1/10の2002年最初のカンファレンスは、針谷先生のご紹介で
藤田保健衛生大学、総合医科学研究所、難病治療共同部門教授の澤田誠先生のご講演
です。
演題名は、「特殊な細胞を使った脳疾患の非侵襲的治療法の可能性」です。
以下に概要を示します。
血液中に注入することによって脳に特異的に侵入する細胞を使って、
脳にだけ遺伝子やタンパク質、薬物を導入する技術と、その性質を応用した
脳を標的化したドラッグデリバリシステムの確立に関する研究成果を紹介
します。
最近我々は新規な2つのことを発見し相次いで新聞記事として紹介された。
その第一点は、脳に特異的な親和性をもつミクログリアの細胞株の樹立に成功
し、これを末梢血管投与することにより脳に特定遺伝子を限局して発現させる
システムを確立したことである。さらにミクログリア細胞は高い貪食能を持つ
ため、薬物や生理活性物質、タンパク質などをあらかじめとり込ませておけば、
脳に特異的な物質輸送(ドラッグデリバリ)を実現する運搬担体となりうる。
一方、第二点は脳に導入したミクログリアそのものが神経変性を抑制する働き
を持つことで、この点を応用することによってアルツハイマー病やパーキンソン
病など治療法のない神経変性疾患の新しい治療法を開発できる可能性がでて
きたことについてである。この様な細胞の特殊な性質を利用して「脳特異的バ
イオターゲティング技術」を開発した。
[2001年12月25日 17時28分0秒]