記事タイトル:RA手首、ASリハビリについての返信
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お名前: 斉藤聖二
RAの手関節の痛みについて興味深く拝見させて頂きました。治療によって炎症が消退して
も、軽症のRAでさえも 手関節痛が往々にして最後まで残存することは、日常診療で良くみ
られますね。私の場合は患者さんに、回外(外旋)を可能な限り行わないようにと話して
います。雑巾を絞る、栓を力一杯抜く、缶詰を開ける、お皿を拭くなどの通常の動作で激
痛がでるようです。これは、回外によって尺骨頭が背側に亜脱臼して、回内によって整復
される解剖学的な機構から理解できるかもしれません。家庭の主婦の患者さんには、どの
くらい守れるかは別にして、このような回外動作を極力避ける様にするとかなり効果があ
るようです。ベルト状の手関節回外予防装具をつけて頂くと、少々痛みが改善するようで
す。
[2002年3月29日 12時4分24秒]
お名前: 鎌谷直之
Baker's嚢胞の破裂の後に下腿後面に貯留嚢胞が生じることがあり、
MRIで描出できます。
当然ながら破裂前には膝関節炎と液の貯留があります。実際に膝関節炎
があり、下腿後面に疼痛性の腫脹が生じた場合、thrombophlebitis
であったことがあるでしょうか。
別項の事前確率の関係で、Baker嚢胞の破裂の可能性が強いのではないでしょうか。
[2002年2月5日 16時43分54秒]
お名前: 谷口敦夫
Baker's cystの破裂
thrombophlebitisとの鑑別が難しいと思います。Baker's cystの破裂の場合には破裂前に
膝関節自体に関節液がたまっているわけですから、破裂後は膝の腫れは少なくなります。
このことを患者さんに質問すると、そういえば...と答えてくれる場合があります。また、
破裂後ふくらはぎの腫れは時間が経つと足首の方へおりてきます。このことも問診でわか
る場合があります。破裂の場合は足首の外果、内果の下方に皮下出血が三日月状に生じる
ことがあり、これをcrescent signと称し、thrombophlebitisでは見られない所見とされて
います。しかし、多分、破裂から日にちが経ってからでないとでないのではないかと思い
ます(私見)。このあたりが鑑別のポイントではないかと思います。
ちなみに、私は疼痛が激しい場合にはステロイドを膝関節に注射しています。これはよく
効きます。破裂からある程度時間が経過している場合には安静のみ指示しています。
手首の固定
私は疼痛が強い場合にはnight splintを考慮します。尺骨頭の亜脱臼や手首の掌側亜脱臼
は患者さんが日中に使うことができる装具ではなかなか固定できないように思うのです
が。せいぜい、家事をするときに手首のサポータを勧めるくらいでしょうか。
ちなみに、腱が断裂するのは尺骨頭のメカニカルな刺激だけではなく、extensor
tenosynoviumの炎症による腱の侵食も当然あると思います。
追伸:私も「若い」カテゴリーに入ると考えております。
[2002年1月29日 19時5分54秒]
お名前: 山中 寿
谷口先生
大変良くわかりました。
尺骨頭の亜脱臼が疑われる場合には、伸筋腱の断裂の防止のために良肢位で固定するよう
な装具を使うべきとお考えですか
[2002年1月28日 20時33分27秒]
お名前: 鎌谷直之
谷口先生、ありがとうございます。非常に参考になりました。
このようなことを(もし我々には当然のことでも)書いていると若い人には
参考になることが多いのではないでしょうか。
ところでベーカーのう胞の破裂では、治療は穿刺吸引、足を高くして寝る、男性靴下など
を指導していますが、その他になにか良い方法はありますか。
また、膝関節がはれていて、その後で大腿背面が急に腫れる事があると、ベーカーのう胞
の破裂と深部静脈血栓が考えられると思いますが、後者の可能性は非常に低いと
思いますがどうでしょう。
[2002年1月28日 17時4分20秒]
お名前: 谷口敦夫
少し前の掲示板で、「RAの手首」と「ASのリハビリ」についての掲示で未書き込みであっ
たと思いますので改めて書き込みます。
私もRAの手関節炎ではあまり手首を動かさないように指導しています。手関節の背側の腫
脹は、伸筋腱の腱鞘炎あるいはECU(extensor carppi ulnaris)の腱鞘炎でしょうか。ECU
の腱鞘炎は背側というよりも手関節の尺側の腫脹になると思います。私は手指の伸筋腱が
断裂するのは尺骨頭が背側に亜脱臼し、頭の部分で腱がすり切れているためであろうと理
解しています。ですから、尺骨頭の亜脱臼が無ければ、別に動かしてもいいのではないか
とおもいますが、手首は良肢位で固まったほうが良いと思っていますので、取り立てて動
かさないように指導しています。ちなみに手首背側の伸筋腱の腱鞘炎による腫脹は手首を
背屈させると腫脹の立ち上がりが鋭角になります。これをtuck signと言ったと思います。
tuckは「縫いひだ」と言う意味のようです。尺骨遠位端が背側に隆起し、疼痛と可動域制
限を伴うものをcaput ulnae syndromeと言うそうです。
Calinの教科書によれば、ASの背中のこわばりなどは長時間restにしていると増悪し、運動
で改善することから、ASのリハビリは必要である、としています。最近のASの予後の向上
の大きな理由のひとつとしてリハビリの充実があげられています。
リハビリはAS の変形を防いだり最小限に抑えるのに有効である。
脊椎の伸展運動、深呼吸は毎日1-2回は行うべき。患者は脊椎を可能な限りまっすぐに保
ち、前かがみ姿勢はなるべく避ける、できるだけ低い枕を使いfirm mattressで寝る、
regular swimming は最も良い運動のひとつ、とのことです。以下は参考になるかもしれま
せん。
Gall V.Exercise in the spondyloarthropathies.Arthritis Care Res. 1994 Dec;7
(4):215-20. PMID: 7734480
[2002年1月25日 23時45分14秒]
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