記事タイトル:こんな教育ができたらなあ 


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お名前: 鎌谷直之   
岡本先生、私の考えている問題とほぼ同じです。

ユークリッドの公理系は一つの公理系、しかしそれとは矛盾する
ロバチェフスキー空間、リーマン空間も同様に定義でき、同じように正しい。

実際にアインスタインの定義する現実宇宙はリーマン空間である。

小竹先生、よくわかりました。

ポッパーは、命題が正しいとは証明できないと考える。
しかし、否定することは可能であると考える。
有意義な命題とは否定することが可能である命題であると考える。
良い検証とは、その生起によって否定できる可能性が大きい実験系である。
そして、それでも否定できないということが即ち、正しい可能性が残るということであ
る。
このような否定するための検証を繰り返すことにより命題は正しさを増すと考える。

クーンは検証により正しさが増すことは無いと考える。
優れた科学者がこれまでの枠組みを全部変えてしまい、それに
追随する人たちが、それにあった証拠を、後始末的に積み重ねていく。
別に最初の命題を否定しようというのではなく、それに合ったものを
重ねていくだけだという。
そして次の科学革命が訪れるまでは一つのパラダイムが続いていく。
[2001年10月29日 17時25分1秒]

お名前: 小竹 茂   
鎌谷先生御指摘同様、私も、『ポッパーとクーンの論争の本質は公理論ではない』と理解
しております。

『真理への接近』という考えはポパーの思想を表す時に良くでてくる表現だと思います
が、ポパーの主張は、いわゆる『方法論的反証主義』によって『真理』に『接近』すると
いうことだと私は理解しております。そして、クーンはこのような科学の連続的な
進歩史観にたいする批判として『パラダイム』という概念による科学革命論を提唱した
のだと理解しております。
[2001年10月29日 14時53分36秒]

お名前: 谷口敦夫   
岡本先生の記述を読んで、鎌谷先生の「科学は神学ではないのだから...」の記述の2/3く
らいが理解できたように思います。ありがとうございました。
[2001年10月29日 9時22分10秒]

お名前: 岡本 完   
そこで、これだけは正しいという最小限を認めることにする。それを証拠に
次の正しいことを発見することにする。

鎌谷先生の
『----------
これだけは正しいと認める事柄の集合を公理系という。

それにより、正しいかどうかをテストする事柄を命題という。-----------』

という文章を見させていただき、高校2年の数学(数2B)の教科書(多分、数研出版)の『無定義用語』という記述を見て、数学の先生に質問したのを
思い出しました。私の高校時代の理解では、数学は、まさに記号論理学であり、『これだけは正しいと認める事柄』を定義するころから始まる。そして、
前述の『無定義用語』は、いわゆる『点は位置のみで大きさを持たないもの』などと定義するユークリッド幾何学に対して、点や線などの基本的な用語は
他の言葉で定義せずに共通に認識しているものとして使う、という意味だと思います。なぜなら、ある言葉の定義に、他の言葉を使い、その言葉の定義に
また他の言葉を使うので、定義を必要としない前提となる言葉群が必要になるからです。これは、公理の議論と似ています。
この『無定義用語』で定義された言葉で公理を記述することで、記号論理学は成り立っていると思いますが、私の理解は間違ってますか?
[2001年10月28日 11時32分52秒]

お名前: 赤真秀人   
私には難解過ぎますが、「小竹先生ガンバレ」。
[2001年10月26日 8時26分43秒]

お名前: 鎌谷直之   
私はポッパーとクーンの論争の本質は公理論では無いと理解しています。

クーンも公理論は大筋では認めていると理解しています。

しかし、クーンは革命的理論を証明するような研究にも意味があると認める。

ポッパーはそのようなものは研究ではないという。
[2001年10月25日 20時1分42秒]

お名前: 鎌谷直之   
『科学とはある真理に近付いていくものだ』
  全く問題にならないまとはずれな考え。
   どのように真理を定義するというのだろう。

『科学とはある一つの考え方の枠組にしかすぎない』
  すぎない、という言い方には抵抗があるが、これが公理論の本質。
[2001年10月25日 19時58分41秒]

お名前: 小竹 茂   
鎌谷先生、ありがとうございます。鎌谷先生に勧められて、私もかつてゲーデルの
『自然数の公理系に関する不完全性定理』の証明にかんしては理解しようと試みた
ことを思いだしました。

ところで、前回の私の記載に関しまして少し補足させていただきます。
科学哲学におけるカール ポパーとト−マス クーンとのあいだに
激しく繰り広げられた、1965年のいわゆる『パラダイム論争』についてわかりやす
いように書いてみたわけですが、このようなことに興味のある方は是非、小竹まで
御連絡ください。
[2001年10月24日 22時59分1秒]

お名前: 鎌谷直之   
科学は神学ではないのだから、「これは正しい」という主張
が証拠無しに認められる事はないと思います。

そうすると、今度はその証拠が正しいかどうかという問題になる。

このように論理を進めるかぎり、正しいという事は何もないことになる。
なぜなら、正しいと認めるのはその証拠が無ければならず、その
証拠が正しいと認めるのにも何かの証拠がいる。このように何か正しい
という事を無条件に認めないかぎり、何も正しいと言えるものは無いことになる。

そこで、これだけは正しいという最小限を認めることにする。それを証拠に
次の正しいことを発見することにする。

これだけは正しいと認める事柄の集合を公理系という。

それにより、正しいかどうかをテストする事柄を命題という。

どのように公理系を作ればいいかというと、

1. 公理系の中では、一つの公理が別の公理により否定されない(無矛盾性)。
2. すべての命題をその公理系により正しいか間違っているか決定できる(完全性)。

記号論理学では、このような無矛盾な完全な公理系が存在することが証明されている(完
全性定理)。

述語論理学では、このような無矛盾な完全な公理系が存在しないことが証明されている
(不完全性定理)。
[2001年10月24日 16時32分25秒]

お名前: 小竹 茂   
そもそも、『科学とは何か』、ということに関して、対立する2つの主張があ
ると思います。ひとつは、『科学とはある真理に近付いていくものだ』という
主張であり、もう一つは、『科学とはある一つの考え方の枠組にしかすぎない』
という主張です。
[2001年10月23日 19時16分12秒]

お名前: 鎌谷直之   
科学において何が真か、という疑問に対し、

論理学がどう考えているかを調べると面白いですよ。
[2001年10月23日 8時25分14秒]

お名前: 赤真秀人   
鎌谷先生:

なるほど・・・。この学生がいろいろ調べて、「果糖は禁忌とする方が妥当」と考えるのは自由
ですが、「相反する記述が同時に公開されているのは危険」との考えは危険かもしれません。
私が思うに、果糖よりブドウ糖の方がよいのではないか、とのエビデンスはあるようです(が、
禁忌となるかは?です)。
[2001年10月22日 20時49分38秒]

お名前: 鎌谷直之   
私は二つの相反する主張が同時に発表されていることは危険だとは思いません。

むしろ、それを危険だと思うことこそ危険ではないでしょうか。

本当に果糖が良いか悪いかは決まっているものではなく、それぞれの証拠を
もって比べられるものでしょう。そのどちらも多分十分な証拠ではない
のでは?
[2001年10月22日 17時56分10秒]

お名前: 赤真秀人   
たまたま「治療」という雑誌2001年10月号をみていたら、急性アルコール中毒治療に対し
、島根医大4年生が以下のようなレターを掲載していました。それに関し、同大学第三内科の小
林教授(わたしは杉浦先生のボスと認識していますが)が、チュートリアル教育の成果かも知れ
ないと述べておられます。確かに問題解決能力の育成こそ、新しい医学教育の究極目標かもしれ
ません。

急性アルコール中毒治療についてインターネットで検索したところ、大学病院医療情報ネットワ
ークでは,乳酸アシドーシスを悪化させる恐れがあるので果糖の使用は禁忌と明記されている。
一方,別のサイトでは,果糖はアルコール性低血糖を改善するとともにNADHの酸化を促してNAD
の補給を増すことでアルコール代謝を早めると言われているので、初期に10%果糖液を用いる
こともあると記載されている。医学生,医療関係者を含め多くの人の目に触れるインターネット
上で,人命に関わる急性期の治療法について,相反する記述が同時に公開されているのは危険な
ことである。・・・・・結局、この医学生がいろいろ調べた結果、果糖は禁忌とする方が妥当で
あるとの結論に達したようです(詳細を省きます)。なお、今日の治療薬2001にも果糖投与
が記載されているそうです。

ちなみに果糖投与で血漿尿酸値も上がります。その機序もレターに書かれています。

こんな教育ができたら、と思いましたが、その前に私も教育されねばならないと痛感しました。
[2001年10月22日 13時51分20秒]

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