記事タイトル:脊髄の血管 |
脊髄の血管について,更に詳しく、組織学的にご説明します. 中枢神経系(脳と脊髄)を構成する神経組織は灰白質と白質とに分けられます. 灰白質は主として神経細胞・神経膠細胞および血管で構成されます.有髄線維はきわめ て少ないです. 白質は表層にあり,主として上行性および下行性有髄線維束からなり,線維間には神経 膠細胞か存在します. 毛細血管の発達も灰白質(皮質)と白質(髄質)とで異なり,灰白質では密網をつくり豊富 な血液供給がみられるのに対して,白質では比較的疎です. 脳・脊髄の毛細血管は連続性の薄い内皮て囲まれ,隣接する内皮細胞は互いに密着帯に よって連結します.また,内皮細胞には,一般に微飲小胞はきわめて少なく,みられな いことも多いです.こういった構造によって,いわゆる血液脳関門が存在すると考えら れています.(但し,星状膠細胞が血管周囲に突起を出して,これを囲み,関門の形成に 与るともいわれています)[2002年10月23日 22時41分8秒]
脊髄には,前脊髄動脈と後脊髄動脈とが分布します. 前・後脊髄動脈は上方で椎骨動脈から起こって下行し,下方で上行頚動脈・肋間動脈・腰 動脈から枝(脊髄枝)を受けています. これらの動脈から起こる枝は椎間孔を経て前根と後根とに沿って進み,前根動脈と後根動 脈とになって脊髄に達します. 前脊髄動脈は主として脊髄の前2/3(灰白質の大部分と前索・側索)に分布し,後脊髄動脈は 後1/3に分布します.前脊髄動脈と後脊髄動脈とは脊髄の外側面で側枝によって吻合しま す.このような側枝は前索・側索の表層に分布しています.また,これらの脊髄に進入す る動脈は終動脈です. 静脈は,脊髄の表面を迂曲しながら縦走する6本の静脈となり,内椎骨静脈叢に注ぎます. ということで,本日の回診で問題になりましたが,やはり脊髄にも血管は存在していま す.[2002年10月23日 14時15分13秒]