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お名前: 勝又康弘
以上から考えると、問題の病棟の患者さんは、CIDPが最も疑われると思いますが(私自身は
神経学的所見はとっておりませんし、筋電図の結果も見ていないので、回診の話から判断
してですが)、CIDPにしてもMMNにしても、診断に必須の神経伝導速度の検査がペースメー
カー植込みのため施行できないとのことで、確定は不可能です。また、私が検索した限り
では、SScとCIDPの合併の報告は皆無ですが、やはり神経伝導速度で伝導ブロックが証明さ
れていないと、症例報告も厳しいと思われます。
治療としては、腓腹神経生検などの結果を併せれば、「疑わしい」とのことで、また治療
的診断としてIVIgをやれなくはないかもしれませんが、治療効果判定が本人の自覚症状に
頼らざるを得ず、また既に筋萎縮がかなり進行しているので、相当リハビリをしないと筋
力回復は困難と思われますが、高齢でもあり、それも厳しそうです。
[2003年2月14日 11時42分1秒]
お名前: 勝又康弘
Mulitfocal motor neuropathy (MMN, 多発性運動ニューロパチー) (Lewis-Sumner-Parry
syndrome)は、持続性の伝導ブロックを伴う多巣性ニューロパチーで、緩徐進行性で非対称
性筋萎縮・脱力を認める疾患である。MMNは、運動神経障害優位のCIDPとの鑑別が問題とな
るが(CIDPの亜型とも考えられているが)、MMNはCIDPと異なり必ずしも緩解と増悪を示さ
ず、病変は神経根のような近位部に限らず散在性に認める。また、全身性の深部腱反射の
低下や脊髄液の蛋白の著明な上昇を認めない。
診断上、運動神経伝導検査で2本以上の末梢神経で持続性の伝導ブロックの証明が重要であ
る。
病因との関連は不明であるが、血清抗GM1抗体の上昇が約50%以上の症例で認める。但し、
Guillan-Barre症候群で認められるのが主にIgG型抗GM1抗体であるのに対して、MMNでは主
にIgM型が認めらる。また、抗GM1IgM抗体は、MMNに特異的にみられるものではなく、かつ
MMNの半数程度にしか認められないことから、診断にあたっての補助検査とはなり得ても
(診断基準にも含まれている)、Guillan-Barre症候群などとは異なり発症機序に関わってい
る可能性は低いとも考えられている。
治療はCIDPに準じ、CIDPと同時にIVIgの保険適応が認められた(IVIgのdoseはCIDP、MMNと
もITPと同量である:400 mg/BW kg ×5日間)。但し、ステロイド剤の有効性は低いと言わ
れている。
[2003年2月14日 11時9分30秒]
お名前: 勝又康弘
Guillan-Barre症候群の治療の第一選択は、単純血漿交換であるが、保険未適応のIVIgも同
等の治療効果があることが、大規模な対照試験で報告されている。ステロイドパルス療法
の有効性は否定されている。
[2003年2月13日 17時23分52秒]
お名前: 勝又康弘
C. jejuni腸炎後Guillan-Barre症候群の発症機序は、GM1ガングリオシド様リポ多糖を有す
るC. jejuniに感染し、免疫的寛容の破綻をきたすような遺伝的背景を有する患者におい
て、T細胞のヘルプを受けてIgG抗GM1ガングリオシド抗体が産生され、血液脳関門の脆弱な
神経筋接合部前シナプス側に発現しているGM1ガングリオシドエピトープに自己抗体が結合
し、運動ニューロン、運動神経の機能が障害されて、運動麻痺を呈すると考えられてい
る。
また、昨年12月の日本免疫学会で、獨協医大神経内科の結城は、C. jejuni腸炎後Guillan-
Barre症候群患者の急性期血清中にIgG型抗GM1抗体が上昇していること、患者から分離され
たC. jejuniリポ多糖とGM1とが糖鎖相同性を有することを報告した。更にC. jejuniリポ多
糖をウサギに感作して、軸索型Guillan-Barre症候群のモデル動物を樹立することにより、
分子相同性仮説を提唱した。
[2003年2月13日 17時23分31秒]
お名前: 勝又康弘
Guillan-Barre症候群の先行感染の病原体として各種ウイルスや細菌が知られているが、急
性下痢症の起炎菌Campylobacter jejuni (C. jejuni)がその30%を占める。
[2003年2月13日 17時23分11秒]
お名前: 勝又康弘
Guillan-Barre症候群は、上気道炎や胃腸炎の1〜3週間後、急速に進行する四肢の筋力低
下、腱反射消失を主徴とする末梢神経障害である。CIDPに対して、AIDP (accute
inflammatory demyelinating polyneuropathy)と呼ばれることもある。
[2003年2月13日 17時22分52秒]
お名前: 勝又康弘
CIDPの治療は、本邦では1999年から保険適応が認められたIVIgが第一選択である。それ以
前は可能であれば血症交換療法、できなければステロイド療法が一般的で、それらの効果
がなかったり副作用でできない場合は、azathioprineやcyclophosphamideが用いられる。
[2003年2月13日 17時22分28秒]
お名前: 勝又康弘
診断は、臨床的(典型的には、2か月以上にわたり進行する運動感覚両方の障害、四肢すべ
ての深部腱反射の低下ないし消失)・病理学的所見(神経生検で脱髄と髄鞘再生)や脳脊髄所
見(必須項目として細胞数が上昇していないこと、支持項目として蛋白上昇)より行われる
が、特に電気生理学的所見(特にいわゆる伝導ブロック)が重要である。
[2003年2月13日 17時22分3秒]
お名前: 勝又康弘
chlonic inflammatory demyelinating polyneuropathy (CIDP, 慢性炎症性脱髄性ポリ
ニューロパチー)は、慢性の経過をとる運動知覚性ニューロパチーの一群で、近位部優位の
末梢神経系有髄線維の障害による。病因については、免疫系を介するものと考えられてい
るがまだ十分には解明されていない。
[2003年2月13日 17時21分46秒]
お名前: 勝又康弘
免疫性神経疾患という点で当科領域とも関連があり、SLEとの合併例も報告されており、現
在病棟にその合併が疑われるSSc患者が入院している、CIDPについて概説します。併せて、
関連した免疫性神経疾患として、Guillan-Barre症候群とMMNについても、概説します。
[2003年2月13日 17時21分1秒]
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