記事タイトル:RA治療のガイドライン 


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お名前: 針谷正祥   
ACR guideline

Tetracyclines.
 近年、偽薬対照無作為2重盲検試験により、tetracyclineがRAの疾患パラメーターを改
善することが示された(106-109)。1つのトライアルの結果においてminocyclineによる治
療が長期的な有用性を示し、さらにHLA shared epitope(HLA-DR4)を有する患者においては
X線上の進行を抑制した点は、重要である(110)。RAの治療におけるtetracyclineの正確な
役割を決めるためにはさらなる研究が必要である。

Cyclosporine
 Cyclosporineは単剤でRAに対して有効であり(111, 112)、D-penicillamineと同程度の有
用性を有する(113)。しかし、cyclosporineの使用はその毒性、特に高血圧と用量依存性の
腎機能低下により制限されてきた(114, 115)。Cyclosporineにより腎機能が約20%低下する
が、これは投薬中止により完全ではないがほぼ正常化する(115, 116)。Cyclosporineの使
用時には他のどのDMARDsよりも腎毒性を避けるための用量計算が重要である。多くの薬剤
がcyclosporineの血中濃度を増加させ、その結果腎毒性の危険性を上昇させる可能性があ
る。従ってcyclosporineによる治療は治療抵抗性RAに限られるべきである。

Staphylococcal protein A 免疫吸着法
 Staphylococcal protein A カラムを用いた血漿吸着法が治療抵抗性重症RAの一部の患者
に有効であることが報告されている(117)。12週間に渡り毎週治療を行なう困難さと医療
費、有効期間の短さ、および高率な副作用発生率を考慮すると、この治療法は各種DMARDs
治療に抵抗性の一部の患者に限られるべきである。

DMARDsの併用療法
 通常の一剤のDMARDによる治療ではしばしばRAの臨床症状を適切にコントロールできない
または疾患の進行を抑制できない。その結果、リウマチ医が複数のDMARDsを組み合わせて
使用する機会は増えつつある(118)。DMARDs単剤による治療ではRAの活動性が持続する患者
に対してDMARDsを順次追加併用していくべきか、発症早期から併用療法を行ない、疾患活
動性を抑制した後に順次薬剤を減量中止していくべきかは結論がでていない(119)。どちら
にせよ、DMARDs併用療法を始める場合にはリウマチ医へコンサルトするべきである。
 初期のopen-label studyではDMARDs併用療法の有効性を期待できる結果も報告されたが
(120)、複数のDMARDsの相乗効果を明確には証明できずにDMARDsの毒性が増強される結果も
しばしば認められた。しかし、これらの研究の多くが、治療群間の差を見い出すためには
必要な統計学的パワーを有していなかったか、あるいは単剤では効果が弱いDMARDsを使用
したり、至適用量以下の投与量を用いていた(119, 121, 122)。
 CyclosporinとMTXの組み合わせはMTX単剤よりも有効であるが、長期的には高血圧および
血清クレアチニンの上昇が出現した(123, 124)。無作為対照試験によりMTX+HCQ+SSZの3剤
併用がMTX単剤、HCQ+SSZの2剤併用に比較してより有効であり、副作用も少ないことが報
告されている(125)。他の無作為対照試験でもこの3剤の有効性と低毒性が確認されている
(126)。この後者の試験では、早期RA患者が対象とされ、一部の患者については低用量の
PSLが使用されていた。最近、MTX+SSZ+HCQの3剤併用が、MTX+SSZまたはMTX+HCQの2剤併
用よりも有効であることが早期および進行期RA患者で示された(128)。
 早期RA患者を対象にStep-down approachを用いたSSZ+高用量短期PSL+MTXとSSZ単剤の比
較が無作為対照試験により最近実施された(129)。SSZ単剤に比較して3剤併用群のほうがX
線写真上の進行が遅く、毒性あるいは無効による脱落例が少なく、疾患活動スコアも低値
であった。
 上記の各試験はleflunomideおよび生物学的製剤の導入、あるいはそれらと他のDMARDsと
の併用が行なわれる以前に実施されたのもである。MTXに反応不十分な患者を対象に
Infliximab、etanercept、またはleflunomideとMTXとの併用療法が検討され、これらの併
用療法の有効性が示されている。
過去数年に渡って、DMARDsの併用療法はRAの治療に貢献して来た。今後もDMARDs併用療法
の役割は発展していくであろう。
[2002年3月8日 15時17分18秒]

お名前: 田中 栄一   
全訳頂いた各先生方、お疲れさまでした。

このガイドラインには、現在のRAにおける治療やコストの問題など、日本と欧米の
治療の違いなど、大変参考になる所見がつまっており、大変、役立ちました。

リウマチセンターで診療を行っている以上、最低限の現在のRAにおける知識として、
checkしておくべきものと思います。
助手以下の各先生方も、必ず一読されるべきものと思います。

まだまだ、英語がスムーズに読めない私も、全訳が大変参考になりました。
ただでさえ、忙しい各先生方が、時間を割いて訳していただき、申し訳ないと思います
が、このセンターの診療レベルを上げるうえでも、大変よい企画(鎌谷先生のご指示)
だったと思います。
[2002年3月8日 9時39分54秒]

お名前: 鎌谷直之   
ご苦労様
[2002年3月7日 21時49分20秒]

お名前: 針谷正祥   
大急ぎで訳したものを載せます。明日校正したものを再度載せます。
ACR guideline

Tetracyclines.
近年、プラセボコントロール無作為2重盲検試験により、tetracyclineがRAの疾患パラ
メーターを改善することが示された(106-109)。1つのトライアルの結果において
minocyclineによる治療が長期的な有用性を示し、さらにHLA shared epitope(HLA-DR4)を
有する患者においてはX線常の進行を抑制した点は、重要である(110)。RAの治療における
tetracyclineの正確な役割を決めるためにはさらなる研究が必要である。

Cyclosporine
Cyclosporineは単剤でRAに対して有効であり(111, 112)、D-penicillamineと同程度の有用
性を有する(113)。しかし、cyclosporineの使用はその毒性、特に高血圧と用量依存性の腎
機能低下により制限されてきた(114, 115)。Cyclosporineによる約20%の腎機能低下は完全
ではないがほぼ投薬中止により正常化する(115, 116)。Cyclosporineの使用時には他のど
のDMARDsよりも腎毒性を避けるための用量計算が重要である。多くの薬剤がcyclosporine
の血中濃度を増加、その結果腎毒性の危険性を上昇させる可能性がある。従って
cyclosporineによる治療は治療抵抗性RAに限られるべきである。

Staphylococcal protein A 免疫吸着法
Staphylococcal protein A カラムを用いた血漿吸着法が重症治療抵抗性RAの一部の患者に
有効であることが報告されている(117)。12週間に渡り毎週治療を行なう困難さと医療費、
有効期間の短さ、および高率な副作用発生率を考慮すると、この治療法は各種DMARDs治療
に抵抗性の一部の患者に限られるべきである。

DMARDsのcombination therapy
通常の一剤のDMARDによる治療ではしばしばRAの臨床症状を適切にコントロールできないま
たは疾患の進行を抑制できない。その結果、リウマチ医が複数のDMARDsを組み合わせて使
用する機会は増えつつある(118)。DMARDs単剤による治療ではRAの活動性が持続する患者に
たいしてcombination therapyを順次追加していくべきか、発症早期からcombination 
therapyを行ない、疾患活動性を抑した後に順次薬剤を減量中止していくべきかは結論がで
ていない(119)。どちらにせよ、combination therapyを始める場合にはリウマチ医へコン
サルトするべきである。
早期のopen-label studyではcombination therapyの有効性を期待できる結果も報告されて
いるが(120)、しばしば複数のDMARDsの相乗効果を明確には証明できずにDMARDsの毒性が増
強されていた。しかし、これらの研究の多くが、治療群間の差を見い出すためには必要な
統計学的パワーを有していなかったか、あるいは単剤では効果が弱いDMARDsを使用した
り、至適用量以下の投与量を用いていた(119, 121, 122)。
CyclosporinとMTXの組み合わせはMTX単剤よりも有効であるが、長期的には高血圧および血
清クレアチニンの上昇が出現した(123, 124)。無作為対照試験によりMTX+HCQ+SSZの3剤併
用がMTX単剤、HCQ+SSZの2剤併用に比較してより有効であり、副作用も少ないことが報告
されている(125)。他の無作為対照試験でもこの3剤の有効性と低毒性が確認されている
(126)。この後者の試験では、早期リウマチの患者が対象とされ、一部の患者については低
用量のPSLが使用されていた。最近、MTX+SSZ+HCQの3剤併用が、MTX+SSAまたはMTX+HCQの
2剤併用よりも有効であることが早期および進行したRAで示された(128)。
Step-down approachを用いたSSZ+高用量短期PSL+MTXとSSZ単剤の比較が無作為対照試験に
より最近実施された(129)。SSZ単剤に比較して3剤併用群のほうがX線写真上の進行が遅
く、毒性あるいは無効による脱落例が少なく、疾患活動スコアも低値であった。
上記の各試験はleflunomideおよび生物学的製剤の導入、あるいはそれらと他のDMARDsとの
併用が行なわれる以前に実施されたのもである。MTXに反応不十分な患者を対象に
Infliximab、etanercept、またはleflunomideとMTXとの併用療法が検討され、これらの併
用療法の有効性が示されている。
過去数年に渡って、DMARDsの併用療法はRAの治療に貢献して来た。今後もDMARDs併用療法
の役割は発展していくであろう。
[2002年3月7日 20時51分39秒]

お名前: 針谷正祥   
遅れて申し訳ございません。仕事が沢山たまっていたので、ちょっと置いてしまいまし
た。明日か明後日にはupします。
[2002年3月6日 23時4分53秒]

お名前: 鎌谷直之   
RA治療の最新ガイドラインの訳を早く完成したいので
針谷先生、是非早くお願いします。
[2002年3月6日 19時31分30秒]

お名前: 鎌谷直之   
RA治療のガイドライン(ACR最新)の訳は針谷先生の
担当が残っていますので、できるだけすぐにお願いします。
[2002年3月3日 7時2分14秒]

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