十王堂


 十王堂は、別當を菩薩院という修験で、慶安元年(1648年)徳川三大将軍家光の時代、時の掛川城主であった北條出羽守氏重より一石五斗を受けたと記録されている。したがって建立されたのはこれより以前と考えられる。
 現在のお堂は、大正十年に建てられた。十王とは、冥府(あの世)にあるという、「秦広王」「初江王」「宋帝王」「伍官王」「閻魔王」「変成王」「太山王」「平等王」「都市王」「五道転輪王」の十人の王の総称を意味しているものである。
 また、十王堂には、「子安延命地蔵尊菩薩」が祀られており、毎月二十四日が縁日で、この日は境内にある石地蔵に香花を供え、念仏をたむけ終日線香の煙が絶えることがない。
 特に例年七月十六日は、年に一度の「お開帳」で町内の善男善女が挙って、供養をなし、この町の古くからの習わしである「笹祭り」という、戸毎の軒に笹竹に吊るした赤いほうずき提灯を立て、夜は提灯の蝋燭に火がともり、町中が灯り一色となる。
 この提灯のいわれは、「お開帳」で「子安延命地蔵菩薩」が、通る道を提灯の灯りで足下を明るくするということからはじまったという。
 「子安延命地蔵菩薩」は、安産と子育ての守り本尊として、広く近郷近住にあまねく知られ、産婦が地蔵菩薩に上げたお灯明のローソクの残りを頂き、これをお産の折、灯をともすと不思議とこのローソクが消えてなくなるまでに安産できるという話を数多く聞いている。
 お灯明は短いほど、お産の苦しみから救われるといい、七月十六日の「お開帳」には、お産を間近に控えた人達から乞われている。



御本尊閻魔大王・子安延命地蔵菩薩



 














*十王信仰
 十王は死後の人々を審判する十人の冥界の王である。各王の審判を受け、生前の罪によって行き先が決められる。まず初七日に「秦広王」の審判を受け、罪が決まらなければ、次は十四日に「初江王」の審判を受ける。 二十一日目に「宋帝王」、二十八日目は「伍官王」、三十五日目の「閻魔王」四十二日目の「変成王」、四十九日目の「太山王」と七日毎に順に審判が行われ、そのあと百ヶ日の「平等王」、一周忌の「都市王」と続き、三回忌の「五道転輪王」で終わる。 中国で成立したが日本でさらに発達し、十王のそれぞれに本地仏を配し、閻魔王には地蔵が配されている。地蔵は地獄の救い主であり、罪を裁く閻魔王でもある。
・本地仏・・・本来の姿の仏、菩薩のこと。十王や我国の神々は仏教の種々の仏、菩薩が仮に姿を変えて出現したものとする。
<秦広王=不動明王><初江王=釈迦如来><宋帝王=文殊菩薩><伍官王=普賢菩薩>
<閻魔王=地蔵菩薩> <変成王=弥勒菩薩><太山王=薬師如来><平等王=観音菩薩>
<都市王=勢至菩薩><五道転輪王=阿弥陀如来>


・アクセス方法
   ・静岡県掛川市十王町
   ・JR掛川駅より徒歩で10分
   ・掛川インターより車で5分(駐車場はありませんので市営駐車場をご利用ください)
   ・地図を御覧下さい
   
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