日本腎臓学会(5/27~5/29)に出席して
5/28(月) のみ出席しました。
口演
血液透析2のsession
O-093 腹膜透析で炎症は頚動脈硬化を促進するか
46名のCAPD症例で、CRP,Lp(a),IL-1Ra, fibrinogen, homocysteineを測定。又、頸動脈エ
コーより、内膜中膜厚(IMT),プラークスコア(PS)を求めた。
CAPD症例の82.6%に頚動脈硬化が認められた。91.3%(!!本当か?)でCRPが上昇し、Lp(a)は
47.8%で高値を示した。IMTは年令、CRP,Lp(a),fibrinogenとの間に、PSは年令,CRP,ホモシ
ステインとの間に相関がみられた。特に年令が高く、CRPが上昇し、homocysteineが高い
CAPD症例で、高度な頚動脈硬化が認められた。
O-094 血液透析患者における血中ペントシジン測定
Advanced glyucation endproductの一つであるペントシジンを血液透析患者で測定し、
aorta calcification index(ACI)との関連を見た。遊離ペントシジンは血液透析により減
少したが、血中蛋白と結合したペントシジンは透析では減少しなかった。ACIがより高い透
析患者程、ペントシジンは高値であった。
AGEの中でペントシジンを選んだ理由は測定型が安定しているからだそうで、凍結血清でも
はかれるのだそうです。
O-095 培養血管平滑筋細胞におけるlysophosphatidylcholine (LysoPC) のMatrix Gla
Protein mRNA発現への影響
血管平滑筋に発現する matrix Gla protein (MGP)は血管壁の石灰化を抑制する。
Oxidized LDLによる動脈硬化にLysoPCが関与していることが知られているので、培養実験
系で、血管平滑筋細胞にLysoPCをかけてMGPの発現を検討。 >35μMで(非生理的な濃度だ
が?と質問したところ、局所ではあり得るのでは、との演者のコメント。)MGPmRNAの発現
低下。抗酸化作用のあるVitC, VitEの添加で容量依存性に発現が高まった.(LysoPCと共存
下かどうかは忘れました。)
遺伝子のsession
O-111 蛋白尿により発現誘導される近位尿細管障害関連遺伝子の解析
蛋白尿が続くこと自体が、近位尿細管の障害を引き起こすこと、また、非糖尿病性腎症に
おいて、尿蛋白は末期腎不全へ至る独立した危険因子であることが知られている。演者達
は、BSA 200mg/day を連日腹腔内投与して、一過性の尿蛋白をだすmouseの系で、
microdissection法で、近位尿細管のみをとりだし、どのようなmRNAの発現の変化があるか
検討し、データベース化した。
そのなかで、正常時にはほとんど発現が無いが、尿蛋白出現時に発現の亢進することが明
らかになった Glia maturation factor-β(GMF)に注目した。マウス蛋白負荷モデルの腎
臓凍結切片を用いてendocytosis, NFkBの活性化に関わるvalosin ミcontaining protein,
とGMFの近位尿細管での発現を、real time PCR法により定量。正常controlに比し優位な増
加を示していた。尿蛋白により、近位尿細管で、GMF及びVCPの発現が増加し、NFkBを活性
化し、cytokineやgrowth factor分泌を誘導させている可能性が考えられた。
O-112 高密度cDNA arrayを用いた腎摘ラット残遺腎に発現する遺伝子の経時的観察
残遺腎に発現亢進したものは、PAI-1,epithelin, RT1Ma, farnesoid X activated
receptor, calpine like protease , 発現低下したものは、kidney specific androgen
regulated protein。
フロアーで、このように特異的な病的状態での遺伝子発現を調べる意義に対する
discussionあり。まず、このモデルは糸球体がへって、残遺腎の糸球体に対する
hemodynamicな負荷が問題であるわけだから、そこから治療にはいる、すなわち、reninn-
aldosteron系や血行動態に作用する治療をすべき、という意見と、ある特異的な病的状態
の遺伝子発現をまとめて直接押さえ込んでしまう、という治療戦略もあってもいい、とす
る意見。後者は阪大の偉そうな先生の発言。モまあ考え方が違うからモ とおっしゃられてい
たが、私もチト阪大の先生はtoo radicalと思い苦笑しました。
[2001年5月28日 20時24分58秒]