某製薬会社に、「アルカリ性食品、酸性食品の用語使用に関する調査」をお願いしたと
ころ、次のような報告書をいただきました。
アルカリ性食品、酸性食品の用語使用に関する調査結果
1)神戸学院短期大学(栄養学 森教授)
「アルカリ性食品」、「酸性食品」は言葉としては死語となっているが、もう使用して
もかまわないと思う。
2)神戸学院大学(栄養生理学 上田教授)
「アルカリ性食品」、「酸性食品」は言葉としては死語となっているが、使用してもか
まわないと考える。しかし、血液の強い緩衝作用を考えると食品が血液pHに影響する
とは考えられないため、誤解を招かないためにも「尿アルカリ化食品」の方が適切な表
現である。
3)中村学園短期大学部(城田知子教授)
「アルカリ性食品」、「酸性食品」は現在でも死語である。その理由として、アルカリ
性食品は陽イオンのミネラルを多く含む食品を言うが、必ずしも食品中のミネラルの影
響を受けるものではないため、「アルカリ性食品」、「酸性食品」という言葉は使用す
べきでない。(添付資料1、出典:藤沢良知監修「キーワード栄養指導」朝倉書店
1996)
4)日本女子栄養大学(栄養研究所)尿アルカリ化食品
現在でも死語である。個人的には使用しても良いと思う。しかし、アルカリ性食品と
言ってもミネラルの含有量が各々異なるし、酸性食品でも同様である。ミネラルのバラ
ンスが重要であり、多いからといっても必ずしもアルカリ化が強いわけではない。従っ
て、受け取り方によって誤解を招かないためにも使用しない方がよい。尿アルカリ化食
品の方が適切と考える。<連絡先:049-282-3701>
以上、4大学の4人の専門家から電話で意見を聴取した結果、全員ともに「アルカリ性
食品、酸性食品は使用しない方がよい」との見解であった。その理由として、「陽イオ
ンのミネラルを多く含むからといって、そのミネラルがアルカリ化に影響するわけでは
無い」ので、誤解を招く用語は使用しない方がよい、とのことであった。しかし、以
前、栄養学者からクレームが出た頃に比べて、その使用に関してかなり緩和されてきて
いることも事実の様である。結論は、「アルカリ性食品」「酸性食品」という言葉は使
用しない。しかし、「尿アルカリ化食品」という言葉は、適切な表現であり、使用して
もかまわない。
特定の食品を食べて尿のpHが変わるかどうかというエビデンスは今のところはっきりし
ないようです。「はじめに言葉ありき。言葉は神であったが、偶像となり果てた神は毀
釈されることがある。」これが私の感想ですが、いかがでしょう
か?・・・・・・・・・・
[2002年3月20日 12時30分56秒]