前の分がまだ終わっていない人はこの「はじめに」 にざっと目を通してから前の分に取り組んでください。 タイピング練習も、終わっていない人は続けるとよいでしょう。
前回はファイルとディレクトリの話をしました。 コンピュータを初めて扱う人にはディレクトリは少しむずかしかったかもしれません。 この実習でディレクトリが出てくるのは(たぶん)「課題1」 のホームページ作成だけなので、 ちょっとだけがまんしてください。 自分のページが見えて自分なりの書き換えが始まるまでに至っていない人は、 私や友達に聞くなりしてなるべく早くそこまで到達しましょう。 そこからが本当の「課題1」ですから。 なお、 ファイル操作のコマンドは学期の終わりまで使いますが、 ディレクトリの話は「課題1」が終われば忘れてしまっても構いません。
前回、ファイルの基本操作は済みましたが、 ファイルの中身についてとファイルを作る方法は最後にちょっと触れただけでした。 きょうはそこからもう一度やります。
コンピュータで使われる文字には 「半角文字」と「全角文字」があります。 全角文字は画面では正方形の範囲を占めています。 半角文字はその半分です。
半角文字 ABCabc123!"#$%&'() 全角文字 ABCabc123あいうえお金沢大学理学部数学教室
※ 半角文字は、フォント(活字)によっては i と w で幅がかなり違うこともあるが、 それでも「半角」という。 iiiii と wwwww のように。
※ 「“同じ”字に半角全角の二種類がある文字コード体系は適当でない」 「半角文字・全角文字という名称は適当でない」 という意見もあるが、 現実にいまのコンピュータでは両者が使えてしまうし、 区別できないと困るので頭にいれておくこと。 スペースにも半角と全角の区別があるので要注意!
テキストファイルは、 これらの文字やスペースや「改行コード」と呼ばれるものを一列に並べたものです。 以下では「改行コード」は略して「改行」と書きます。 例として、 「a,b,c,改行,あ,い,う,え,お,改行,改行,X,Y,Z,改行」 と並んだファイルがあったとしましょう。 これを cat で画面に表示すると次のようになります。
abc あいうえお XYZ
このファイルは 「a,b,c,改行」「あ,い,う,え,お,改行」「改行」「X,Y,Z,改行」 の4行からなっています。 「改行」がくると表示は次の行の先頭に移ります。 「あいうえお」の次の行は「改行」だけからなるので空行になります。
画面ではスペースは見えません。 よって、上の例で「a,b,c」と「改行」の間にスペースをいれ、 「a,b,c,スペース,改行,あ,い,う,え,お,改行,改行,X,Y,Z,改行」としても cat した結果の画面は全く同一です。
もし画面の横幅が 80 文字ならば、 「a,b,c,スペース,スペース,……,スペース,あ,い,う,え,お,改行,改行,X,Y,Z,改行」 (スペースは全部で 77 個)としても cat した結果の画面は全く同一です。 なぜなら、 「abc」とスペース 77 個でちょうど右の端に達し、 「あいうえお」は「abc」の真下にくるからです。 しかし、これらはファイルの中味としては別物です。 「cat filename」の代わりに「cat -ve filename」とすると行末に 「$」を表示するので、これらを区別することができます。
「ls -la」(本編では説明しなかったので知りたい人は 「ディレクトリとファイル」 を参照) で表示されるファイルのサイズは、 1文字につき半角文字は1バイト、全角文字は2バイト、 改行は1バイトとして合計したものです。
ファイルの最後は改行で終わっていることが望ましいとされています。 「a,b,c,改行,あ,い,う,え,お,改行,改行,X,Y,Z」 という内容のファイルを作ることは可能ですし、 それで問題なく動作することも多いのですが、 それでもやはりやめたほうがいい、という意味です。 ただし、全く内容を持たない、からのファイルは例外です。
テキストファイルを作成・更新することを「エディット(edit)」といいます。 日本語に直訳すれば「編集」ですがあまり言いません。 「テキストエディタ(text editor)」とは、 テキストファイルを作成・更新するときに使うプログラムです。 略して「エディタ(editor)」と言うこともあります。 ファイルの中味を見るときに cat や more の代わりに使っても便利です。
エディタはワープロと似ていますが、機能は限られています。 扱えるのはテキストファイルだけですから、 文字を大きくしたり小さくしたりはできません。 字体を変えてイタリックなどにすることはできません。 罫線を使うことはできません。 「x の n 乗」を x の肩に小さな n を乗せて表わすような数学上の記法は使えません。 イラストは入れられません。
どのテキストエディタを使っても、 できるテキストファイルに変わりはありませんから、 自分の好みに合ったテキストエディタを使ってください。
unix のエディタとしては vi (日本語の中では「ブイアイ」と呼ぶことが多い) と emacs(「イーマックス」)が有名です。 mule(「ミュール」)は emacs を多言語化したもので、 ほかの点ではほとんど emacs と同じです。 unix を使い慣れた人は vi か emacs/mule を使っていることが多いようです。
たいていのエディタは、 ファイルを直接エディットするのではなく、 ファイルをいったんメモリに読み込んで編集し、 最後にディスクにセーブ(save)します。
※ 「メモリ」という言葉はまだ説明していないので、 「どこかに読み込んで」と理解してもらえばよいだろう。 「ディスク」はファイルがまとめて収められているもののこと。 「セーブ」とは「記録」ぐらいの意味。編集結果に満足できない場合は、セーブせずにエディタを終了すれば、 ファイルは元のままです。 単にファイルの内容を見るためだけにエディタを使ったときも、 セーブせずにエディタを終了します。 一切変更を行なっていなければセーブしてもファイルの内容は変わらないはずですが、 ファイルの日時が変わってしまいますし、 なにかの間違いがあるといけませんから。
もう一度、最初から textedit の使い方を説明します。 起動は textedit filename または textedit filename & でした。 最後に & をつけると、すぐまたプロンプトが出る、という点だけが違います。
小さな「▲」が画面にひとつだけ出ているはずです。 それを「カーソル(cursor)」といいます。 基本的なキー操作は次の通りです。
「ファイル」のなかの「保存」でセーブします。 セーブしないで終わるときは「▼」のなかの「終了」です。 確認メッセージが出ますからしかるべく答えてください。
日本語入力のオンオフはメールのときにも説明しましたが、 「日本語 On-Off」と書かれたキーです。 オンになっているときはウィンドウ左下に「ひら」と、 オフになっているときは「無変換」と表示されます。 日本語を入力がオンの状態でローマ字で読みを打ち込むとかなで表示されますから、 「変換」「確定」などのキーを使って漢字などへの変換を行なってください。
※ 「改行」を挿入・削除すると画面が大きく変わり、初心者は驚くことがある。 しかし、上のテキストファイルの説明を理解した上で練習すればすぐに慣れると思う。
※ 行末に余分なスペースを入れないよう注意すること。 特定の行の後ろにスペースがついているかどうかは、 その行の右のほうをクリックしてみてもわかる。 また、 特別な理由がない限り1行は半角 60 文字ぐらいで改行する習慣をつけておくとよい。
前回分のページを見て、 ホームページに(いわゆる日本語で)自己紹介を書いてください。 そして、 私(岩瀬順一)の実習用アカウント cf1920 に 「課題1のホームページが完成したから見てください」 のような内容のメールを「kadai 1」 (すべて小文字、間のスペースにも注意!) という Subject をつけて送ってください。 自分の学籍番号、氏名も忘れずに。
※ 「氏名」というのは名字と名前である。 それらを、履修届などに書いて提出してあるものと同じ字で書くこと。 たとえば、届で漢字になっているものをひらがなで書いたりしてはならない。 ただし、コンピュータにない文字は適当に代用すること。※ このメールは、この授業のために配られた自分の ID から送らなければならない。 友だちの ID や、ほかの授業の ID, プロバイダの ID などからは不可。
※ ホームページそのものをメールで送る必要はない。
私はメールを受けとったら二三日以内にチェックして、 数学管理棟2階の数学科の学生あて掲示版に “誰々は「OK」、誰々は「やり直し!」” というような掲示を出します。 「OK」になったら、 ホームページは変更するなり削除するなりしても構いません。 「やり直し!」だった人は「OK」 になるまでやり直さないと課題をこなしたことになりません。
※ なお、その際、スペースと時間の節約のため、 諸君の氏名を書かずに ID の下二桁だけを書くかもしれない。 悪しからず。
締め切りは 2000 年 11 月 10 日(金)16 時 30 分とします。 これは、 その日時までにホームページを書き上げ私にメールを送るように、 という意味です。 締め切り間際にメールを送ってくれた場合は 掲示が出るのは締め切り後になるかもしれません。
※ それで「やり直し!」だとまずいので、できれば早めに提出するように!
※ 締め切りはこの授業の次の回の終了後に設定してあるが、 その時間には新しい課題(提出はないと思う)を用意してくる予定なので、 できればその時間の前に済ませておくことが望ましい。
「ホームページ」という言葉は俗称だそうですが、 これだけ広まっているので使わざるを得ません。 「Web ページ」「WWW ページ」と言っても なかなか通じないでしょう。 私は「インターネットの私のページ」などといったりしています。
実習で使っている WS 上のページは金沢大学外のコンピュータからの閲覧を禁じるよう設定されているので、 学内からしか見えません。 しかし大学じゅうの人が見ますし、 なにかのはずみで全世界に公開されてしまうかもしれませんので、 書いてはいけないもの、書かないほうがいいものがあります:
ソースファイル(index.html とかのことです)の書き方をもっと知りたい人は、 適当なページを Netscape に読み込み、 「表示(V)」「ページのソース(U)」 でソースを読んで勉強するとよいでしょう。 ただし、 自分のブラウザ(Netscape, Internet Explorer などの、 インターネットを見るソフトの総称) できちんと見えたからといってそれが HTML の文法に合致しているとは限らない、 ということは頭にいれておいてください。
ファイルが大きくなったら、 ファイルを分けてリンクを張ってもよいでしょう。 そのやり方は、この実習のページのソースを見るなどしてください。
(念のために書いておきますが、 このように自分でいろいろ工夫したら成績がよくなる、 というわけではありません。 私が言った条件を満たすものを出してもらえればこの課題については満点です。)