(12.1) 前回とりあげた Nautilus (§5) は、普段はすべてのファイルを表示しない。 全てのファイルを表示させるには、「編集」「設定」とし、 「隠しファイルとバックアップ・ファイルを表示する」 の頭の四角に「×」をつける。「閉じる」。 表示させなくするには、その「×」を消す。 普通の人は、普段は表示させないほうがいいだろう。
(12.2) あるファイルの中身が他の人にも見えるかどうかは、「パーミッション」の設定で決まってくる。
(12.3) パーミッションは、次のようにして、見たり設定したりできる。 Nautilus で自分のファイル一覧を出す。 そのファイルを選択し、「ファイル」「プロパティ」。「アクセス権」をクリック。 次のようなものが表示される。
所有者: | □ 読み込み (R) | □ 書き込み(W) | □ 実行(X) |
グループ: | □ 読み込み (R) | □ 書き込み(W) | □ 実行(X) |
その他: | □ 読み込み (R) | □ 書き込み(W) | □ 実行(X) |
(12.4) フォルダのパーミッションについて (12.3) と同じことをすると、 他の人はそのフォルダの中を見ることができなくなる。 そのフォルダの中のファイルのパーミッションにかかわらず、である。
(12.5) Active! mail で転送設定 (11.15) をすると、 .forward という名前のファイルができ、 その中には転送先が書き込まれている。 転送先を他の人に知られたくない人は、 上のようにしてファイル .forward の中身を他の人に見られなくせよ。 (先頭の「.」は dot と読むことが多い。)
(13.1) プログラムを書くに当たっては テキストエディタで「ソースファイル」を作成し、 「コンパイラ」でそれを「コンパイル」し、「実行ファイル」を作る (のが普通である)。
+----------------+ +----------------+ | ソースファイル | ----------------------------> | 実行ファイル | +----------------+ コンパイラでコンパイル +----------------+ (テキストエディタで書く) (これを動かす) (読んでわかる) (機械にしかわからない)
(13.2) 「実行ファイル」はコンピュータが読んで実行するもので、 人間が読んでもまずわからない。 「ソースファイル」は文字だけが並んでいるテキストファイルで、 訓練をつめば読み書きができるようになる。 「コンパイル」はここでは「変換する」「翻訳する」ぐらいの意味である。 ソースファイルを書く際に用いる言語はいろいろあるが、 ここでは「C言語」(シーげんご)を用いる。 C言語で書かれたソースファイルを実行ファイルにコンパイルするコンパイラのことを 「Cコンパイラ」とも言う。 Cコンパイラの使い方は、この授業で扱う範囲では極めて簡単である。 よって、 これから学ぶことの中心はC言語によるソースファイルの書き方である。 以下、「プログラミング」と言ったらそれを指す。
(13.3) コンピュータにおいて、 バックスラッシュ「\」と円マーク「¥」 は半角文字では同じものと思ってよい。 スラッシュ「/」は別物である。向きが違う。混同するな。 右手で文字を書く人にとって書きやすいほうがスラッシュ、 逆向きがバックスラッシュと覚えるとよい。 (「全角文字」とはほぼ正方形をしている「あいうえおABC123」などの文字。 「半角文字」はそれを縦に半分に割った大きさの、 「ABC123」などの文字。 この節の「\」「¥」「/」 はいずれも全角文字である。)
(13.4) 次の例は参考書としてあげておいたカーニハン/リッチー著・石田晴久訳「プログラミング言語C第2版」(共立出版) (以下 K&R2 と略す)の §1.1 とほとんど同じである。
#include <stdio.h> main() { printf("hello, world\n"); }
(13.5) 1 行目。 きょうのところはこれは「決まり文句」と考えよう。 「#」は Shift しながら 3 のキーを打つ。 この記号は楽譜の中で使ったときの名称から 「シャープ」と呼んでおくが、正式名称は別にあったと思う。 include は英単語そのままだ。 この次にスペースを入れているが、入れなくてもよい。 stdio.h を囲む 「< >」は不等号をカッコの代わりに使っているもの。 Shift しながらカンマとピリオドのキーを打つ。
(13.6) 2 行目は空行である。見やすくするためにおいたもの。意味はない。
(13.7) 3 行目と 5 行目もCプログラムに必ずおくもの。 「main」の次にあるのは小カッコの開きと閉じ。 Shift しながら 8 と 9 のキーを打つ。 この次にスペースを入れているが、入れなくてもよい。 その次にあるのは中カッコの開き。 5 行目にあるのが中カッコの閉じ。 中カッコは、Shift しながら大カッコのキー(Enter のすぐ左にある)を打つ。 これらの中カッコは 4 行目を囲んでいる。つまり、 「main() { ... }」のことである。 こう書かずに上のようにする理由はそのうちわかってくる。 また、この中カッコの書き方は K&R2 とやや異なる。 この授業では一貫して私の書き方で教えるので、 すでに自分流のつけ方を編み出している人以外はとりあえずそれにならえ。
(13.8) よって、4 行目がこのプログラムのうちで最も意味のある部分ということになる。 この行は頭に空白がある。 この空白は Tab(タブ)キーを一度押すことでとる。 空白を置く理由はそのうちわかってくる。 このように行頭に空白を置くことを「字下げ」「インデント」という。 また、そこには tab という見えない文字があると考える。 (プログラムを(いわゆる)ホームページからコピーした場合には、 インデントの空白は tab ではなくスペース四つになるが、 コンパイル結果には影響しないので気にするな。)
(13.9) printf() は元々用意されている「関数」である。 「プリントエフ」と読むことが多いかと思う。 関数の原語は function で、ここでは本来の意味である「機能」に近い。 この関数の機能は後ろの小カッコの中の文字列を印字する(=画面に書く) ことである。 文字列は二重引用符「" "」 (Shift しながら 2 のキーを打つ)で囲む。 ここでは印字される文字列に「\n」が含まれている。 「\n」はこの二文字で「改行」を意味する。 すなわち、これを画面に書くとそこで改行する。 よって、「hello, world\n」を画面に書くということは、 「hello, world」を画面に書いて最後に改行する、 ということになる。
(13.10) 4 行目の最後にはセミコロン「;」がついている。 C言語では文はセミコロンで終わることになっているので、忘れるな。 また、この「セミコロン」などの名称もこの機会にきちんと覚えよ。
(13.11) これを作成し、コンパイルし、実行する際の流れは次の通り。 (emacs によるエディット以外はすべてターミナルの中で行なう。)
(13.12) 注意:
(13.13) 練習問題(第〇部)
(13.14) 以下の練習ではソースファイル名は指定しない。適当につけること。 hello.c の内容を次々と変更していっても構わない。
(13.15) ※ ターミナルで、 プロンプトが出ているところで「↑」キーを何度か押すと、 以前に打ち込んだコマンドが出てくる。 行きすぎたら「↓」で戻れる。 それを編集してから実行することもできる。
(13.16) 練習問題(第一部)
printf("hello, "); printf("world\n");のようになる。
(13.17) 練習問題(第二部)
※ プログラムがプリント上で2ページにまたがらないよう、説明の一部が先にきています。
(14.1) 1行目。 「/*」と「*/」とで囲まれた部分はコメントである。 何を書いてもコンパイルしてできる実行ファイルには関係ないので、 自由にメモを書くことができる。 ここでは、何をするプログラムか、いつ誰が作ったかを書いている。 その下のコメントは以下で説明する際の便宜のためにつけたものである。 これらは諸君は打ち込まなくても構わない。
/* たし算 1990-04-28, written by Iwase */ #include <stdio.h> main() { int a, b, s; /* 変数の宣言 */ a = 2; /* 代入 */ b = 3; s = a + b; printf("%d たす %d は %d です.\n", a, b, s); }
(14.2) 「変数の宣言」の行。 変数を使う場合、前もって「宣言」しておく必要がある。 ここでは「変数 a, b, s は int 型」と宣言している。 変数名には小文字を使うのが普通である。 「int 型」は整数のみを格納できる「整数型」の一つで、 この名前は整数 integer に由来している。 私は「イントがた」と読んでいる。 変数の宣言はこの位置(i.e. main() が始まってすぐのところ) で行なわなければならない。 その次には空行をおくと見やすくなる。 なお、中カッコの中の行は(空行以外)すべて字下げする。
(14.3) 「代入」の行。 「a = 2」は、「a は 2 に等しい」という平叙文ではなく、 「a に 2 を代入せよ」という命令文である。 その下の二行も同様。 プログラムは特に指定しなければ上から下へと実行されるので、 s = a + b; を実行したあとの s の値は 5 になる。 なお、 「=」は Shift しながら「-」のキー、 「+」は Shift しながらセミコロンのキーを打つ。 「a = 2;」の 「a」「=」「2」の間にはスペースを置いても置かなくてもよい。
(14.4) printf 文の行。 記号「%d」は、順に後ろの変数の値に置き換わって画面に出力される。 ここでは、 一つめの %d は a の値で、 二つめの %d は b の値で、 三つめの %d は s の値で置き換わる。
printf("%d たす %d は %d です.\n", a, b, s); -- -- -- - - - | | | | | | +-------|-----|------------+ | | +-----|---------------+ | +------------------+よって、出力は「2 たす 3 は 5 です.」のあと改行、となる。 「%」は Shift しながら 5 のキーを打つ。 (句点「。」の代わりに半角のピリオドを使っているのは単に趣味の問題である。)
(14.5)
(14.6) 練習: 0 で割り算をするとどうなるか試せ。具体的には、
(14.7) 練習: 出力の文の二重引用符の間の文字列からスペースを除去し、 「printf("%dたす%dは%dです.\n", a, b, s);」 としたら出力はどう変わるか。 「printf("%d%d%d\n", a, b, s);」としたらどうなるか。
#include <stdio.h> main() { int a, b; printf("数を入れてください.\n"); scanf("%d", &a); /* 数の入力 */ printf("もう一つ数を入れてください.\n"); scanf("%d", &b); printf("%d たす %d は %d です.\n", a, b, a+b); }
(15.1) 「数の入力」の行。 ここでプログラムは止まってキーボードからの入力を待つ。 関数 scanf() はそのための関数である。 私は「スキャンエフ」と読んでいる。 変数名 a の前に & がついて &a となっていることに注意。 なぜ & が必要かは、いまは説明できない。 scanf() は K&R2 §7.4 でくわしく論じられているが、 いま読んでもむずかしいだろう。
(15.2) 三つめの printf() で a+b の値を印字させていることにも注意。 (いままでの例では、変数の値を出力させていた。)
(16.1) 2008 年度前期「情報処理基礎」の後半の後半(=最後の4回)では、 諸君のパソコンに cygwin をインストールし、 C++ 言語の初歩も学んだはずである。 この授業で取り上げるプログラムは、 そのときと同様にコンパイル・実行できると思う。
(16.2) C言語は、 どのコンピュータでも同じソースファイルから作った実行ファイルが動くよう、 「規格化」がなされている。 諸君のパソコンが自宅でインターネットにつながるなら、 ここで書いたソースファイルを Active! mail で自分自身に送信し、 家ではそれを受信し、それをコンパイル・実行してみるとよい。 逆に、家で書いたものをセンターの Linux へ持ってきて動かすことも可能である。
(16.3) 諸君のパソコンが自宅でインターネットにつながらない場合、 もしも自分の USB メモリをセンターのパソコンにつないでもよいと考えるなら --- センターの人は大丈夫と言っているが、ウイルス感染がちょっと心配 ---、 センターのパソコンで Windows を起動し、USB メモリとの間でファイルのやり取りをすればよい。 それには、 Explorer の「アドレス」欄に「\\fs02\home\z09ef」と打ち込む。 あとは見ればわかる。
(16.4) ただし、 実行ファイルはここの Linux と諸君のパソコンとで違うものである可能性が高いから、 センターと家との間で持ち運びしてもおそらく無駄である。 (私は cygwin は使っていないのでわからないが。)