記事タイトル:薬害こそ本質に 


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お名前: 鎌谷直之   
> 医療機関の減収はわかりますが、製薬企業がこの理由でもって増収になるとは私にはあまり思えないのですがいかがでしょう。1ー2ヶ月といった超短期的にはありえそうですが。

私も最初はそう思ったのですが、こういうことなのでしょう。
外来に来る異なった患者の数がかわらず、一人の服用する薬の量が同じであれば、製薬会
社のもうけは同じでしょう。しかし、外来に来る異なった患者の数と、外来に来る患者数
に乖離が見られる可能性があります。

投薬期間が長くなると当然外来は少しすいてきます。そうするとあふれていた患者が診察
を受けられるようになったり、多少混雑が緩和されたから来院する人もいるでしょう。ま
た、医院側もあせって、患者を増やす努力をするでしょう。

そのため、外来に来る患者数は減っても、外来に来る異なった患者数は増えている可能性
があります。また、長期投与により服用されずに捨てられる薬物の量も増える可能性があ
ります。
[2002年11月25日 20時27分45秒]

お名前: 鎌谷直之   
3人で相談して、一人風呂から出て火を焚く人に後で補償する(お金などで)と約束す
る。少しずつ補償の条件を良くして行って、最初に自発的に応募した人が火を焚く。
[2002年11月24日 23時57分47秒]

お名前: 鎌谷直之   
3人で相談して、一人風呂から出て火を焚く人に後で補償する(お金などで)と約束す
る。少しずつ補償の条件を良くして行って、最初に自発的に応募した人が火を焚く。
[2002年11月24日 23時57分37秒]

お名前: 山中 寿   
赤真先生の言うところのルール作りが必要であることに賛同します。

しかし、官僚や政治家に作ってもらうルールを期待するのではなく、我々が行動する必要
があると考えます。我々でプロトタイプを作り、それが元となって法津のような社会的
ルールにつながれば、それは喜ばしいことです。

副作用対策で重要なことは、やはり教育ですが、「医師教育」「患者教育」「マスコミ教
育」にまとめられると思います(ここで言う医師には医療従事者や製薬会社も含む)。
当センターは、比較的限られた数の疾患を対象に診療しており、また慢性疾患が多いこと
が特徴ですが、これは「医師教育」「患者教育」にとっては大きなアドバンテージです。
たぶん「マスコミ教育」においてもそうでしょう。

大変なことではありますが、いつか誰かがしなければならないことです。

3人の男がドラム缶に湯を沸かして風呂に入っていた。当初は快適であったが、寒風吹き
荒む中で湯の温度がだんだん下がってくる。誰かが外へ出て火を焚かねばならないが、そ
の人は間違いなく風邪を引く。誰も出ていかないといずれは皆が風邪を引く。さてどうす
る。
[2002年11月24日 13時51分5秒]

お名前: 赤真秀人   
>私はいずれ薬害こそ医療の本質になると予想しています。

 私もそう思っています。ただ、1)薬害や薬禍と、2)いわゆる通常の副作用、を区別
して論議する必要が有ると思います。私の考えでは、1)には、キノホルム、スモン、ソ
リブジン、非加熱製剤によるHIVなどが含まれます。以上は、一応、(企業や行政側に不作
為があったとしても)実地臨床医には未知か未知に近い副作用であったと認識していま
す。さらに1)には、informed consent, choice, decision いずれでも良いですが、これ
らの過程を経ずに医師が投薬した結果、不運にも生じてしまった副作用(しかしながら、
私の頭の中で、これと後述する2)との境界ははっきりしていない)、医師が添付文書通
りに使用しなかった場合の副作用(過量投薬や適応外使用など)、など、まだ他にも有る
でしょうが、これらが含まれると考えます。

一方、2)は、リマチルで蛋白尿が出現するといった周知で添付文書にも載っているも
の、が相当すると考えます。既知の薬物相互作用による副作用も含まれます。しかも、こ
れらは理想的ないし狭義にはinformed consentが実施された上で、生じてしまったもので
す。

>数週間前の新聞で、患者が知りたいことのトップは薬の効果ではなく、薬の副作用であ
る、というアンケートの結果が発表されていました。これに比較して、医師や製薬会社は
薬の効果に最も関心があり、副作用に関心のある医師は少数でした。

私はこのアンケートの実施方法(患者の対象疾患、年齢、性、重症度、過去の病歴や薬歴
など)や結果の詳細を知りませんので、的外れになるかもしれません。ただ、患者は一般
に、効果が期待されるとの前提下で投薬されることを了解しているわけなので、患者が効
果より副作用の方を知りたいという回答に、バイアスがかかっている可能性もあるのでは
ないでしょうか。

>最近、厚生省が薬の処方期間の制限を廃止しました。これで長期の処方が増え、医療機
関はかなりの減収、製薬会社は増収だそうです。当然でしょう。

医療機関の減収はわかりますが、製薬企業がこの理由でもって増収になるとは私にはあま
り思えないのですがいかがでしょう。1ー2ヶ月といった超短期的にはありえそうです
が。

以下は、本題とは外れますが、私の考えです。

 私は、薬害にしろいわゆる副作用にしろ、その責任がすべて医師にあるとは考えていま
せんし、考えたくもありません。しかし、スモンの際に医師が完全に免責されたようなこ
とは、これからはあり得ないでしょう。将来、患者の自己責任を重視すべきかは、考えが
まとまっていませんので、書けません。今後、医師が訴えられることは増えてくるでしょ
う。ひょっとすると医師が、当該患者からだけでなく、添付文書通りに投薬していなかっ
た場合やうっかり既知の副作用を見逃してマスコミに報道された場合、製薬企業や国(国
立病院では)から損害賠償裁判を起こされる時代がくるかもしれません。弁護士がどんど
ん増えてくることもあり、医療裁判はどんどん増加すると想定しています。

 しかし、ことの本質は、裁判うんぬんでなく、今後いかに薬害や副作用で困る患者を減
らすか、無くすかの方策をたてることだと思います。そのためには、できる限りの情報開
示の徹底と、薬害に対する責任の所在をはっきりさせるルールや基準作りが必要でしょ
う。情報開示は企業が力を入れるべきですが、ルールは法律で決めるしかないのではない
でしょうか。厚生労働省がルールを作成すべきです。厚生労働省に薬の安全性に関する調
査権を持たせ、疑わしい薬剤の回収、販売中止などの決定権(とともに責任も)を持たせ
て良いと考えます。厚生労働省は、薬に関しては安全性に最も力を注ぐべきで、たとえば
新薬の有効性についての審査など、民間機関に委託して構わないと思っています(もちろ
ん、その後、役人が権限と責任をもって採否を最終判断すればよいでしょう)。情報開示
に非協力的な企業は、残念ながら雪印食品のように淘汰されてしまうでしょう。

 医師は積極的に薬の安全性に注目していくべきです。特に未知の薬害や副作用を発見す
るのには、それなりの臨床能力が必要ですから、研鑽を積まないといけません。製薬企業
とも連携し、情報をオープンにすることに協力しなければなりません。この点に関し、努
力した医師や企業にはなにかしらのincentiveを与えるか、万一、裁判になった際に一定範
囲内は免責する、などのこれまた基準かルールつくりを役人や政治家に考えて頂きたいも
のです。

話の範囲をグット狭めて、当センターにおける薬の安全性に関して.......
 将来のことですが、病態生理学、臨床薬理学に造詣の深い薬剤師を積極的に活用するこ
とはできないでしょうか? その際、きちんとしたskillを有していれば、しかるべきポス
ト(教授、助教授、講師など)を与えるべきでしょう。
 医師側も、臨床薬理学、統計学などに常に興味を持ち、診療、研究、教育に携わってい
くことが必要と思います。薬学部の中には、こういった臨床経験を有する医師を常勤の教
育かつ研究職(教授など)として欲している大学がいくつもかはわかりませんがけっこう
有るようです。いずれ患者、国民のために仕事をする薬の安全性(と有効性も)に強い薬
剤師を自ら育てることができます。誤解を恐れずあえて記載すると、「自己免疫」の研究
が「自己満足」に陥ってしまう前に、手を挙げるのも一方かと思いますが皆さんどうで
しょう。
[2002年11月24日 12時15分21秒]

お名前: 山中 寿   
賛同と反論と提案です。

患者意識の高揚(進歩?)とともに副作用が重要視されていくことは間違いなく、イン
ターネットの普及がそれを加速させることも間違いありません。したがって、医師の意
識も変化せざるを得ないことは誰しも認めるところだと思います。

私は、治療方針や治療手段に関して患者側に自己責任を持たせることが重要だと思いま
す。鎌谷先生の言うところの「責任逃れ」と同義ですが、少しはsophisticatedされた表
現と思います。

医師が患者の人生の責任をとれるわけが無く、患者の人生を決定しかねないことに関し
て医師が責任を持つことは不可能です。この意味で、informed consentは過渡期の概念
であり、いずれはinformed choiceが重要な概念になると思います。もちろん「先生にお
任せします」も患者の自己責任に基づく選択です。

Informed choiceの実現のためには、各々の選択をした場合の予後予測の提示が必要であ
り、そのために確率統計が必要なことは当然理解できます。これはEBMそのものです。

ひとつの方法として、まずいくつかのプロトタイプを準備しておきます。
・中年の女性。関節炎発症後6か月でACR criteriaを満たす。DMARDをすぐ開始した場合
と6か月間経過を見た場合の、
1)薬剤の有効率と副作用の頻度
2)寛解する可能性
3)10年以内に人工関節置換が必要になる可能性
これを例示しながら、その事例と目の前の患者の差異を説明します。目の前の患者は妊
娠希望かもしれない、軽度のIPがあるかもしれない、RAの家族歴があるかもしれない、
そこには医師としての専門的判断も入れるべきでしょう。また説明できないこともある
でしょう。極めて神経質な性格かもしれない、医療不信を持っているかもしれな
い・・・

ただし、問題点は、
1)臨床の場で医師が直面する状況はあまりにも複雑で、予後予測が数値化できない状
況は非常に多い。数値化できる場合というのは逆に少ないかもしれない。
2)メリットとデメリットは比較できない。有効性50%・副作用頻度5%の治療法と有効
性30%・副作用頻度0.1%の治療法の優劣は問えない。
3)患者も医師も確率が理解できていない(ゼロリスク症候群の存在)
4)患者の選択に及ぼす「環境要因」は極めて多い。

もっとあると思いますが、今思いついたままに列挙しました。
[2002年11月22日 11時25分30秒]

お名前: 鎌谷直之   
私はいずれ薬害こそ医療の本質になると予想しています。

日本でも薬害エイズやソリブジン事件など、薬害が話題になることは多いですよね。

数週間前の新聞で、患者が知りたいことのトップは薬の効果ではなく、薬の副作用であ
る、というアンケートの結果が発表されていました。これに比較して、医師や製薬会社は
薬の効果に最も関心があり、副作用に関心のある医師は少数でした。

医師は自分の行為で患者が不幸になったという結果を認めたくないので、目をつぶりたい
のだと思います。しかし、このまま医師と患者の関心が乖離した状態が続くとおそらく大
変なことになる。

むしろ、医師、特に内科医の役割は副作用を防ぐことが最も重要とは言えないでしょう
か。もし副作用を無視するのであれば、病名さえ確定すれば、同じ薬をずっと与えること
も可能になるかも知れません(多少の増減は必要でしょうが)。

最近、厚生省が薬の処方期間の制限を廃止しました。これで長期の処方が増え、医療機関
はかなりの減収、製薬会社は増収だそうです。当然でしょう。

また、大正製薬の社長は、医師の処方無しに買える薬を増やす運動を強めることを表明し
ています。そのため、患者が判断できるような説明書の充実に力を入れるそうです。

この際、医師は薬には必ず副作用があり、時として重大であることを認め、説明すること
が大切ではないでしょうか。上記のような、処方期間の延長や患者の判断で買える薬物の
増加により副作用が増加することを訴えるべきではないでしょうか。

大正製薬社長は患者が自己判断で薬を買うことこそ、患者本位の医療だと考えていると思
います。しかし、その判断こそ医師の技術であることを訴え、その代償が重大な副作用の
増加であることを訴えるべきだと思います。

しかし、そうするとおそらく医師の処方する薬による重大な副作用の実態も明らかにな
る。それを認める覚悟が必要でしょう。

医師の行為により患者が不幸になる(あるときには死に至る)ことを認めるならば、その
論理付けは不可欠でしょう。それは確率の問題になり、起きうる結果の重大さとその結果
が起きる確率から判断すべきということになると思います。そして、それぞれの確率ので
きるかぎり正確な把握が必要ということになります。

(また鎌谷先生はすぐそっちに持っていくという非難をおそれずにいうと)医師はすべて
確率論者でなければならないというのが私の主張です。

もちろん確率を説明されても患者さんはわからない、かえって動揺するという主張にも一
理あります。しかし、確率を説明しないと医師はうその説明しかできない。うその説明
は、裁判では敗訴につながります。

女子医大の事件で問題となった医局では医師の手は神の手、というような雰囲気であった
と言います。おそらく彼らは医師としては優秀な医師であったのでしょう。しかし、時代
が大きく変わりつつあったことに気づくのが遅かったと思います。そのため、彼らだけで
はなく、女子医大全体の大きな不幸を招いたことはご覧の通りです。

医療行為により起きた患者の不幸の責任がすべて医師にあるのではないと思います。我々
は責任逃れをすべきです。そのためには、治療行為の決定について、証拠不十分のものに
ついては患者に決定権があると考えるべきで、医師は患者が正しい決定をするようにでき
る限りの手助けをする存在と考えるべきではないでしょうか。

議論、反論大歓迎です。
[2002年11月21日 13時44分24秒]

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