記事タイトル:ミエリン塩基性蛋白(MBP) 


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お名前: 勝又康弘   
現在病棟に入院中のCNSループスの症例で,入院時髄液中で蛋白・細胞数の上昇に加えて
MBPの増加も認められたのですが,本日の回診で,何故に髄膜炎でMBPが増加するのかとい
う質問を受けました。

確かに,炎症が髄膜で留まっていて脳実質に及んでなければ,髄液中のMBPは増加しない気
がしますが,太田光煕は髄膜炎10例中6例に髄液中MBP陽性例を認めたと報告しており(日本
臨床.48巻増刊;607-610,1990),その中にはMSなど他の疾患よりも高値を示しているものが
少なくありません。

何故かと問われると正直に言ってよくわからないのですが,ひょっとしたらただ単に,髄
膜炎と診断されているが髄膜脳炎だっただけなのかもしれません。あるいは,髄膜炎に
伴って血液脳関門が破壊されると,程度の強弱はあれ,脳実質も傷害を受けることが少な
くないが,そこで臨床的に明らかな脳実質症状を呈するかどうかというのはcase by case
ということなのでしょうか(つまり症状がないので脳炎〜髄膜脳炎とは診断されないだ
け)。
[2002年12月25日 15時11分13秒]

お名前: 鎌谷直之   
純粋の髄膜炎では脳細胞や髄鞘は影響が無いのであまり上昇しないのでは?

ということはmbpの上昇は脳実質障害の証拠?
[2002年12月25日 14時47分0秒]

お名前: 勝又康弘   
多発性硬化症(MS)などの脱髄疾患の診断に用いられる,ミエリン塩基性蛋白(MBP)という蛋
白があります。

MBPは中枢神経ミエリン鞘に局在する特異的な蛋白として知られ,動物に実験的アレルギー
性脳炎を引き起こす誘因蛋白でもあります。

MSでは,髄液中のMBP量と臨床像との間に密接な相関がみられ,また抗MBP抗体も検出され
ます。

MSだけでなく,髄鞘を含む広範な脳実質破壊が推定される他疾患でも上昇するとされ,脊
髄症,脳血管障害,神経ベーチェット病,脳炎,髄膜炎などで高率に陽性を示すことが報
告されています。

SLE/CNSループスにおける陽性率,その診断的価値などについては,報告は殆どなく,当科
において検討中です。
[2002年12月25日 14時44分36秒]

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