記事タイトル:治験と新聞広告 


書き込み欄へ  ヘルプ
お名前: 赤真秀人   
以下の文章に対してのコメントです。細かいようですが、

FK506の商品名はプログラフ、タクロリムス水和物が一般名と思います。

>藤沢薬品の治験は、FK506という免疫抑制薬です。タクロリムスという商品名があり、
>移植領域でよく使われています。慢性関節リウマチにも効くのではないかと柏崎先生が
>始めた治験ですが、なぜか今度の治験には我がセンターは入っていません。効き目としては、
>MTXよりマイルドですが、効果はかなり確実なようです。
[2001年3月23日 11時19分31秒]

お名前: 山中 寿   
中島先生へ
藤沢薬品の治験は、FK506という免疫抑制薬です。タクロリムスという商品名があり、
移植領域でよく使われています。慢性関節リウマチにも効くのではないかと柏崎先生が
始めた治験ですが、なぜか今度の治験には我がセンターは入っていません。
効き目としては、MTXよりマイルドですが、効果はかなり確実なようです。
[2001年3月23日 0時27分2秒]

お名前: 赤真秀人   
一つ前と同じ文章です。改行しました。

現時点での私の意見を記します。反対意見も歓迎します。それにより明日は私の
考えが変えられているかもしれません。

1)治験の主目的は、より良い薬を使えるようにすること、と考えます。もちろん、現存
する治療薬では効果不十分な自分の受け持つ患者さんの状態を改善させたい、と
思ってその患者さんに治験薬を勧めることは間違いでないし、私もよくそうしますが、
それが第一の目的ではないと思います。その患者さんの後ろに控えている他の患者さん
(ないしは今は健康でも今後、発病するかも知れない人々、つまり私を含めて国民全体と
言っても良いのかもしれません)のために、治験は行なわれると解釈しています。

そのためにボランテイア精神を有する患者さんには(表現は悪いが)モルモットになって
いただく必要があります。モルモットではない、と考えたり発言する医師や製薬企業も
存在しているかも知れませんが、私はその意見には与しません。よって、患者さんから
治験参加の希望があれば、私はそのような「ありがたい」患者さんに対し、以下の2)を
参考にしながらですが、情報提供書を書く場合も少なくないだろうと思います。とは
言え、現在、治療がそこそこうまく言っている人には思い留まるように説得するでしょ
う。また現実には、記載の手間なども考えると、患者さんに辞めた方が良いのでは?
と言ってしまうこともあるかもしれません。

2)簡単で良いので、現時点での治験薬に関する情報(有効性、副作用、諸外国での現状
など)を製薬会社は我々に知らせてほしい。最低、新聞広告を出すことを前もって教えて
欲しいです。

3)新聞広告を出すこと自体は、法律的にも問題ないのでしょう。であれば、仕方ない。
企業によっては、インターネットで治験参加の募集をしているところもあります。

4)新聞広告するか否かは、各製薬企業の幹部が決定する戦略の一つなのでしょう。私は
その結果を注目しています。藤沢が私の知る限りでは初めて「主治医の紹介状が必要」
と明記しているのは良心的だと思います。しかし、それが患者さんを集める上で吉と出る
か凶となるかは不明であり、私は興味を持って見守っていきます。

5)主治医の紹介状は主治医の情報提供書にすぎないと考えます。治験で何か副作用が
生じた場合、その最終責任は製薬企業にあると考えます。ただし、重大な瑕疵があった
場合(治験担当医師の重大なプロトコール違反や患者さんの自殺目的等での過量内服
など)はその限りではないでしょうが、私は法律家ではないので確証はできません。
いずれにせよ、情報提供書を記載する我々には、法の上での責任は生じないと信じて
います。

6)わずか10年前までは、早期第2相試験でも患者の同意もなしに処方するのが当た前、
極論すればうまくだませる医者が治験が上手と言われる時代でした。逆に言えば、理解
の悪い患者さんがだまされやすく治験に入れられやすい人だったとも言えます。との
山中先生の大胆かつ的を射た意見に同意します。

要するに日本での広告による治験は、「さめの軟骨」に似ている気がしません?、との
鎌谷先生の意見にも反論できません。その他、基本的には谷口先生、桃原先生、中島先生
の意見や心情とほぼ同じと私は思っています。

つけたし)桃原先生がdebateに参加して下さるようになり、非常に勉強になります。
以前、ある当センターの整形外科のドクターから、内科は手術をしないので時間的に楽を
しているのではないか?、とそれとなくやんわりと言われたことがあります(私は全く
恨んではいませんヨ)。現在、内科ドクターは治験に裂かねばならない時間が非常に多く
なってきています。ことに点滴投与の治験薬は大変なんです。
[2001年3月21日 1時4分46秒]

お名前: 赤真秀人   
現時点での私の意見を記します。反対意見も歓迎します。それにより明日は私の
考えが変えられているかもしれません。

1)治験の主目的は、より良い薬を使えるようにすること、と考えます。もちろん、
現存する治療薬では効果不十分な自分の受け持つ患者さんの状態を改善させたい、と
思ってその患者さんに治験薬を勧めることは間違いでないし、私もよくそうしますが、
それが第一の目的ではないと思います。その患者さんの後ろに控えている他の患者さん
(ないしは今は健康でも今後、発病するかも知れない人々、つまり私を含めて国民全体と
言っても良いのかもしれません)のために、治験は行なわれると解釈しています。

そのためにボランテイア精神を有する患者さんには(表現は悪いが)モルモットになって
いただく必要があります。モルモットではない、と考えたり発言する医師や製薬企業も
存在しているかも知れませんが、私はその意見には与しません。よって、患者さんから
治験参加の希望があれば、私はそのような「ありがたい」患者さんに対し、以下の2)を
参考にしながらですが、情報提供書を書く場合も少なくないだろうと思います。とは
言え、現在、治療がそこそこうまく言っている人には思い留まるように説得するでしょ
う。また現実には、記載の手間なども考えると、患者さんに辞めた方が良いのでは?
と言ってしまうこともあるかもしれません。

2)簡単で良いので、現時点での治験薬に関する情報(有効性、副作用、諸外国での現状
など)を製薬会社は我々に知らせてほしい。最低、新聞広告を出すことを前もって教えて
欲しいです。

3)新聞広告を出すこと自体は、法律的にも問題ないのでしょう。であれば、仕方ない。
企業によっては、インターネットで治験参加の募集をしているところもあります。

4)新聞広告するか否かは、各製薬企業の幹部が決定する戦略の一つなのでしょう。私は
その結果を注目しています。藤沢が私の知る限りでは初めて「主治医の紹介状が必要」
と明記しているのは良心的だと思います。しかし、それが患者さんを集める上で吉と出る
か凶となるかは不明であり、私は興味を持って見守っていきます。

5)主治医の紹介状は主治医の情報提供書にすぎないと考えます。治験で何か副作用が
生じた場合、その最終責任は製薬企業にあると考えます。ただし、重大な瑕疵があった
場合(治験担当医師の重大なプロトコール違反や患者さんの自殺目的等での過量内服
など)はその限りではないでしょうが、私は法律家ではないので確証はできません。
いずれにせよ、情報提供書を記載する我々には、法の上での責任は生じないと信じて
います。

6)わずか10年前までは、早期第2相試験でも患者の同意もなしに処方するのが当た前、
極論すればうまくだませる医者が治験が上手と言われる時代でした。逆に言えば、理解
の悪い患者さんがだまされやすく治験に入れられやすい人だったとも言えます。との
山中先生の大胆かつ的を射た意見に同意します。

要するに日本での広告による治験は、「さめの軟骨」に似ている気がしません?、との
鎌谷先生の意見にも反論できません。その他、基本的には谷口先生、桃原先生、中島先生の
意見や心情とほぼ同じと私は思っています。

つけたし)桃原先生がdebateに参加して下さるようになり、非常に勉強になります。
以前、ある当センターの整形外科のドクターから、内科は手術をしないので時間的に楽を
しているのではないか?、とそれとなくやんわりと言われたことがあります(私は全く
恨んではいませんヨ)。現在、内科ドクターは治験に裂かねばならない時間が非常に多く
なってきています。ことに点滴投与の治験薬は大変なんです。
[2001年3月21日 1時2分40秒]

お名前: 鎌谷直之   
米国ではこのように治験を広告することが頻繁に行われているようです。

米国では、保健の関係で、通常の医療を受けられない人々の数がかなり
多いようです。そういう人たちは、何も医療のサービスを受けないよりも
治験でも受けたほうが良いことは確かだと思います。

しかし、日本では比較的だれでも安価に最も良い医療に近いサービス
を受けられる。この違いが大きいでしょう。

そうすると、一般の医師のところでMTXでよくコントロールされていた
患者が、広告の治験に飛びついて、効果が定まっていない薬に飛びつく
ということもありうる。要するに日本での広告による治験は、「さめの
軟骨」に似ている気がしません?
[2001年3月20日 16時24分2秒]

お名前: 中島 洋   
藤沢薬品の治験薬はどうゆうものなのですか?、新聞には、かかりつけの担当医に相談
してから連絡して下さい、といったニュアンスで記載されていましたが、患者から
相談された場合、私は何の情報も得ていません。私だけが知らないのでしょうか?、
藤沢薬品のMRは、これに関して我々に説明をしたのでしょうか(する予定があるの
でしょうか)?、患者にどう対処したらよいのかなど、医局会でお知らせして下さい。
[2001年3月20日 13時32分43秒]

お名前: 桃原茂樹   
すみません。私も先月の件もありましたのでメールさせて頂きます。

前回も全く知らずに、朝新聞広告を見てビックリしました。
本日も外来を行っていましたが、やはり患者さんから(実は一人だけ)、
質問を受けてまたまたビックリしました。
(実は、3月から読売にかえたばかりだったので、日曜日の今回の広告は知りませんでした。)

多分、当センターは患者さんとの信頼関係が強いので、あまりこの件に関して
質問が少ないのではないかと思います。(別の患者さん達が言ってました)。

ただ、何故センターに担当のMRさんがいるのに、事前にこのような情報が
無いのかも不思議な気がします。

私としては、どんな治験がなされるのかも分からず主治医が許可することは難しいと思います。
(何も情報を知らずに許可することも無責任な気がするのです。
もちろん患者さんが切望されれば拒否することはできませんが)

質問として、
もし、有害事象が起きたら誰の責任なのでしょうか。
応募したご本人になるのか、或いは許可した主治医でしょうか。
その後のfollowはどうされるのでしょう。委託された施設で行われるのでしょうか。
治験が終了した後のfollowはどこの施設で行われるのでしょう。
(中には、引き続きその施設にそのまま通うケースも当然出てきますよね。)
と、色々質問があります(私個人、或いは整形外科の何人かが知らないだけかも知れませんが)。

また、山中先生が書かれたように、「新聞であのような広告を見て、応募する人は
治験に必ずしも適していないpopulationなのではないかと思います」というご意見にも全く同感です。

今後もこのような治験の広告が新聞に載ることも充分に予想されますので、
センターの指針があればいいと思うのですが如何でしょうか?
[2001年3月20日 0時48分23秒]

お名前: 谷口敦夫   
今回の治験広告では、主治医の紹介状が必要、との記載がありました。
紹介状の記載に何らかの不備があった場合、それが原因で治験期間中に(治験薬が
原因でなくても)何らかのaccidentがあった場合、責任の所在はどうなる
のでしょうか?たとえば、患者さんから聞きだしていなかった過去の薬剤アレルギー歴
など...。
[2001年3月19日 20時14分6秒]

お名前: 山中 寿   
昨日も慢性関節リウマチを対象とした藤沢薬品の治験の広告が朝日新聞に大きく出て
いました。これを見て、治験のあり方が本質的に問われる時代になったな、と思ったの
で書きます。以下、不適切な表現があるかもしれませんが、がまんして読んで下さい。

わずか10年前までは、早期第2相試験でも患者の同意もなしに処方するのが当たり前、
極論すればうまくだませる医者が治験が上手と言われる時代でした。逆に言えば、理解
の悪い患者さんがだまされやすく治験に入れられやすい人だったとも言えます。そうし
て治験を終え、何とか承認された薬の中には効果が再証明されない薬もたくさんあり、
結局は患者さんを不幸にする結果になったのです。

しかし、この10年で医師と患者の立場はずいぶん変わりました。
今、いろいろな反省を基にして新GCPが施行され、非常に厳格な管理の下で治験が行わ
れています。それとともに、我々が被験者を選ぶ時の目もずいぶんかわりました。理解
ができない(だましやすい)人はまず対象になりません。治験を理解し、ボランティア
精神を持った人のみが対象になるでしょう。
さらに、治療法の進歩により10年前と比べるとコントロールはかなり改善しました。
代替医療を使わなくて正統派の医療に頼って良いと自信をもって言えます。要するに、
理解の良い人ほど良い治療が受けられる時代になったのだと思います。さらに、エンブ
レルやセレコキシブなどは治験薬の奪い合いになるほどの人気です。新聞広告をしたら
パニックになるでしょう。
つまり、新聞広告をすること=治験がうまく進行していないこと、という図式になりつつ
あること、新聞であのような広告を見て、応募する人は治験に必ずしも適していない
populationなのではないかと思います。
これからの医療は患者が自己責任で選ぶ時代だと言いますが、現在うまくいっている治療
を捨てて、新聞広告の治験に走る不幸な人が一人でもいればかわいそうですね。我々とし
ても、治験を受ける前に本当にメリットのある薬剤かどうかを良く見極めなければなら
ないと思います。
ご意見下さい。
[2001年3月19日 15時1分45秒]

このテーマについての発言をどうぞ。
氏名
E-mail URL


半角カナは使用しないようにしてください。文字化けします。
記事一覧に戻る