記事タイトル:米国人類遺伝学会 


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お名前: 谷口敦夫   
LD=連鎖不平衡 ですか?
[2002年10月19日 13時28分25秒]

お名前: 鎌谷直之   
ハプロタイプブロックの構造
ハプロタイプブロックが存在して、その中では連鎖不平衡が極めて強いということは共通
の認識になりつつある。
ハプロタイプブロックの定義は、「歴史的組み換えが無いために、その中でハプロタイプ
多様性が少ないようなゲノム領域のことを言う」
しかし、定義は同じでもアルゴリズムにより多少異なったブロックになるようである。
ブロックの中ではLDは距離に依存しない。
平均的なハプロタイプブロックの長さは10-20 kbくらいのようである。
ゲノムの60%がブロックの中に入る。50%のブロックがすべての人種で共通である。しか
し、アフリカ人に特有のハプロタイプも多い。

ブロックの中ではSNP間の相関は極めて高く、平均的なr^2はアジア人では0.67-0.87である。

X染色体では常染色体より多型が少なく、minor allele frequencyも平均的に低い。
連鎖不平衡はアフリカ人に比較してアジア人やヨーロッパ人で強く、X染色体で強い。

Tishkoffという人がマイクロサテライトを用いて連鎖不平衡の強い部分に遺伝子があると
いう。選択の証拠であるという。選択があれば若いアレルが比較的高い頻度で存在するか
ら。G6PD、CD40でテストした結果もそれを支持した。

cd40でも同様の結果が見られる。

LD decayはヨーロッパ人よりアフリカ人で速い。
ハプロタイプブロックの長さはアフリカ人では中央値10kb、平均30、コーカソイドでは中
央値17.2、平均40 kb。

ハプロタイプブロックの長さはchr6で長くchr 22, 21で短い。

アフリカ人では共通(人種)ハプロタイプの長さは特異的ハプロタイプの長さより長い。

Pritchardのグループがメキシコ系アメリカ人のstructureによる分析をしていた。
マイクロサテライトを用いた。あまり成功していない。
1. K=1,2,3,4の場合それぞれで一人一人の帰属度を図示していた。
2. 偶数染色体のデータと奇数染色体のデータを分けて示していた。
3. Kが色々の場合の尤度を計算してK=1の時最大となる。
4. K=3のとき、3角形の図で個人の帰属度を示す図を作っていた。
5. F_{ST}という値を計算していた。

Lander E. のグループが相関解析のメタ解析をしていた。相関解析の結果は偽陽性、偽陰
性が多くあるであろう。それでも一部は正しく、また人種を超えた共通原因遺伝子がある
であろうという分析を発表していた。
[2002年10月19日 7時18分0秒]

お名前: 鎌谷直之   
マウスは寿命が短く世代交代が速い。

突然変異率が世代交代にある程度比例するなら、マウスの方が時間あたりの
突然変異率は高いはず。中立座位については、分子進化速度は突然変異率
に一致するので、マウスの方が進化速度が速いはず。
[2002年10月19日 7時17分12秒]

お名前: 谷口敦夫   
マウスの遺伝子のほうがヒト遺伝子より2-3倍分子進化速度が速い(これは前からわかっ
ていた)。:
これはマウスの方が人よりも寿命が短いからですか?
[2002年10月18日 18時44分51秒]

お名前: 鎌谷直之   
今日は午前中は学会に出席。午後はGeneLogicというベンチャーを訪問しました。

フランシスコリンスが現在のゲノム解析の状況をoverviewしていた。
マウスゲノムがかなりすすんでいるらしい。
マウスゲノムの約40%はヒトゲノムにalignできる。
マウス遺伝子の99%以上はヒトゲノムにもある。しかし、少なくとも100以上の遺伝子は
マウス特有。マウスの方が遺伝子が短いが、これは欠失のため。

マウスの遺伝子のほうがヒト遺伝子より2-3倍分子進化速度が速い(これは前からわかっ
ていた)。

マウスとヒト遺伝子の違いは中立な遺伝子については正規分布、中立で無い遺伝子は
正規分布からずれる。

米国では遺伝カウンセラーが数千人いる。例えば、乳癌になりやすい遺伝子を持った
人を検査した後に、色々相談に乗るらしい。

日本人でJohns Hopkinsの遺伝カウンセラーコースに入っている人が居た。授業は難しい。
日本の医者より知識は深いかも。

GeneLogicはAffymetrixチップで患者組織の発現を見ている。Electronic Nothern blot
と言っていた。即ち、あらゆる疾患の臓器のmRNA発現情報をコンピュータに記録して
製薬会社に売っているらしい。

まわりはバイオの会社だらけで、どれももうかっているようでした。
[2002年10月18日 9時44分48秒]

お名前: 鎌谷直之   
Mountain J. Diversity of human structure. STRUCTUREを用いて解析していた。

Research of the disability for the disability by the disability.
米国は倫理もしっかりしています。

PPPについてもHPに乗せるなど広報が必要でしょう。

遺伝子検査で大衆の恐れる事は、就学、就職などでの不利。教育が必要。

大腸がんのスクリーニングがハワイで行われた。この中で、最もリスクの高い人種は日本
人だったが、中で最も関心が薄かった。

フィンランド人は遺伝に非常に関心があり、遺伝研究に協力する態勢が認められる。

SNPに関してはSNPだけでは到底だめでハプロタイプをやらないといけないと言うくらいの
雰囲気になっていました。

欠失がある場合にハプロタイプ推定でうまく検出できたという報告もありました。

現在、ハプロタイプ推定にはClark法、EMアルゴリズム(LDSUPPORTもこれです)、PHASE
法などがあるが、SSD法というPHASEの改良法が報告されていました。

SLEの家系の連鎖解析で5p15のD5S2505に連鎖が見つかったと言う報告がありました。

RAでTNFR1に相関があるという報告がありました。

この学会には明らかに中国人が極めて多いと思いました。日本人は少ないです。
なぜでしょう。中国は医学を経済戦略として見ていると感じました。
[2002年10月17日 7時53分39秒]

お名前: 鎌谷直之   
今、ボルチモアの米国人類遺伝学会に出席しています。
ものすごく大きな学会で日本の人類遺伝学会の小規模な家庭的雰囲気とは大違いです。
演題数2500, 参加者6000人,展示だけでも200という数です。

私は統計理論に興味があるので、そのような演題を中心に明日から聞きに行きます。
当センターからも久野さんと、研究生の伊藤さんが発表します。他に私の関係する演題
が3つあります。

今回は米国リウマチ学会の予演会に出席できずに申し訳ありません。
もちろん、予演会も英語ですよね。

何でリウマチ学会に出席しないかって?だから、山中先生の言われるように全員
同じ学会に出席するのは効率が悪いのでは?ただし、それは出席した人がこの欄
で報告する事が保たれることに依存していますよね。
リウマチ学会の方は斎藤、原教授にお願いします。

RAに関係する論文が6、SLEに関する論文が5つあるので聞いてきます。いずれも原因遺伝
子探索に関するものです。

インターネットはできますので用事がある時はメールでお願いします。
[2002年10月16日 14時38分32秒]

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