平成14年6月22日、第43回 関東リウマチ研究会報告
1. RAの輪状披裂関節炎で手術後に呼吸困難を来たした例が報告されていた。
2. 人工膝関節手術後に偽痛風の発作を来たした例。この例は、後に緑膿菌の感染が見ら
れたという。
3. 化膿性膝関節炎の後にTKAを行ってうまく行った例の報告(森本先生)
4. 再発性多発軟骨炎に強直性脊椎炎を合併した例
5. 心筋炎、肥大型心筋症を来たしたSLEの二例が報告されていた。
6. SLEのHPSにCPが部分的にしか有効でなく、ビンクリスチンが有効であった例の報告。
7. SLE+RAで腎静脈血栓症とネフローゼの例が報告された。エコー、CTで診断されてい
た。ワーファリンで治療し改善した。文献的にも治療への反応性は良いらしい。
パルボウイルス感染のSLE4例が報告されていた。IgG抗体、IgM抗体陽性陰性、DNAPCR(末
梢血、骨髄陽性陰性)、血球貪食陽性陰性などさまざま。パルボウイルスとSLE発症との
関係はあまりはっきりしないようである。ステロイド治療によりパルボウイルスの感染が
悪化することは無いようである。パルボウイルス感染によるSLE様症状では腎障害が少な
い、などの特徴があるらしい。
一般に、ウイルスが自己免疫疾患の原因と証明するのはむずかしであろう。自己免疫では
免疫低下のためウイルスの感染がおきやすかったり、遅延しやすかったりする可能性も高
いので、ウイルス感染は原因ではなく、結果である可能性も高いからである。ウイルス感
染により自己免疫が発生するなら、自己免疫疾患に集団発生が一般的なはずである。
Cutaneous PNの報告がなされていた。このCutaneous PNという名前は良く使うけど、本当
はcutaneious polyangiitisというべきではないかと思いますがどうですか。
腸管型ベーチェット病にMDSが合併した例が報告されていた。B51陽性。このような合併は
かなり報告されているらしい。MDSが先行することが多い、眼症状が少ない、8トリソミー
が多いなどの特徴があるらしい。
無菌性髄膜炎を合併した再発性多発軟骨炎が報告されていた。12例の報告がある。CYが有
効らしい。この例ではNSAIDは使われていなかった。
脳幹脳炎を合併した再発性多発軟骨炎が報告されていた。血管炎ではないか、という。
縦隔気腫を合併したamyotrophic DMの例が報告されていた。
妊娠時HELLP(hemolysis, elevated liver enzymes, low platelet)にSLE-APSを合併した
症例。肺梗塞、脳梗塞、骨盤骨梗塞(シンチで取り込み低下)などの多彩な症状。SLE-
APSに合併するHELLPはその他のHELLPより妊娠早期に合併しやすいという。症例は急性の
間質性肺炎により死亡。
劇症型心筋炎を来たしたMCTDの報告。感冒様症状が先行して、心筋の激しい炎症があり、
急性の心原性ショックを来たす。治れば予後が良いという。ウイルス感染が疑われてい
る。本例ではステロイドパルス、IVIG、補助循環療法により救命できた。
MCTDのHPSにCYが効いた例。
胸腺に壊死性血管炎を認めたSSの例の報告。胸腺の摘出後、症状が改善した。これは限局
性のウエゲナーの可能性があるのではないか、と質問されていた。
シェーグレンで発症し蛋白尿と血小板減少を来たしたSLEの一例報告。
MTX投与中止によりホジキン様リンパ増殖性疾患の改善をみたRAの一例
[2002年6月24日 16時28分34秒]