause
Noonan syndrome.
Tartaglia M, Mehler EL, Goldberg R, Zampino G, Brunner HG, Kremer H, van Der
Burgt I, Crosby AH, Ion A, Jeffery S, Kalidas K, Patton MA, Kucherlapati RS,
Gelb BD.
たんぱく質チロシンフォスファターゼ(たんぱく質にATPの燐酸を結合させるたんぱく質
キナーゼにより、燐酸を付加されたたんぱく質から加水分解により燐酸を切り離す酵素)
をコードするPTPN11の突然変異によりNoonan症候群が起きる。
Noonan症候群は特徴的な顔、低身長、心臓病を特徴とする常染色体優性の遺伝病。連鎖解
析により12q24.1にマップされていた。突然変異はPTPN11のミスセンス(アミノ酸配列が
変わる)でこれは2つのSH2 (Src homology 2)ドメインを含む。
連鎖解析から原因遺伝子にたどりついた例。突然変異により機能が亢進するためという。

Nat Genet  2001 Nov;29(3):261-2
Mutations at the mitochondrial DNA polymerase (POLG) locus associated with male
infertility.
Rovio AT, Marchington DR, Donat S, Schuppe HC, Abel J, Fritsche E, Elliott DJ,
Laippala P, Ahola AL, McNay D, Harrison RF, Hughes B, Barrett T, Bailey DM,
Mehmet D, Jequier AM, Hargreave TB, Kao SH, Cummins JM, Barton DE, Cooke HJ, We
YH, Wichmann L, Poulton J, Jacobs HT.
男性不妊(男性が原因で子供ができない)の原因としてミトコンドリアのDNA polymerase
の突然変異がみつかった。
ミトコンドリアには遺伝子があり、これによりミトコンドリア独自の機能を担当してい
る。例えば、ミトコンドリアではコドンの対応(アミノ酸と三つの塩基の対応)が染色体
遺伝子と違う。これは、太古に二つの種が合体して高等生物ができたためと言われてい
る。ミトコンドリアは女性から子供に伝わり、男性に伝達されたものはそこで終わりとな
る。従って、男性不妊の突然変異がミトコンドリアにあっても、それが次の世代に伝わる
ことは無い。従って、男性においてのみ表現型を取る遺伝子は遺伝子進化に関係ない。男
性不妊の遺伝子はミトコンドリア遺伝子である限り淘汰されない。

Nat Genet  2001 Nov;29(3):270-8
Mutant protein in Huntington disease is resistant to proteolysis in affected
brain.
Dyer RB, McMurray CT.
ハンチントン病などの遺伝的神経病では三塩基繰り返し(microsatellite)のリピート数
が増えることが原因であることがわかっている。それは三塩基繰り返しがグルタミンの繰
り返しをコードすることによるらしい。このようなたんぱく質は分解に抵抗性であり、そ
れによりたんぱく質の凝集がおきて疾患を引き起こすのではないか。

Nat Genet  2001 Oct;29(2):233-7
Haplotype tagging for the identification of common disease genes.
Johnson GC, Esposito L, Barratt BJ, Smith AN, Heward J, Di Genova G, Ueda H,
Cordell HJ, Eaves IA, Dudbridge F, Twells RC, Payne F, Hughes W, Nutland S,
Stevens H, Carr P, Tuomilehto-Wolf E, Tuomilehto J, Gough SC, Clayton DG, Todd
JA.
ありふれた病気の遺伝子の同定にハプロタイプからたどる。
ありふれた病気のマッピングに全ゲノム連鎖不平衡マッピングが連鎖解析より検出力が高
いかもしれないが、その条件は多型マーカーの適当な濃度(どの程度の間隔でマーカーを
置くか)がわかり、遺伝子型決定の努力とそのような連鎖不平衡マップを作成するコスト
を下げることができれば。連鎖不平衡の程度についての異なった尺度が検討されているが
最も最近の研究でさえハプロタイプに基づいた連鎖不平衡マッピングの最も有効で経費節
減の方法がどれかを示していない。我々は九つの遺伝子の135kbの遺伝子をスキャンし122
の多型(SNPで184,000遺伝子型タイプ)を調べ、384人のヨーロッパ人についてそれぞれ
の遺伝子で頻度の高いハプロタイプを決定した。ここに我々は頻度の高いハプロタイプと
それにタグをつけるSNPが(i)近隣のマーカー間のしばしば複雑なパターンや(ii)遺伝子型
決定を少なくする(この例では122から34SNPへ)、(iii) 頻度の高い遺伝子多型を効果的
に高い感受性でスキャンするために、(iv)強い連鎖不平衡のある領域に細かいマッピング
データを供給するために用いることができるかを示す。我々の結果は現在のdbSNPの情報
は連鎖不平衡マッピングには限られた用途しかない、なぜなら多くの頻度の高いハプロタ
イプが同定できないからである。主要人種において遺伝子内と周辺のゲノムのおおよそ
10%を再タイプすることによりありふれた病気の共通変異モデルの系統的検証を助けるで
あろう。

Nat Genet  2001 Oct;29(2):229-32
High-resolution haplotype structure in the human genome.
Daly MJ, Rioux JD, Schaffner SF, Hudson TJ, Lander ES.
ヒトゲノムの高感度ハプロタイプ構造
連鎖不平衡解析は伝統的に個々のマーカーに基づいておりこれは誤った結果をしばしばも
たらした、なぜならアレルの相関を検出するための検出力はそれぞれのマーカーの特異的
な特徴例えば頻度や人口の歴史に依存しているからである。理想的には連鎖不平衡解析は
ヒトゲノムの底にあるハプロタイプの構造基づくべきであるが、その構造はよくわかって
いない。ここに我々はヨーロッパ由来の集団において5q31の500 kbの103 SNPについてハ
プロタイプ構造を分析した。結果は明確なハプロタイプブロック(数十から数百kbに広が
る)を示し、それぞれのブロックは限られた多様性を示し、その中で明確な組換えの証拠
は見られなかった。それに加え、我々はこのようなハプロタイプブロックに基づいた連鎖
不平衡マッピングのための解析モデルを開発した。もし我々の観察が一般的なら(今まで
発表されたデータはその可能性を示しているが)ヒトゲノムのハプロタイプマップを作る
ためのおおまかな手法を提供する。

Nat Genet  2001 Oct;29(2):223-8
Genetic variation in the 5q31 cytokine gene cluster confers susceptibility to
Crohn disease.
Rioux JD, Daly MJ, Silverberg MS, Lindblad K, Steinhart H, Cohen Z, Delmonte T,
Kocher K, Miller K, Guschwan S, Kulbokas EJ, O'Leary S, Winchester E, Dewar K,
Green T, Stone V, Chow C, Cohen A, Langelier D, Lapointe G, Gaudet D, Faith J,
Branco N, Bull SB, McLeod RS, Griffiths AM, Bitton A, Greenberg GR, Lander ES,
Siminovitch KA, Hudson TJ.
5q31のサイトカイン遺伝子クラスターの変異がクローン病の感受性に関係する。
連鎖不平衡マッピングはまれな疾患遺伝子の細かい場所決定に検出力の高い方法を供給す
るが、ありふれた病気には応用が多くはない。クローン病(腸の病気で比較的多い)の場
所が5q31の18cMにマップされていた。 この場所に250 kbの共通ハプロタイプの場所を見
つけた。ここはサイトカインの遺伝子クラスターの存在する部分である。ここに原因部位
があることは確実であるが、この間には多数のSNPがあり、どれが原因かは不明であっ
た。(実際にサイトカインの一つTNFを阻害する治療がクローン病治療に有効である)

Nat Genet  2001 Oct;29(2):166-73
A gene encoding a putative GTPase regulator is mutated in familial amyotrophic
lateral sclerosis 2.
Hadano S, Hand CK, Osuga H, Yanagisawa Y, Otomo A, Devon RS, Miyamoto N,
Showguchi-Miyata J, Okada Y, Singaraja R, Figlewicz DA, Kwiatkowski T, Hosler
BA, Sagie T, Skaug J, Nasir J, Brown RH Jr, Scherer SW, Rouleau GA, Hayden MR,
Ikeda JE.
GTPase調節と考えられる遺伝子が家族性筋萎縮性側索硬化症で変異している。
筋萎縮性側索硬化症(神経病で悲惨な病気)の原因遺伝子の報告。

Nat Genet  2001 Oct;29(2):160-5
The gene encoding alsin, a protein with three guanine-nucleotide exchange facto
domains, is mutated in a form of recessive amyotrophic lateral sclerosis.
Yang Y, Hentati A, Deng HX, Dabbagh O, Sasaki T, Hirano M, Hung WY, Ouahchi K,
Yan J, Azim AC, Cole N, Gascon G, Yagmour A, Ben-Hamida M, Pericak-Vance M,
Hentati F, Siddique T.
筋萎縮性側索硬化症(神経病で悲惨な病気)の原因遺伝子の報告。

Nat Genet  2001 Oct;29(2):109-11
Islands of linkage disequilibrium.
Goldstein DB.
連鎖不平衡の島
ヒト集団の連鎖不平衡パターンに関する詳細な知識は集団に基礎を置いた疾患遺伝子の
マッピングに必要な知識である。新しいデータによると連鎖不平衡は組換えのホットス
ポットにより分離された明らかなブロックに構造化されている。



Nat Genet  2001 Aug;28(4):313-4
Mutation of DNASE1 in people with systemic lupus erythematosus.
Yasutomo K, Horiuchi T, Kagami S, Tsukamoto H, Hashimura C, Urushihara M, KurodaY.
全身性エリテマトーデス(SLE)は頻度の高い自己免疫性疾患である。DNAse I (DNA加水分
解酵素 I)が欠損したマウスはSLEに類似した症状を示す。我々はDNASE1の第二エキソン
にナンセンス変異をヘテロで持つSLEの患者を二人発見した。これらの個体ではヌクレオ
ゾーム抗原に対するIgGが極めて高いという特徴があった。DNASE1の活性も低下してい
た。DNASE1の活性低下とヒトSLEの間に関係があるという仮説が支持される。

Nat Genet  2001 Aug;28(4):361-4
Experimentally-derived haplotypes substantially increase the efficiency of
linkage disequilibrium studies.
Douglas JA, Boehnke M, Gillander E, Trent JM, Gruber SB.
実験的はプロタイプ決定により連鎖不平衡解析の効率が高まる。
ヒトの複雑な形質の研究は遺伝が軽微な影響しかない場合、十分大きなサンプルサイズを
得るための費用や困難さが制限となっている。我々はconversionという、それぞれの個体
のハプロタイプを体細胞ハイブリッド形成により決定し、固体の遺伝的情報を最大化する
方法を導入した。この方法により家族のメンバーを集めてハプロタイプ決定を行う必要が
なく個々のハプロタイプを決定できる。我々は全ゲノムでこれを行い表現型決定が高価で
ある場合は通常の遺伝子型決定より、このconversionによるハプロタイピングがより効果
的で安価であることを示す。
(16番染色体長腕については、体細胞突然変異細胞の選択によりAPRT欠損症のハプロタイ
ピングが可能である。

Nat Genet  2001 Jul;28(3):261-5
Mutation of the matrix metalloproteinase 2 gene (MMP2) causes a multicentric
osteolysis and arthritis syndrome.
Martignetti JA, Aqeel AA, Sewairi WA, Boumah CE, Kambouris M, Mayouf SA, Sheth
KV, Eid WA, Dowling O, Harris J, Glucksman MJ, Bahabri S, Meyer BF, Desnick RJ.
The inherited osteolyses or 'vanishing bone' syndromes are a group of rare
disorders of unknown etiology characterized by destruction and resorption of
affected bones. The multicentric osteolyses are notable for interphalangeal
joint erosions that mimic severe juvenile rheumatoid arthritis (OMIMs 166300,
259600, 259610 and 277950). 
MMP2遺伝子の突然変異により多中心性骨溶解関節炎症候群が起きる。
常染色体劣性のサウジアラビアの関節障害の家系。原因はMMP-2の遺伝子の突然変異。

Nat Genet  2001 Jul;28(3):207-9
Consent and privacy in pharmacogenetic testing.
Robertson JA.
薬理遺伝的テストにおけるコンセントとプライバシー
薬理遺伝学的薬剤の臨床使用は治療前の患者の遺伝子型決定が必要である。このようなテ
ストは疾患の突然変異ほどはリスクはないが、それでも個人情報であり、患者の不利益に
使用される可能性がある。インフォームドコンセントと患者の秘密の遵守がこのような遺
伝子の情報についても必要である。

Nat Genet  2001 Jul;28(3):203-4
Deconstructing maize population structure.
Pritchard JK.
maize種の集団構造をくずす。
植物遺伝学では相関解析は集団構造化による偽陽性の危険のためめったに用いられない。
maise(植物の種だと思うが何か調べていない)の開花時間の研究に初めて構造化に基づ
く相関解析が行われた。この方法により独立した座位を構造化と混合の効果のコントロー
ルとして用いる。

Nat Genet  2001 Jun;28(2):178-83
A common polymorphism in the promoter of UCP2 is associated with decreased risk
of obesity in middle-aged humans.
Esterbauer H, Schneitler C, Oberkofler H, Ebenbichler C, Paulweber B, Sandhofer
F, Ladurner G, Hell E, Strosberg AD, Patsch JR, Krempler F, Patsch W.
UCP2のプロモータの頻度の高い多型が中年の肥満への低いリスクと関連している。
Uncoupling protein-2 (UCP2) が相関解析で肥満のリスクと関係していると判明。

Nat Genet  2001 May;28(1):87-91
A susceptibility locus for asthma-related traits on chromosome 7 revealed by
genome-wide scan in a founder population.
Laitinen T, Daly MJ, Rioux JD, Kauppi P, Laprise C, Petays T, Green T, Cargill
M, Haahtela T, Lander ES, Laitinen LA, Hudson TJ, Kere J.
創始者集団に全ゲノム検索で見られた喘息関連形質の第7染色体への連鎖
フィンランドの集団で喘息の連鎖解析。フィンランド、カイヌウ地区の住人は400年以内
前の創始者2000人から100000人に増えている。7p14-p15の20cMの領域が喘息、IgEの高濃
度、両方で連鎖を示した。最高連鎖はIgE濃度で(non-parametric linkage (NPL) score
3.9, P=0.0001)。

Nat Genet  2001 Apr;27(4):383-91
Sequence diversity in CYP3A promoters and characterization of the genetic basis
of polymorphic CYP3A5 expression.
Kuehl P, Zhang J, Lin Y, Lamba J, Assem M, Schuetz J, Watkins PB, Daly A,
Wrighton SA, Hall SD, Maurel P, Relling M, Brimer C, Yasuda K, Venkataramanan R
Strom S, Thummel K, Boguski MS, Schuetz E.
CYP3Aプロモーターの多型とCYP3A5発現の多型の遺伝的基礎
[2001年12月9日 16時48分26秒]

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