記事タイトル:ちょっとした問題 


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お名前: 鎌谷直之   
確率には3つの意味があります。

サイコロをこれから振るとします。一の目の出る可能性は1/6です。
a. これはいまだ実現していない試行で、ある事象が起きる可能性を示します。
サイコロを振ってすぐに茶碗でかくします。そうすると既にサイコロの目は出ています。
しかし、あなたはそれがわかりません。しかし、あなたの心の中で一の目が実現している
可能性は1/6と考えます。
b. これは既に実現している事象に対するあなたの主観的な考えを示すものです。
この試行を何万回も行います。そのうち、どれくらいの割合で一の目が実現するでしょう。
c. これは非常に多くの試行の結果の実現した事象の全体に占める割合を示します。

このように確率には3つの意味があり、研究者により多少異なったニュアンスで捕らえら
れています。
[2002年2月2日 6時20分9秒]

お名前: 鎌谷直之   
すみません、計算間違いしていました。

当りである確率(事後確率)は、
1/10万 x 0.99 /(1/10万 x 0.99 + 99999/10万 x 0.01)=0.00980392
当ると1000万円なので、期待値は98039.2円

ではなく、
当りである確率(事後確率)は、
1/10万 x 0.99 /(1/10万 x 0.99 + 99999/10万 x 0.01)=0.000980392
当ると1000万円なので、期待値は9803.92円
[2002年2月1日 13時23分6秒]

お名前: 赤真秀人   
以下、鎌谷先生に対して、

1)大切なことは「感度、特異度」というのは検査機械に付属する概念で、宝くじや
人のように個体に付属するものではないということ。感度は「疾患の人を疾患と判定する
確率」、特異度は「疾患で無い人を疾患で無いと判定する確率」でしょう。

・・・・そうなんですが、確率と割合は混同されてしまうのです。割合で考えた方が,理
解しやすいと思えることが多いのが、凡人の施行回路ではないでしょうか。

だいたい,有病率とは割合なのか、率なのか、私には未だによくわかりません。私の頭で
は、割合と考えた方がすっきりします。割合、率、比率、比、など、しばしばこんがら
がって教科書に出てきます。実際に、相対危険率、などという誤った用語をしばしば眼に
します(相対危険か危険度でしょう)。

2)感度、特異度が非常に高くても、それが判定した結果が信頼できるかは事前確率に
よって大きく異なるということですね。

・・・・・それをこの問題で言いたかったのです。事前確率が大事であること、そして、
その事前確率は、有病率に相当することを認識する必要があります。私は、このことを常
に心がけて
診療に当たるようにしています。しかし、逆にどうしても事前確率=有病率が頭にこびり
ついてしまって、他の応用がききにくくなってしまっています。

3)たぶん、鎌谷先生も簡単な計算ミスをされています。期待値は約9800円が正しい
と思います。

ちなみに、私は、5000円でなら買います。
[2002年1月31日 17時27分30秒]

お名前: 鎌谷直之   
実はほとんどの医療の現場での決定は確率的証拠に基づいた決定です。例えば、「RAはメ
トトレキサートで治療すべきである」という命題があるとする。これがすべての人に正し
いことはありえない。どのような治療であっても、その結果が患者に良いか悪いかは確率
的にしか言えない。これまでは、これをえらい先生が「えいやっ」と決めて、多くの人は
それに従っていればよかった。
ところが、最近になって偉いといわれる先生が正しい決定を行うというわけではない、と
いうあたりまえの事が皆にわかってきた。そうすると、それぞれの医師がEBMを行うべき
であるという話になる。要するに、すべての医師がすべての情報を把握し、さらに統計学
を完全に理解せよ、と言っている。しかし、それではたまったものではないのでガイドラ
イン作りが盛んである。
ガイドラインに従っていれば一応は良いということになる。しかし、今度はガイドライン
を作る人の責任が大きくなる。もちろん彼らは統計学を理解していなければならない。し
かし、実際にはどうだろうか。米国のガイドラインなどを見ると統計学的にも非常に洗練
されているのに驚くのである。日本ではこれまで米国のガイドラインを訳せばよいという
ような傾向が強かった。これから、日本独自のガイドラインを作るとすると、その論理は
だれが構築していくのであろうか。
[2002年1月29日 16時15分8秒]

お名前: 鎌谷直之   
前の例で大切なことは「感度、特異度」というのは検査機械に付属する概念で、宝くじや
人のように個体に付属するものではないということと、感度、特異度が非常に高くても、
それが判定した結果が信頼できるかは事前確率によって大きく異なるということですね。
感度特異度とも99%の宝くじ判定機が「当る」と判定したなら絶対買いたいと思った人は
多いはず。しかし、実際に当る確率は1%以下。もともと当りくじは少ないんだから、実は
はずれくじを当りと判定する偽陽性が問題。これはたかが1%だけど、本当ははずれくじが
ものすごく多いので、偽陽性は数としては非常に多い。そのため、この宝くじ判定機の能
力はたいしたことは無いんです。

これと同じことは医療の現場ではしばしば出てきます。ある生命の危険のある病気で感度
99%の検査で陽性と出たとする(例えば心電図)。この検査の特異度は99%。これはcase-
control studyではよくあるはなし。即ち、患者群で99%陽性、対象群で99%陰性。あるひ
とがこのような検査で陽性と判断された。そうすると、その人は非常に危険な状態と思い
ますよね。しかし、そのような生命の危険のある病気はほとんどが頻度が極めて低い。実
はこの宝くじのように本当に生命の危険の在る確率は1%以下。しかし、医師はこれを根拠
に「身辺整理をしたほうが良い」といったとする。このようなことは良くあるのではない
でしょうか。また、最近は情報開示が医師の義務となりつつあるので「あなたは99%死
ぬ」なんていう事もいいかねない。
[2002年1月29日 16時9分13秒]

お名前: 鎌谷直之   
たからくじの当たる感度と特異度ということばは定義できないのではないでしょうか。感
度、特異度を定義できるのはあくまで検査機械でしょう。もちろん診断法や占い師でも類
似のことです。そして、検査機械にしても「当たるための感度、特異度」と定義しないと
本当はいけないのでしょう(この場合はどちらも99%と同じなので問題はありません)。
そして、もともと感度とは感度sennsitivity:疾患集団での検査陽性、特異度
specificity:健常集団(つまり疾患なし集団)での検査陰性、ではないのではないで
しょうか。

感度は「疾患の人を疾患と判定する確率」、特異度は「疾患で無い人を疾患で無いと判定
する確率」でしょう。そうして初めて「感度の良い機械」という感じがわかるでしょ。
確かに「疾患者の中の陽性者の頻度」は「疾患者が陽性になる確率」と一致しますし、
「疾患で無いものの中の陰性者の頻度」は「疾患で無いものが陰性と判定される確率」に
一致します。しかし、ほら、ニュアンスが違うでしょう。そして、この場合、確率の方が
ピンとくるでしょう。

さて、感度99%、特異度99%の判定機械が当たりと判定した宝くじ。もともとの当る確率
(事前確率)は100/1000万=1/10万ですよね。この機械が「当り」と判定したということ
は、もし本当に当りくじなら99%がそうなるはずです(条件確率)。もしはずれくじなら
1%がそうなるはずです(条件確率)。従って、本当に当りである確率(事後確率)は、
1/10万 x 0.99 /(1/10万 x 0.99 + 99999/10万 x 0.01)=0.00980392
当ると1000万円なので、期待値は98039.2円
しかし、100円はらわなければならないので97939.2円以下なら期待値としては得。しか
し、当る確率が1%以下の宝くじなら私は買いません。しかしきっと買う人は多いよね。
[2002年1月27日 21時11分46秒]

お名前: 山中 寿   
すみません。単純な計算間違いでしたので訂正します。

1000万/100=10万券発売されるので、1%に相当する券は1000枚存在します。
したがって期待値は、1000万円/1000枚=1万円 ですね。

算数が下手な山中でした。
[2002年1月26日 12時47分40秒]

お名前: 斎藤ま。   
赤真先生、感度、特異度のご説明、どうもありがとうございました。
また山中先生のご説明でさらに良く理解ができました。

特異度99%だと、その1枚以外の券(100万枚)に1%のあたりの可能性があって、
つまりは‥その中にはあたり券がなんと1万枚もある‥ということになるのですね‥。
賞金総額が1000万円だとすると‥ほぼ1万で割るので当たり券の賞金は1000円になると
は‥。

でももしかしたら‥本当に占い師があたるのならば‥、占い師は目の前のくじの当たる確率を見
抜いたのと
同様に‥その券を選ばなかった場合には未来の私がどのくじ券を引くかをも見抜いていたかもし
れません。
そしてそこまで楽観的に考えたならば‥当たりくじは当然1個しかないと考えます。つまり当選
金1000万円!

すなわち‥目の前にある占い師ご推奨のは100回試行すれば99回あたるくじ券、
そして‥それ以外の券でも"未来自分が引く券"は‥100回の試行中1回かならず当たるくじ券
なのです。

ということで期待値は、
ご推奨の券を選ぶ場合では 0.99 x 1000万円、で期待値は990万円
ご推奨の券以外を選ぶ場合でも、0.01 x 1000万円、で期待値は10万円
です。

この考え方の難点があるとすれば当たりくじが1枚しかない‥と考える合理的根拠が全くないっ
てトコでしょうか。
ちなみにそれでもモチロン‥くじ券は100円で買いたいです。

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ちょっと意味しているところが違うかもしれませんが‥こういう問題もありました。

ある年のNHK紅白歌合戦の視聴率は
地上波のNHK総合で50%、衛星BSで10%だったそうです。
とすると‥紅白歌合戦の視聴率は60%といえるのでしょうか?
※ただし1つの家庭で地上波放送とBS放送を両方同時に見ることはないと考えます。
[2002年1月26日 0時51分16秒]

お名前: 山中 寿   
目の前にある1枚のくじ券が当選する感度が99%、特異度が99%ということは、この
券を買って当選する確率が99%、この券以外の券を買って当たらない確率が99%というこ
とですね。

このくじ券の販売数は1000万/100=100万券ですから、これに該当する券は1万券あるので
期待値は1000円でしょうか?
ただし、私なら100円で買います。

ちなみに、宝くじなどでも感度・特異度という言葉はよく使うのでしょうか?
[2002年1月25日 19時24分28秒]

お名前: 赤真秀人   
つづりの間違い発見。sensitivityでした。

感度、特異度とも、2X2表で良く使う用語です。
[2002年1月25日 14時49分42秒]

お名前: 赤真秀人   
斎藤ま、さん、早速のご質問、有難うございます。

1)臨床統計では、一般に、
感度sennsitivity:疾患集団での検査陽性。
特異度specificity:健常集団(つまり疾患なし集団)での検査陰性、
をいいます。

2)正確を期すため?、原本にあたってみました。感度99%、特異度99%の占い師が当たり
くじだ、と言ったそのくじ券の期待値はいくらか?、でした。もちろん、この占い師はいかさま
ではない、との前提があります。
[2002年1月25日 14時46分20秒]

お名前: 斎藤ま。   
もともと1枚100円で売っているくじ券なのでやはり100円で買うのが一番嬉しいです。

ところでよくわからないのでお伺いしたいのですが、問題文中にある
感度99%、特異度99%というのはどういうものなのでしょうか?
よろしければお教えいただければ幸いです。
[2002年1月24日 22時4分56秒]

お名前: 赤真秀人   
以前、鎌谷先生がSNPと突然死の例題を出されました。それよりは、以下の問題は簡単
だと思いますが、ちょっと考えさせられます。なお、私が作成したものではなく、北大の
櫻井先生が作られたものだそうです。

賞金1000万円の当たるくじ券を1枚100円で売っています。掛け金がすべて当選者
に戻る(胴元の儲けがない)とします。今、目の前にある1枚のくじ券が当選する感度が
99%、特異度が99%であることが確実と仮定したとき、このくじ券の期待値はいくら
になるのでしょうか?

つまり、あなたはこのくじ券を、990万円で買いますか?、980万円で買います
か?、970万円なら買いますか?、200万円ぐらいなら買いますか、98万円だった
ら買いますか?、などなど。直感的,直観的でもよいです(すなわち間違えても結構で
す)ので、皆さんの回答、珍答、誤答、もちろん解答も歓迎します。
[2002年1月24日 20時36分25秒]

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