記事タイトル:フリーラジカルスカベンジャー/ラジカット 


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お名前: 勝又康弘   
Hooper DC, Spitsin S, Kean RB, Champion JM, Dickson GM, Chaudhry I, Koprowski H.
Uric acid, a natural scavenger of peroxynitrite, in experimental allergic 
encephalomyelitis and multiple sclerosis.
Proc Natl Acad Sci U S A. 1998 Jan 20;95(2):675-80.
PMID: 9435251

という論文があり,これによると 実験的アレルギー性脳脊髄炎のマウスに尿酸を500mg/kg
で一日4回注射したら強力な治療効果を認めたということです。尿酸はperoxynitrite
(ONOO-)のスカベンジャーだからだそうです.そして,多発性硬化症(MS)患者の血中尿酸値
は対照より有意に低く,痛風とMSが合併した例は殆どないということです。

脳梗塞と尿酸やalloprinolの関係についてはよく知りません。でも,痛風を起こすような
ライフスタイルの方は,やはり既に脳梗塞との因果関係が言われている他の生活習慣病も
併せもつことが多いのではないかと思われます。少なくとも,一般には脳梗塞の治療や予
防にalloprinolを投与したり,尿酸を高くするよう指導することはありません。ちなみ
に,疫学的には飲酒は脳梗塞に対していわゆるJカーブ現象があると言われています。
[2003年1月11日 18時10分12秒]

お名前: 勝又康弘   
血液内科や呼吸器内科研修中に,抗癌剤(MTX,Doxorubicin,Daunorubicin,Bleomycinな
ど)の副作用による口内炎に対して,ザイロリック 500mg/水500mlでうがい薬を調剤して投
与していました。しかし,機序については知りませんでした

ちなみに,抗癌剤の直接の副作用による口内炎は,粘膜細胞の分裂を直接抑制するためだ
そうです。また,その他に,骨髄抑制よる顆粒急減症や血小板減少の結果起こる感染や出
血も口内炎の原因になるそうです。
[2003年1月11日 17時20分18秒]

お名前: 鎌谷直之   
アロプリノールはXOを抑制するからだけではなく、物質がスカベンジャーとなるようで
す。実際に抗癌剤などの副作用の口内炎などで使われているようです(認可されていない
と思います)。
[2003年1月11日 16時12分45秒]

お名前: 谷口敦夫   
血清尿酸値低値はmultiple sclelosisの危険因子であったと思います。
[2003年1月11日 14時20分59秒]

お名前: 梶山   
我々が良く使うalloprinolも、XO inhibitorであり、
superoxide の発生を抑えますよね。以前、Kidney International
に、alloprinolが腎炎モデルにある程度の抑制効果を持つというの
がありました。alloprinolも脳硬塞によいでしょうか?しかし、
尿酸が下がってしまうのでどうでしょう。
[2003年1月9日 22時31分39秒]

お名前: 鎌谷直之   
フリーラジカルのスカベンジャーは要するに還元剤(電子をあげたい物質、核好き物質)
ですね。ビタミンC、尿酸などもその作用があるはずです。だれか、尿酸の高い人にALSは
いないとか言っていました。

SODは酵素なのでスカベンジャーとは言わないのでは?
[2003年1月9日 19時50分48秒]

お名前: 勝又康弘   
まず、第21染色体上にあるsuperoxide dismutase 1 (SOD1)(フリーラジカルの防御酵素)
の変異により引き起こされることが明らかにされたのは、一部の家族性ALSについてだけ
です。但し現在では活性酸素種(reactive oxygen species, ROS)は家族性ALSのみならず
孤発性ALSにおいてもその病態に関係があるというデータが蓄積されつつあるようです。

ALSに対する現在唯一の治療薬(治験薬を除く)として、リルゾール(リルテックR)とい
う薬があります。欧米の臨床試験では実質的な生存期間(死亡や気管切開までの期間)の
有意な延長か認められましたが、日本人患者を対象にした臨床試験ではplacebo群との間
に全く差はなく,有意な効果は認められませんでした。いずれにしても、たしかにリル
ゾールは、生命予後を改善はするものの、ALSそのものを治癒することはできず、さらに
その生命予後もリルゾールにより有意に改善したとはいえ、その程度はそれほど著明な
ものではありません。そこで、本邦では「リルゾールによる治療は行うことが望まし
い.ただし効果は顕著ではないことを患者に伝えた上で患者の同意を得て投与する」と
されています。

リルゾールの作用としては、興奮性神経毒性(excitotoxicity)を持つグルタミン酸の神
経終末における放出抑制、それを通じてROSの産生を引き起こすカルシウム流入を阻止す
ることなどが知られています。

また、数年前の話ですが、ALSに対してフリーラジカル抑制目的でVitE(ユベラ)などを投
与することもありました(今でもやられているかは知りません)。
[2003年1月8日 23時44分58秒]

お名前: 梶山   
ALSはSODの遺伝子変異が原因で、SODが失活するため
superoxideが処理できず,軸索がニトロ化してニトロ
タイロシンができて、運動ニューロン障害をきたす、
と読んだことがありますが,このような慢性変性疾患
でも、継続してラジカットのような薬剤を投与するこ
とが病態改善につながることが考えられるでしょうか?
[2003年1月8日 22時33分29秒]

お名前: 勝又康弘   
脳は他の臓器に比べ酸素消費量が非常に多く虚血に対して弱い。虚血状態が発生すると血
管内皮細胞あるいは脳神経細胞ではアラキドン酸代謝系の活性化等により・OH(ハイド
ロキシラジカル)の産生が増加する。過剰のラジカルは抗酸化酵素や抗酸化物質では処理
しきれず膜脂質中の不飽和脂肪酸の過酸化反応が始まる。こうしたラジカルの連鎖反応に
よりROO・(ペルオキシラジカル)やRO・(アルコキシラジカル)が産生し内皮細胞
障害、神経細胞障害が引き起こされる。新薬ラジカット注(エダラボン)は、生体内にて
エダラボンアニオンとなりフリーラジカルに1電子を供与し無毒化するというフリーラジ
カルの消去作用を持つ薬剤である。脳梗塞発症後24時間以内に投与すれば、細胞のダ
メージを防止でき、脳梗塞後の神経症候、日常活動作動障害、機能予後などが改善がされ
る。
[2003年1月8日 15時56分30秒]

お名前: 勝又康弘    URL
生体内ではフリーラジカルの発生を防いだり、フリーラジカルを処理する物質がある。こ
のような物質はフリーラジカルスカベンジャーと呼ばれ、大別して2種類に分けられる。
グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)
などを始めとする抗酸化酵素群。もう一つはビタミンE、ビタミンC、ビタミンAなどの
非酵素小分子の抗酸化物質群である。これらのスカベンジャーはお互いに協力しあって、
フリーラジカルの攻撃から我々を守ってくれている。
[2003年1月8日 15時56分5秒]

お名前: 勝又康弘    URL
本日の回診で話題に出ました「ラジカット」という,脳梗塞急性期などに適応のある脳保
護剤(フリーラジカルスカベンジャー)の機序について解説します。
[2003年1月8日 15時55分14秒]

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