1998 年度「計算機基礎論3B」 1999-02-05

はじめに

申し訳ないのですが、 前回分のところで説明したような理由により、 今回は準備にあまり時間がとれませんでした。 ちょっと手抜きになっていますが、ご了承ください。 授業中に口頭や板書で補いたいと思います。

前回の補足

WS からログアウトする際には、 Netscape などのプログラムはすべて終了させておいてください。

OpenWindows の使い方

このウィンドウシステムは OpenWindows というらしいです。

ウィンドウをアクティブにする方法、 ウィンドウを移動する方法、 ウィンドウの大きさを変える方法、 は WinNT の場合から類推してわかると思うので省略します。 (WinNT の場合と同一だと言っているのではありません。) アクティブになっているウィンドウは、 ウィンドウ上部の帯状の部分の色が変わるのではなく、 へこんだように変わることで示されます。

 ※ 厳密にはこれも「色が変わる」というのかもしれないけど。

ウィンドウはアクティブになったからといって一番手前にくるとは限りません。 一番手前にもってくるには上部の帯状の部分を左クリックします。 (あるいは、上に乗っているウィンドウを、すぐ下にのべる方法で 「後ろへ」移動すれば、 有限回のくり返しののち希望するウィンドウが一番手前にきます。)

左上の「▼」をマウスの左ボタンでクリックするとメニューが出ますが、 その中の「クローズ」はそのウィンドウをアイコン化すること (「アイコン」というのはその対象の性質を連想させるような小さな絵)、 「フルサイズ」は縦方向だけを最大にすること、 のようです。

 ※ アイコンの中には、 「どうしてこれがこの絵なの?」と思ってしまうものが少なくない。

 ※ クローズしてもそのウィンドウはなくなったわけではないことに注意。 小さくなってもその中でプログラムは動いている。

最大化はないようです。 「終了」を選ぶとそのウィンドウは消滅します。

新しいウィンドウを出すには、 ウィンドウのないところにマウスカーソルをもってきて右ボタンを押し、 押したまま「プログラム」 の行でマウスカーソルを右に動かしていくとプログラムの一覧が出ます。 しかるべきところにマウスカーソルを移動して右ボタンを離せばそれが起動します。

さしあたり使うのは 「ファイルマネージャ」「テキストエディタ」 「コマンドツール」「シェルツール」ぐらいでしょう。

前回もふれたように「コマンドツール」「シェルツール」 はいままで使ってきた Telnet のウィンドウのように使えます。 ただし、タイピング練習プログラムを使うときは「シェルツール」 でないとダメなようです。

 ※ 実はこうやって使ってもおかしい部分がある。これは作者の手抜き。

「ファイルマネージャ」と「テキストエディタ」についてはあとで説明します。 まずはすぐ下で説明する LaTeX に取り組んでください。

OpenWindows における mule の起動時オプション

コマンドツールやシェルツールの中で 「mule filename」とすると別にウィンドウが出てきてその中で mule が動きます。 そのウィンドウ内で mule を実行したければ「mule -nw filename」です。 この「-nw」は「No Window」のことだと覚えるとよいでしょう。

LaTeX の使い方

「TeX」は、日本語としては「テフ」または「テック」と発音されています。 偉大な計算機科学者 Donald E. Knuth(クヌース) が自分の著書 「The Art of Computer Programming」を組版するために作ったソフトウェアの名前です。 数式がきれいに打てるので、 数学の論文・専門書も TeX で組版することが多くなりました。

諸君の中で大学院に進んで論文を書く人は少しだけでも慣れておいてほしいし、 学部を出たら数学とは縁が切れてしまいそうな人はせっかく数学科で学んだのだからこういうものが世の中にあるのだということぐらいは知っておいてほしい。 そう思って、この実習の最後のテーマにこれを選びました。

数学の講義のレポートを書く際には TeX は勧めません。 組版に時間をかけるよりは数学に力をいれてほしいからです。

platex の使い方

ここでは platex というソフトウェアを使います。 TeX を、香辛料を買い集めてカレーを作ることにたとえるなら、 platex は市販のカレーのルーを使ってカレーを作ることにあたると思います。 TeX の機能を適当に組み合わせて使いやすくしたのが platex です。

TeX のソースファイルの名前は .tex で終わるようにするのが普通です。 以下のような内容をもつファイル test.tex を作ってください。

 ※ ~iwase/tex においてあるのでコピーして使っても構わない。

\documentstyle[a4j,12pt]{jarticle}
\begin{document}
\title{計算機基礎論3B}
\author{98-00 田中美佐子}
\maketitle
連立方程式 $x+y=3$, $2x+3y=8$ を解いてみましょう。
$$\int_0^1 x^2 dx = {1 \over 3}$$
\end{document}
本文は下から3行目と2行目だけです。あとは決まり文句だと思ってください。

これを「platex test」としてコンパイルします。 成功すれば test.aux, test.dvi, test.log の三つのファイルができます。 この中で大切なのは test.dvi です。 次に「xdvi test」とすれば組版結果を見ることができます。 xdvi の終了は quit をクリックです。

上のソースと組版結果を見比べて、本文の書き方を察してください。 $ と $ ではさまれた部分は数式です。 $$ と $$ ではさまれた部分も数式ですが、 前後の文章とは別の単独行になる点が異なります。 \ で始まる語は特別な意味を持ちます。 たとえば \int は積分記号、\over は分数です。 また、_ は下付き、^ は上付きです。

印刷のしかたは 「dvips test -o test.ps」 「lpr test.ps」 らしいのですが、私は成功していません。

 ※ 本項を書くにあたっては、 物理学科の末松大二郎氏が実習用アカウントのホームディレクトリ ~cf1250 の下で公開されていたファイルを参考にした。

課題その4

platex を使って、数学的内容のある文章を組版してください。 数式がある程度含まれていなければなりません。 本や講義のノートを書き写してもいいでしょう。 分量はA4版用紙で7行以上1ページ以下、 \title には「課題4」(かぎカッコは含まない)と書き、 \author には学籍番号と氏名を書くこと。

ソースファイルを「kadai4」という Subject つきで eb00d48 に宛てて日本標準時の 1999 年 02 月 12 日(金) 17 時 00 分までにメールで送り、 platex でコンパイルし印刷したものを次のいずれかの時間・場所で私岩瀬に手渡すこと。

提出された紙は返却しない予定であるので必要な者は余分に印刷して持っておくこと。

 ※  最初は「1限と2限の間の休み時間、理学部大講義室の前」はなかった。 後から追加したもの

ファイルマネージャ

「ファイルマネージャ」は、 その名のとおりファイルの管理をするものです。 以前学んだ ls などのコマンドと同じことがファイルやディレクトリを表わすアイコンを使って操作できるので、 うまく使い分けると便利です。

 ※ この方法でなければできないことは説明しないので、 時間のない人・興味のない人はとばしてもよい。

上半分のウィンドウには、 / からカレントディレクトリまでのつながりが表示されています。 フォルダの絵がディレクトリを表わしています。 「上へ」あがるには、 あがりたいディレクトリに対応するフォルダの絵をクリックします。 下半分のウィンドウには、 カレントディレクトリの直下のディレクトリおよびカレントディレクトリにあるファイルが表示されています。 カレントディレクトリの直下にあるディレクトリに移動するには、 移動したいディレクトリに対応するフォルダの絵をクリックします。 すみを折った紙の絵は普通のファイル、 封筒の絵はメールを収めたファイル、 「C」と書かれた紙の絵はC言語のソースファイル、 などなど、いろいろな絵があります。 これらのファイルに対応する絵(これらもアイコンというらしい)を 左ボタンでダブルクリック(続けてつんつんと押すこと) するとテキストエディタが起動し、 そこにそのファイルが読み込まれた状態になります。

 ※ 起動するまでにちょっと時間がかかる場合がある。 あせって再度ダブルクリックするとエディタが二つ開いてしまうので注意。

テキストエディタについては後述します。

ファイルについてのくわしい情報を見たければ、 「表示」の中をいじってみてください。

新しいファイルやディレクトリを作るには、 「ファイル」のなかの「ドキュメント作成」「フォルダ作成」です。 できたファイル・ディレクトリは「新規ドキュメント」 「新規フォルダ」という名前になりますので、 (必要なら)Del キーでその名前を消してから好きな名前をつけて使います。

ファイルをコピーするには、 コピーしたファイルに対応するアイコンを左クリックします。 するとアイコンの回りにアミがかかります。 その状態で「編集」のなかの「コピー」をクリック。 それからコピーしたい先のディレクトリに移って 「編集」のなかの「ペースト」です。 この方法だと、元と同じ名前でしかコピーできませんが、 必要ならコピーしてから後述の方法で名前を変更してください。 コピー元と同一ディレクトリに別の名前でコピーしたい場合も、 同じように操作すれば途中で何か言ってきますから適当に判断して答えてください。

ファイルを移動する場合はコピーのときとほぼ同じですが、 「編集」のなかで「コピー」の代わりに「カット」を選びます。 あるいは、 移動したいファイルに対応するアイコンにマウスカーソルがあたっている状態で左ボタンを押し、 押したままでマウスカーソルを動かして移動先のディレクトリに対応するアイコンにマウスカーソルが当たるようになったところで左ボタンを離すことでも移動ができる場合があります。

 ※ 移動先のディレクトリを表わすアイコンがファイルマネージャのどこかに表示されていないとこの方法は使えない。

ディレクトリの移動も同じようにできます。

ファイル・ディレクトリの削除は、 コピーのときのようにアミをかけてから「編集」のなかの「削除」です。 ディレクトリを削除する場合、 警告はされるものの、 その中のファイル・その下のディレクトリ等も一斉に削除されますので注意してください。

ファイル名・ディレクトリ名を変えるには、 そのファイル・ディレクトリに対応するアイコンの下にある名前のあたりを左クリックします。 すると名前が反転表示になりますので、 「←」、「→」、 Del や普通のキーで名前をつけかえて Return で決定です。

テキストエディタ

テキストエディタはテキストエディタの一種です。

 ※ 前者の「テキストエディタ」は固有名詞、後者は普通名詞。

この実習の範囲では mule だけで十分ですので、 このテキストエディタの使い方はとばしてもかまいません。 前にも説明したように、 エディットしたいファイルを表わすアイコンをダブルクリックすると起動します。 (ほかの方法もあるけど。) 文字を打つ方法については説明するまでもないでしょう。 「ファイル」のなかの「保存」でセーブします。 セーブしないで終わるときは「▼」のなかの「終了」です。 確認メッセージに適当に答えてください。

テキストの一部を別の部分にコピーするときはコピーしたい部分の先頭にマウスカーソルを当てて左ボタンを押し、 押したままマウスカーソルを動かすとテキストの一部が反転表示になります。 ちょうどコピーしたい部分だけが反転した状態になったら左ボタンを離します。 そして「編集」のなかの「コピー」を選び、 つぎにコピーしたい先にマウスカーソルを当てクリックすることでカーソルをそこに移動してから「編集」のなかの「ペースト」です。 コピーでなく移動の場合は「コピー」の代わりに「カット」を選べばよろしい。 コピーや移動は複数のテキストエディタの間でも可能です。

日本語入力のオンオフは「日本語 On-Off」と書かれたキーです。 オンになっているときはウィンドウ左下に「ひら」と、 オフになっているときは「無変換」と表示されます。 日本語を入力がオンの状態でローマ字で読みを打ち込むとかなで表示されますから、 「変換」「確定」などのキーを使って漢字などへの変換を行なってください。

実習終了後も総合情報処理センターのコンピュータを使うには

……、実習用アカウントではなく研究用アカウントを取得してください。 それには料金がかかりますので、教職員の許可印が必要です。 数学科では、学科長が印を押すことになっています。 今年度の学科長は藤本先生です。 料金は使った時間に応じて請求され、その料金は学科の予算から支払われます。 また、申請にあたっては利用内容を記入し、 利用期間の終了時には報告書を書かねばなりません。 よって、学科長に説明できるような利用目的があり、 責任をもって使える人以外は申請しないでください。

いま急いで申請すれば今年度中にアカウントがもらえます。 そうすれば実習用アカウントにあるファイルをそちらにコピーすることにより、 中断期間なしにセンターのコンピュータを使いつづけることができるでしょう。 申請用紙はセンターの窓口でもらえます。 アカウント名は8文字までの英数字で好きなものがつけられますが、 よくある名前の場合はすでに使われていることが多いので、 finger コマンドで調べておくとよいでしょう。 すでに使われていたら、tanaka7 のように後ろに数字をつけるとか、 mtanaka のようにファーストネームの頭文字を前につけるとかすることが多いようです。 記入後、なるべくみんなでまとまって藤本先生のところに行き、印鑑を押してもらってください。

なお、研究用アカウントは実習用アカウントとは細かい点が異なるかもしれません。 そのあたりのフォローはできませんのでご了承ください。


岩瀬順一 <iwase@math.s.kanazawa-u.ac.jp>