2000 年度「計算機基礎論3B」 2001-02-09

TeX についての注意

TeX について、 このページに書き始めたらきりがないので、 実習時間中に個別に説明しようと思っていましたが、 基本的なことを少しだけまとめておきます。

「G を群、N をその正規部分群とする」 を TeX で組むときは 「$G$ を群、$N$ をその正規部分群とする」 のようにします。 一文字からなる記号でも数式扱いなのです。 また、数式は半角文字で打ちます。

TeX も、最初にやった HTML と同じく、 ソースファイル上で改行していてもできたものは改行しません。 よって、ソースファイルには見やすいように適当に改行を入れましょう。

TeX の参考書で最も基本的なのは作者自身による

Donald E. Knuth 著 監修:斎藤信男 翻訳:鷺谷好輝「TEX ブック」(アスキー出版局)
でしょう。

あと、f' を $f\prime$ とすると「'」が大きすぎます。 $f^\prime$ とすればいいみたいです。

片方のプリンタが使えない場合 --- rsh を試してみましょう

ホワイトボードに向かって左半分の席のマシンは左側のプリンタに、 右半分の席のマシンは右側のプリンタにつながっています。 もし左側のプリンタだけが使えない場合、 左側の席の人は「lpr test.ps」とするところを 「rsh ws48 lpr test.ps」としてみてください。 48 のところは 25 から 48 までの整数なら何でも構いません。 うまく行けば、右側のプリンタからでてきます。 反対に右側のプリンタだけが使えない場合は 「rsh ws01 lpr test.ps」などです。 01 のところは 01 から 24 まで、何でも構いません。

この rsh というコマンドは、 次の引数で指定されるマシンにその次以下のコマンドを実行させるコマンドです。 普通は実際にコマンドを実行するマシン側のパスワードが必要なのですが、 諸君のホームディレクトリにあるファイル .rhosts に、 これこれのマシンから rsh の要求があった場合はパスワードなしで実行せよ、 という情報が書いてあるので、パスワードは聞かれないのです。 くわしいことは「man rhosts」としてマニュアルを読んでください。

課題2に関連して、計算機の誤差を考える

課題2はニュートン法を利用して自然数 n の五乗根を求めるものでしたが、 n によっては、一つの値に落ち着くのではなく、 非常に近いいくつかの値を順番に繰り返します。 これは計算機の誤差のためです。 そうなった場合、 さしあたっては一致する桁までをもって答えとしておくことになるでしょう。

時間がある人は前に書いたプログラムを書き換えて試してみましょう。 小数点以下 20 桁ぐらいまで出力させないと、 違う値を循環していることに気づかないかもしれません。

実習用アカウントは今学期限りです

いま諸君が実習で使っているアカウントは、 今学期末で削除されます。 それと同じ名前のアカウントを、 来学期は別の人が使う可能性があります。 よって、 もしいまのメールアドレスを誰かに教えた人は、 その人に 「このメールアドレスは3月いっぱいで終わりだから、 それ以降は決してここへはメールを送ってくれるな」 と伝えてください。 それを忘れると、 別の人に諸君あてのメールがついてしまい、 迷惑をかけることになります。 就職情報などをメールで送ってくるサービスに登録した人は、 それも解除しておくことが必要です。

なお、 削除時にはホームディレクトリも全部削除されるので、 .forward を設定した人はそのままで問題ありません。 そうしておけばアカウントが削除される直前まで転送が続くので便利でしょう。

実習終了後も総合情報処理センターのコンピュータを使うには

それには、 実習用アカウントではなく研究用アカウントを取得してください。 教職員の許可印が必要です。 数学科では、学科長(今年度は児玉先生)が印を押すことになっているようです。 使った時間に応じて料金が請求され、その料金は学科の予算から支払われます。 また、申請にあたっては利用内容を記入し、 利用期間の終了時および継続時には報告書を書かねばなりません。 よって、学科長にきちんと説明できるような利用目的があり、 責任をもって使える人以外は申請しないでください。

いま急いで申請すれば今年度中にアカウントがもらえると思います。 そうすればいまのアカウントにあるファイルをそちらにコピーすることにより、 中断なしにセンターのコンピュータを使い続けることができるでしょう。 きちんと継続してゆけば、学部を卒業するまで使わせてもらえるはずです。 申請用紙は総合情報処理センターの窓口でもらえます。 アカウント名は8文字までの英数字で好きなものがつけられますが、 よくある名前の場合はすでに使われていることが多いので、 finger コマンドで調べておくとよいでしょう。 すでに使われていたら、tanaka7 のように後ろに数字をつけるとか、 mtanaka のようにファーストネームの頭文字を前につけるとかすることが多いようです。 また、あまり短い名前だとだめと言われるみたいです。 記入後、なるべくみんなでまとまって学科長のところに行き、 事情を説明して、許可をもらってください。

なお、研究用アカウントの使い方は、 この実習で学んだ知識を元に試行錯誤するとか、 参考書を買って読むとか、 先輩に聞くとかして学んでください。 私にメールで聞いてくれてもいいです。

おわりに

やさしいもの・基本的なものを選んで進めてきた

この実習は、やさしいもの・基本的なものを選んで進めてきたつもりです。 C言語の課題は、 がんがん進む実習だったら15回の授業のうちの3回目か4回目あたりの演習問題かもしれません。 (いわゆる)ホームページや TeX の課題は、 細かく見ていったらまだまだ文句がつけられるでしょう。:-)

でも、この授業は数学科の計算機実習なのだから、 これくらいでよかったのだと思っています。 「おもしろそうなのでもう少しやってみたかった」 という人が多かったら、担当者としてとてもうれしいです。 コンピュータで HTML とかC言語とか TeX とかを学ぶ場合、 一部分でも習って、 自分でそれを使った経験があれば --- この授業の課題程度のものを書いていれば ---、 それを学ぶ困難の半分以上はすでに乗り越えてしまったと言えると思っています。 興味を持ったものについては、必要に応じて学べばどんどん進むでしょう。

※ この機会に話しておくが、 私はC言語は“全体を把握している”と言える程度には勉強してあるので、 「こうしたいんですがどうしたらいいですか」 「こうは書けないんですか」と聞かれたときそれなりにきちんと答えることができる。 それに対し、ホームページ作りに使った HTML と TeX は “知っていることは知っている”というレベルなので 「わかりません」「試してみて」と言ったことも多かったと思う。

ファイル操作を中心としてコンピュータをとらえてきた

この授業の「ホームページ作成」「C言語」「TeX」はいずれも 「ファイルを作って、そのファイルに対して何かをすると何かが起こる」 というやりかたで進めました。 今となってはややクラシカルな方法だったかもしれませんが、 理くつはこれが一番わかりやすいと思います。

「自分で考えてわかること」と「教わらなければわからないこと」

金沢大学総合情報処理センターが出している 1998 年の冊子 14 ページにユーザー室の写真が出ていますが、 そこには

「まずは自分の頭で考えよ!
「次は利用の手引きにあたれ!」
「それでもわからなければ人に聞け!
「苦労しただけ喜びは大きいぞ!!」
という4枚の看板が写っています。

※ いまもこの看板はある。 廊下から見えるが、 そのあたりまではいり込むのはあまり歓迎されないかも知れない。

そのわきには 《「まずは自分の頭で考えよ」 これは利用者に対するセンター職員の大きな希望です》 と書いてありますが、私はこの考えには賛成しません。

この実習の最初にログインのしかたを学びました。 それにはセンターから交付されたユーザ ID とパスワードが必要でした。 もしも何も教わらないでいきなり実習室にやってきたとして、 自分の頭で考えてそれらのことがわかったでしょうか? 私にはとてもそうは思えません。 それからいくつかのファイル操作コマンドを学びましたが、 それらも教わったからこそわかったのだと思います。

必要最低限のこと、 組み合わせればいろいろなことができる基本的なこと、 そういったことを効率よく教えるよう努力するのは教える側の義務だと私は考えます。 それらを一通り学んでしまえば、 あとは自分で本を読んで、 見よう見まねで、 あるいは自分の頭で考えていろいろなことができます。 私はそう考えてこの授業を進めてきたつもりです。

※ 数年前の実習ではログイン画面を Ctrl+C でキャンセルすることにより、 パスワードなしでパソコンを使うことができた。 せっかく「自分の頭で考え」て発見したのに、 センターの人に見つかって実習生が叱られてしまった。:-)

※ この実習を指導した私自身は、 センターからはコンピュータの使い方について何も教わっていない。 ほかの WS の使い方から類推したり、 理学部のほかの先生や大学院生から教わったり、 試行錯誤で発見したりして教えてきたのである。

これから計算機とどうつきあってゆくか

「これから計算機とどうつきあってゆくか」ですが、 特に興味をもってこれからもほぼ毎日のようにコンピュータを使い続ける人を別とすれば、 この授業で習ったことは全部忘れてしまって構いません。 諸君が次にどうしても計算機を使わなければならなくなるのは、 大学院に進んで TeX で論文を書くときか、 企業や高校・中学に就職して仕事の上で使うときでしょう。 そのときまでには計算機もプログラムもきっと進歩しています。 細かいことを覚えていてもしかたがありません。 ただ、「きちんとやり方を習って使ってみたらそれなりにいろいろなことができた」 という自信だけはもっていてください。 それさえあれば、必要なときにまたコンピュータの勉強をすることは容易だと思います。

※ でも、 タイピング練習の際に覚えた指の分担はメモしておくといいかも知れない。

1|2|3|4 5|6 7|8|9|0    12|3|4|5 6|7 8|9|0
 Q|W|E|R T|Y U|I|O|P    Q|W|E|R T|Y U|I|O|P
  A|S|D|F G|H J|K|L|;    A|S|D|F G|H J|K|L|;
   Z|X|C|V B|N M|,|.|/    Z|X|C|V B|N M|,|.|/
最上段の数字は流儀が二つある。 どちらでもいいだろう。 片方からもう一方へ乗り換えるのもそんなにむずかしくない。 経験者は語る。

授業の感想を送ってください

これは課題ではなくお願いです。 この授業の感想などがあったら、メールで送ってください。 「特にない」という人は無理に送らなくて結構です。 また、すでに送ってくださったかた、ありがとうございます。 追加で送ってくださるのも歓迎します。

宛て先はいつものように私(岩瀬)の実習用アカウント cf1920 です。 実習用 WS からは To: のところに cf1920 と書くだけで届きます。 Subject は適当に。なくてもいいです。 書かなくてもユーザ名からわかりますが、 氏名(フルネーム)を書いてください。

単に「感想」では漠然としていると思う人は、 次の中からいくつかを選んで(全部でも可)答えてください。

この実習で取り上げたことを大きくまとめると

となるでしょう。 それぞれについて など。 「すでに他の授業でやっていたので重複した」などもあったら書いてください。

※ 「やさしかった」「もう知ってた」 と書いたからといって採点がきびしくなったりすることはない。

ほかに実習全体に関連して、

など。

※ ちょっと先に言いわけしておくと、 プリントでなくホームページにしたのはコピーの手間やあとから 「先週の分ください」と言われる面倒を省きたかったから。 授業の始まるぎりぎりまで直せるのも便利。 実は、もう少し書く(i.e. 打ち込む) 内容を減らして口頭で説明するほうが楽なのだけど、 週一コマだとそれもむずかしい。 昔は二コマあって、 一コマめが説明で二コマ目に実習室へ移動したりしたっけ。 -_-(←遠い目)


岩瀬順一