記事タイトル:MTXのsurvival benefit 


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お名前: 古谷   
勉強になりました。ありがとうございます。
[2002年9月30日 20時22分8秒]

お名前: 中島亜矢子   
先日の医局会で鎌谷先生が仰っていましたが,MTX使用者では使用前のRAがより重症で
あったにもかかわらず,非使用者と比較した死亡危険率は0.4と低く,その理由として心
血管系の死亡を70%減少させるからという論文がLancetに掲載されています。レダリーの
MRさんも喜んで医局の先生方に伝えているとは思いますが,抜粋して訳しました。


Lancet 359; 1173-77, 2002
関節リウマチ(RA)におけるMethotrexate (MTX)と死亡率:prospective study
Choi HK, Herman MA, Seeger JD, Robins JM, Wolfe F

背景と目的:RAは一般人に比し,心血管障害,感染症,悪性腫瘍などにより生命予後が短
いと言われている。MTXはよく使用される抗リウマチ薬であり,MTXを含む抗リウマチ薬の
使用はRAのmorbidityを低下させることは複数の臨床試験から報告されているが,
mortalityに対する影響はまだ不明である。そこで,RAのコホートにおいてMTXの
mortalityに与える影響をprospectiveに検討した。

方法:1974年からWichita Arthritis Centerでは2,000人以上のRA患者を登録し,初診時
から,人口統計的所見(教育レベル,喫煙歴,収入,結婚・未婚),臨床的所見(圧痛関
節数,握力,朝のこわばり,HAQ disability index score,arthritis impact 
measurement scale,VAS for pain,VAS for disease status,BMI),検査所見
(ESR,WBC,Hb,RF),セルフレポートなどを記録している。このうち,1981年1月1日か
ら1999年12月31日までの間に少なくとも2回,Wichita Arthritis Centerを受診した18歳
以上のRAで1958年のACRのRA criteriaを満たし,初診時前にMTXを使用されていない人を
抽出した。ランダム化試験のためMTXの非適応例(妊娠,挙児希望,アルコール多飲,最
近の悪性腫瘍,腎障害,慢性肝疾患,白血球減少,血小板減少,薬のコンプライアンスが
悪い)を除外した。コホートを出たとき,死亡したとき,1999年12月31日までのいずれか
もっとも早い時期までをfollow-up期間とした。
死因は可能な限りのデータを利用し,International Classification of Diseases 9th 
edition (ICD-9)に基づき,心血管系の死亡(ICD-9 codes 390-449)か心血管系以外による
死亡(ICD-9 codes<390 or >449)で記録した。
統計的解析には,MTX-userとMTX non-userの死亡危険率(mortality hazard ratio)を比較
するためweight Cox proportional hazards modelを使用した。

結果:1,240例が抽出された。Follow-up期間は平均6年で,588例がMTXを使用しており
(平均13mg,最高25mg),191例が死亡していた。死亡191例のうち, MTXは72例に使用さ
れていた。MTX使用例はRAの活動性がより重症であり,抗リウマチ薬の数も多く,プレド
ニンの使用例も多かった。(one unit?の増加はMTXを使用する率が2.4倍高くなり,3.1倍
死亡率が増加する。)Statin使用者はよりMTXを使用されていたが,statin使用者は全体
の2%であった。
MTX非使用者に対するMTX使用者の粗死亡危険率は0.8 (95% CI 0.6-1.0)であり,調整死亡
率は0.4 (0.2-0.8)であった。
191例の死亡のうち,84例 (44%)は心血管系の死亡であった。心血管系死亡に対するMTXの
危険率は0.3で,MTX非使用者では0.6であった。葉酸非併用MTX使用例,およびstatin非使
用例に限っても,心血管系の危険率には差異はなかった(0.5, 95% CI 0.3-0.9,0.4, 
0.3-0.8)。
MTX 25mg/w 以下の使用なら,15mgでも20mg使用でも,危険率に差異はなかった。
MTX使用者,抗リウマチ薬使用者,抗リウマチ薬非使用者で,死亡危険率を検討した。MTX
以外の抗リウマチ薬使用者に比べ,MTX使用者の死亡危険率は0.2(0.1-0.7)であった。MTX
以外の抗リウマチ薬使用者の心血管系の死亡の危険率は1.3,心血管系以外の死亡の危険
率は0.9 (0.4-1.9)であった。

考察:今回の検討では,MTXはより重症なRAに使用されていた。これらの要因を調整した
上
[2002年9月30日 0時19分9秒]

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