記事タイトル:MTX肺炎について、肺生検の必要性 


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お名前: 中島 洋   
MTXは、間質性肺炎の治療薬の一つに挙げられており、通常、UIP、NSIPでは、悪化を誘発させ
る可能性は、少ないと思われます。しかし、DAD、BOOPについては、その発症の原因として、
allergicな要素も考えられ、DAD、BOOPの悪化にMTXが関与する可能性はあるかもしれません。
この問題を解決するには、しつこいようですけど肺生検による検索が必要と思います。肉芽腫が
あるのか?、なければ、薬剤服用歴のない患者に発症したDAD、BOOPと比較して何か違いがある
のか?、など検証することが大切だと思われます(この点については、まだ誰も検討していませ
ん)。
我々の施設が、最先端の施設を目指すのであれは、いままで記載した肺に関するさまざまな
問題についても、積極的(つまるところ肺生検を施行して)に解明していく責任があると思いま
す。
[2001年4月4日 13時42分9秒]

お名前: 谷口敦夫   
詳細な報告をありがとうございました。MTX lungの病理組織像がhypersensitivityと
なっているところは、私の古い知識と同じでした。ところで、MTXがいわゆる AIP(DAD), 
NSIP, DIP, UIPを誘発する、ということは、あるのでしょうか?あるいは報告されている
のでしょうか?
[2001年4月2日 19時54分36秒]

お名前: 中島 洋   
一般に、MTX肺炎の発症は、亜急性の経過をとり、投与量、投与期間と関係なく発症する
こと、薬剤の中止と、ステロイド投与によりほぼ完全に回復すること、病巣にリンパ球を
主体とした細胞浸潤が認められることなどから、アレルギー反応によるものではないかと
考えられています。MTX肺炎の頻度については、様々な報告がありますがおよそ1〜2%(お
おいものでは5%)と考えられていますが、正確なところは不明です。しかし、各報告にお
けるMTX肺炎の診断は、どのようになされたのでしょう。MTX服用中のRA患者で、経過中、
呼吸症状が出現した場合、画像所見上、陰影が見られなかった場合でも、または、何らか
の陰影が出現した場合、全てMTX肺炎と診断していいものなのでしょうか。陰影が見られ
なかった例で、MTXの中止のみで呼吸症状が消失したとします。しかし、これが単なる感
冒を含めた軽度の感染症であったのか、MTX肺炎で画像所見では捕えることの出来なかっ
た早期の段階であったのか、その鑑別は困難と思われます。また、何らかの陰影が出現し
た場合ですが、もともと間質性肺炎が合併していた患者で、その間質性肺炎がやや増悪し
たように見えた場合では、感染症の関与があるのか、間質性肺炎の自然経過なのか、MTX
肺炎なのかについて、その鑑別には困難な場合が多くあります。間質性肺炎が無い患者
で、何らかの陰影が出現した場合についても、その陰影が一般に見られる間質性肺炎と同
様の分布(両側下肺野背側優位)を呈していた場合、MTX肺炎としていいのか、やはり間
質性肺炎の自然経過なのか、疑問が残ります。では、間質性肺炎が無い患者で、何らかの
陰影が、一般に見られる間質性肺炎とは明らかに異なった分布を呈した場合はどうでしょ
う。浸潤影、上肺〜全肺野のスリガラス影、肺門中心性の分布、気管支血管束周囲性分
布、多発結節影などさまざまな陰影がみられる可能性がありますが、これらを全てMTX肺
炎としていいのでしょうが。カリニ肺炎を含めた感染症、急性型の間質性肺炎、BOOP、好
酸球性肺炎、サルコイドーシス(肺野型)、Churg-Strauss症候群、リンパ増殖性疾患な
どさまざまな疾患との鑑別は当然必要と考えます。よって、MTX肺炎と判断するには、感
染症が否定されて(場合によっては BALが必要)、ステロイドを投与することなく、MTX
の中止のみで陰影の改善が認められた場合にはMTX肺炎と考えてまずいいものと思われま
す(このような例を呼吸器の勉強会で1例見ました)。しかし、MTX肺炎は、致死的な症例
も報告されていることから、こうした経過を観察するのは現実には困難です。現在、MTX
による間質性肺炎の診断基準としては、Searle and McKendry(改訂版)によるものが用
いられています。Major criteriaとして1、Hypersensitivity pneumonitis by 
histopathologic examination (and without evidence of pathogenic organisms) 2、
Radiologic evidence of pulmonary interstitial or alveolar infiltrates 3、Blood 
(if afebrile) and initial sputum (if produced) cultures negative for pathogenic 
organisms Minor criteriaとして1、Shortness of breath of <8 weeks duration 
2、Nonproductive cough 3、O2 saturation ≦90% at the time of initial 
evaluation on room air 4、DLco ≦70% of that predicted for age 5、WBC ≦
15.000/cmm が挙げられています。なかでも1の病理所見がdefinite caseの必須となっ
ており、NSIP, UIPについて記載した時も触れましたが、肺生検の重要性が強調されてい
ます。MTX肺炎の病理所見は、AIP(DAD), NSIP, DIP, UIPでもなく、過敏性肺臓炎として
捕えられていることが注目されるべき点です。一般に過敏性肺臓炎の病理所見では、類上
皮細胞肉芽腫の形成と胞隔炎が認められ、慢性化すると線維化(UIP)を呈します。画像所
見は、スリガラス影、浸潤影、小葉中心性粒状影など多彩であり、画像所見のみでの診断
は困難です。数あるMTX肺炎に関する報告のなかで、上記の基準に沿ってMTX肺炎を診断し
ている報告はまだ少なく、その診断基準を明確にせず報告している論文も多いよう
[2001年3月26日 19時30分12秒]

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