本年は当大学にとって、激動の年であった。昨今の医療環境が、
内外ともに厳しさを増す中で、当センターは怯むことなく各方面で
活躍あるいは発展したことは誠に喜ばしい限りである。
ACR(Oct.24-29,2002;New Orleans)をふり返ると、その目玉の一つは、
何といっても生物製剤であった。総演題数が1689題の中で、生物製剤関連演題数は
107題(6.3%)を占めた。その内訳をみると、infliximab 57題、etanercept 34題、
adalimumab 11題、anakinra 4題、それに本邦のMRA 1題であった。5年以上にわたる
follow up studyなども報告されていたが、その有用性は?と改めて問われれば、
自験例も含めて「まだ海のものとも山のものともいえない」というのが率直な印象であっ
た。
明年発売予定の、RAに対する本邦初のinfliximabは、患者にどれだけの福音を
もたらすかが楽しみあると同時に、当センターが日本を代表して正しく評価する
責任があるように思われてならない。
Tbのリスクについては、米国において2001年8月担当医に対して実施した
Tb education programによって、Tb再燃のリスクが激減したことは興味深い。
本邦においても恐らく何らかの類似した手法がとられるものと思われる。
最後に、今回当センターから採用された演題数は、前年に比べて少なかったが、
発表された先生方大変ご苦労様でした。初のオーラルの中川先生、練習の成果が
よく出ていましたよ。また、もう一人のオーラル、古谷先生は非常に堂々としており、
質疑応答も完璧、また風貌からしても一見アメリカ人だったかなと疑う程でした。
最終日のオーラルということでさぞやストレスだったことでしょう。それにしても、
最終日のオーラルを当センターの誰も聞かないようなことがあってはならないと
勝手に思い込み、チケットをキャンセルまでして帰国を一日遅らせた自分は、
今からみても正解だったと思う。懐かしい思い出の一コマになっている。
本年も残り数日となってしまった。来年は当センターの一人一人がよい新春を迎えられ、
飛躍の年になるように祈りつつ、2002年よ さようなら。
[2002年12月28日 10時27分35秒]