記事タイトル:薬物副作用の衝撃 


書き込み欄へ  ヘルプ
お名前: 鎌谷直之   
私の講演ではいつも出すデータですが、以下の論文を知っていますか。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=9555760&dopt=Abstract

世界中に衝撃を与え、SNP研究のために米国の製薬会社がコンソーシアムを作るきっかけ
になった論文です。

1994年のデータのメタ分析により、米国で一年間に重症の副作用を来たす人数は2百万人
以上、薬物副作用による死亡が年間10万人以上。心筋梗塞や癌に続いて、死因としては4-
6番目に多いという衝撃的な報告です。

日本ではこのような論文は無く、厚生省が時々新聞発表をして特定の薬を売れなくするの
みです。

我々はまずこのような事を事実として受け止めなければならないと思います。例えば死亡
のような副作用は確率的に起きるので、完全に予測する事は不可能です。しかし、検査を
頻繁にする事、来院回数を増やす事、医師が副作用の可能性を知っている事、患者が副作
用の可能性を知っている事などにより確率を低下させる事ができることは明らかでしょ
う。また、遺伝子を調べて副作用を予測する事もある程度できるようになるでしょう。

ただ、問題は患者さんあるいは社会の反応でしょう。副作用による死亡の可能性を知る事
により極端な患者さんは服用を止め、それにより原病が悪化して死亡する可能性もありま
す。従って、これまで医師は個人としても集団としても積極的にそれを公開する事を躊躇
しています。

しかし、抗TNFなどの治療法がでれば副作用の可能性を隠す事は不可能になるのではない
でしょうか。皆さんのご意見をうかがいたい。
[2002年5月21日 17時19分39秒]

このテーマについての発言をどうぞ。
氏名
E-mail URL
※ 書き込みはご自分がいれた改行+カラム端でも自動改行されます。

半角カナは使用しないようにしてください。文字化けします。
記事一覧に戻る