記事タイトル:痛風治療ガイドラインのキモ |
排泄低下型には排泄促進薬(ベンズブロマロン)、産生過剰型には生成抑制薬(アロプ リノール)を使うことは明記されています。 1.ガイドラインでは排泄低下型と産生過剰型の区別については、外来で1時間の蓄尿 を行い尿酸産生量と尿酸クリアランスを算出して病型を分類する方法が書かれています が、マニアックな方法であるので私は個人的にはあまりお勧めしていません。 2.私は当センターでは、24時間蓄尿を行い、尿酸クリアランス<6.2mk/minで排泄低下 あり、尿酸排泄量>10mg/kg/dayで産生過剰あり、両方満たすものを混合型としていま す。ただしこれはガイドラインには採用されませんでした。 3.非専門家にお勧めなのは、随時尿の尿酸/クレアチニン(U/C)です。U/C≦0.5なら排 泄低下型である可能性が75%、>0.5なら産生過剰型である可能性が75%です。これはガ イドラインに少し書かれています。 当センターの医師の場合は、患者さんは専門医と[2002年8月22日 19時36分58秒]
山中先生:ときどき私が非専門医から質問されることとして、排泄低下型と産生過剰型を 区別する検査値について(24時間蓄尿、随時尿でも)は、明記されているのでしょう か? もちろん、参考値としてでもよいのですが。[2002年8月22日 11時13分29秒]
知識の再確認ができました。ありがとうございます。[2002年8月20日 8時58分21秒]
高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインを日本痛風・核酸代謝学会で作成しました。 全部で79ページもありますが、ごくごく抜粋したものを載せます(一部編集していま す)。 痛風治療ガイドラインの抜粋 ◆痛風の診断と高尿酸血症の定義 1)痛風は特徴的な急性関節炎である。診断基準は有用であるが、病因である尿酸塩を 関節液中に同定することにより確定する。 2)血清尿酸値が7.0mg/dl を超えるものを高尿酸血症と定義する。性・年齢を問わな い。 ◆治療目的と治療計画 1)痛風・高尿酸血症の治療目的の一つは、痛風関節炎の発症を防ぐことである。この 点に関して山中らの血清尿酸値を4.6〜6.6mg/dlにコントロールしたときが、最も痛風関 節炎の発症率が低いという成績がある。 2)尿酸沈着による合併症である腎障害(痛風腎)や尿路結石を発症、進展させないこ とはさらに重要である。 3)高尿酸血症が心・血管障害の独立した危険因子であるか否かが注目されているが、 このような観点より血清尿酸値をどのレベルにコントロールすべきかの介入試験を行っ た成績はない。 4)痛風・高尿酸血症に高脂血症、高血圧、耐糖能異常、肥満などの生活習慣病が高率 に併発することが知られているが、これらの併発症に対する十分な配慮も治療上重要と なる。 5)以上の点を鑑み、血清尿酸値を6mg/dl以下にコントロールすることが望ましいと考 える。 ◆痛風関節炎の治療 1)痛風発作の前兆期にはコルヒチンは一錠(0.5mg)用い、発作を頓挫させる。痛風発 作が頻発する場合には、コルヒチン一日1錠を連日内服させるコルヒチン・カバーが有効 である。 2)痛風発作の極期にはNSAIDが有効であるが、短期間に限り比較的多量を投与して炎症 を鎮静化させる(NSAIDパルス法)。副作用の発現に注意する。 3)NSAIDが使えない場合、NSAID投与が無効であった場合、多発性に関節炎を生じてい る場合、等には、経口にて副腎皮質ステロイド薬を投与する。 4)痛風発作時に血清尿酸値を変動させると発作の増悪を認めることが多いので、発作 中に尿酸コントロール薬を開始しないことを原則とする。 ◆高尿酸血症に対する治療 1)高尿酸血症の治療では予後に関係する肥満、高血圧、糖・代謝異常などの合併症も きたしやすい高尿酸血症の発症に関連する生活習慣を改善することが最も大切である。 2)痛風関節炎を繰り返す症例や痛風結節を認める症例は薬物治療の適応となり、尿路 結石を合併した場合はアロプリノールが適応となる。 3)治療中の血清尿酸値は6mg/dl以下に維持するのが望ましい。 4)無症候性高尿酸血症への薬物治療の導入は血清尿酸値8mg/dl以上を一応の目安とす る。種々の合併症(腎障害、腎尿路結石とその既往、高血圧、高脂血症、虚血性心臓 病、糖尿病、肥満)、家族歴を有するものは、非薬物療法に加え薬物療法を併用する。 また、9.0mg/dlを超えたものに対しては、全例薬物療法を選択する。 5) 種々の合併症がある症例は、それらの管理も並行して行い、水分摂取も含め、血清 尿酸値を上昇させない生活を送るよう指導する。 ◆高尿酸血症に対する治療 1)現在わが国で使用できる排泄促進薬は5種類あるが、産生阻害薬はアロプリノールの みである。 2)排泄促進薬の中ではベンズブロマロンが最も尿酸排泄作用が強い。 3)排泄促進薬を使用する時は尿路結石の発現に注意する。 4)アロプリノールを腎不全の患者に使用する時は腎障害の程度にあわせて投与量を調 節する。 5)排泄低下型に排泄促進薬、産生過剰型に産生阻害薬(アロプリノール)を選択する を基本原則とする。 6)中等度以上(血清クレアチニン2mg/dl以上)の腎機能障害と尿路結石の既往ないし 合併がある場合はアロプリノールを選択する。 7)病型に沿わない薬剤使用時には特に副作用の発現に注意し、使用量をできるかぎり 少量から開始し、定期的に血液、尿検査を繰り返す必要がある。[2002年8月17日 14時31分43秒]