コンピュータのディスクには、 情報は「ファイル(file)」と呼ばれる単位で書き込まれています。 また、 ファイルたちが置かれている小部屋のようなものは「ディレクトリ(directory)」と呼ばれます。
きょうは、 これらについての基本的操作をまとめて学びます。 あまりおもしろくないかも知れませんが、 これが済めば unix 入門の第一段階は突破で、 各自で自習したり人から聞いたりしていろいろなことができるはずです。
※ と言うか、このレベルに達していない人にやり方とかを聞かれたらあまり教えたくない。 めんどうだから。
※ 実は、 これらの操作はファイルマネージャを使うと視覚的に実行できるのですが、 わざとやりません。 初めから電卓を使えば筆算はやらなくていいか? といったらそうでないでしょ?
「ファイルとは何か?」「ディレクトリとは何か?」 は最初には説明しません。 最後まで読んでゆくと自然にわかると思います。 「ファイル」「ディレクトリ」という二つの単語を頭にいれて、 先へ進んでください。
ログインしたらすぐ、 シェルツールまたはコマンドツールの中の、 プロンプトの出ているところに「ls」 (小文字のエル、エス)と打ち、Return を押してください。
この先では、 こういう操作を単に 「ls としてください」 「コマンド ls を実行してください」 などと書くことがあります。 ここでついでに「コマンド」という言葉も覚えてください。
ws47{cf7175}37% ls nsmail/ tx.scr tx.usrのようになったと思います。 ひとによってはもっと別のものも出力されているかもしれません。
スラッシュ(=記号「/」)が後ろについている nsmail はディレクトリの名前、 すなわち「ディレクトリ名」です。 それ以外の tx.scr と tx.usr は、ファイルの名前、すなわち「ファイル名」です。 ls はディレクトリとファイルの名前一覧をアルファベット順に出力するコマンドです。 よって、いまの場合、 「nsmail という名前のディレクトリと、 tx.scr という名前のファイルと、tx.usr という名前のファイルがある」 ということになります。
※ ……って言われたって、 「ファイルとは何か」「ディレクトリとは何か」 を教わってないんだからなんだかわからない、 と考えるのは当然なんだけど、 とにかく先へ進もう。
ファイルには情報が格納されています。 情報とは文書だったりデータだったりしますが、 その内容を見るには「cat tx.usr」のようにします。
ws47{cf7175}58% cat tx.usr === User File for <<< tx version 3.0x >>> === cf7175 19 1999-10-11 17:03:22 _______ooo_o_ooo_x_xxx_x_xxx__xxxx_x__xxx_x_xxx_x__xxx_x_xxxx__xxxx__ C8EBF5CBこれが tx.usr という名前をもつファイル (以下では「ファイル tx.usr」のようにも言う)の内容です。 これが何を意味するかは作った人に聞かないとわかりませんが、 とにかくこうやって内容を見ることができました。
※ これはタイピング練習の結果を収めたファイルのひとつで、 「~iwase/tx」として動かした練習プログラムが作ったものです。 「ユーザ名」「どこまで進んだか」 「最後に練習したのはいつか」「どの課を合格しているか」 などが収まっています。
tx.scr も見てみましょう。
ws47{cf7175}59% cat tx.scr === Score File for <<< tx version 3.0x >>> === cf7175 第2課 99-09-30 16:52:36 8 56 56 9 0.160 0 0.0 0.160 o CD32025F 第2課 99-09-30 16:53:11 8 56 56 8 0.142 2 3.5 0.173 o 03E6167A 第3課 99-09-30 16:53:56 9 58 58 8 0.137 0 0.0 0.137 o CCEB88B7 第4課 99-09-30 16:54:30 10 58 57 9 0.157 6 10.5 0.333 x 43CBCC85 第4課 99-09-30 16:54:44 10 58 58 9 0.155 0 0.0 0.155 o 97D05C65 第3課 99-09-30 16:55:03 9 58 56 9 0.160 5 8.9 0.290 x 6E4C8309 第5課 99-09-30 16:57:30 12 86 84 14 0.166 3 3.5 0.202 o 640CF0A1 第7課 99-09-30 16:58:00 14 60 60 10 0.166 0 0.0 0.166 o 1CBCCBDD (中略) 第9課 99-09-30 18:25:54 16 60 60 9 0.150 0 0.0 0.150 o 46334E15このファイルの中味は一行が一回の練習に対応しているので、 もしかすると一画面におさまりきれないかも知れません。 その場合は more を使ったりエディタで見たりするのですが、それはあとで学びましょう。
コマンドには、このようにコマンド名だけでなく 「cat tx.usr」のように後ろに何かをつけて起動するものがあります。 後ろにつくもの、この例では「tx.usr」を、「引数(ひきすう)」と呼びます。 「cat は引数としてファイル名をとり、そのファイルの内容を画面に出力するコマンドである」 などという言い方ができます。
※ ノートには「cat ファイル名」でファイルの内容を画面に出力とかメモしておくといいかもしれない。
これからこれら三つのコマンドを試しながら覚えてゆきますが、 a, b, c, ... のような、 アルファベット一文字からなる名前をもつファイルは存在しないものとして話を進めます。 (それを確かめるにはどうしたらよいか?)
※ すでにそういう名前のファイルを作ってしまった人は、適当になんとかしてください。 勝手に作れたぐらいなんだからなんとかなるでしょ?
最初に、 ちょっと理屈は抜きにして「cat tx.usr > a」と 「cat tx.scr > b」を実行してください。 (ここの理屈はあとで説明します。)
これでファイル tx.usr と同じ内容をもつファイル a および ファイル tx.scr と同じ名前をもつファイル b ができたはずです。 (それを確かめるにはどうしたらよいか?) この節では、この a と b を種(たね)にして実験をします。 これらのファイルを失わないように。 もしなくなってしまったら、うえの a と b を作るところからやり直しです。
cp はファイルをコピーします。 「cp a c」とするとファイル a をファイル c にコピーします。 すなわち、ファイル a の内容と全く同じ内容をもつ別のファイル c ができます。 もしもすでにファイル c が存在すると、その内容は失われます。 (これらのことを確かめよ。)
mv はファイル名を変更します。 「mv c d」とすると、 ファイル c の名前が d に変わります。 もしもすでにファイル d が存在すると、その内容は失われます。 (これらのことを確かめよ。)
rm はファイルを削除します。 「rm d」とすると、ファイル d を削除します。 すなわち、それが成功したあとで ls をしてももはや d は表示されないし、 cat でその内容を見ることもできなくなります。 (これらのことを確かめよ。)
これらのコマンドでは、うっかり手がすべるだけでファイルの内容を失う可能性があります。 次のように「-i」をつければ、確認メッセージが出てもう一度考え直すチャンスがあります。
※ それでも消しちゃうときは消しちゃうんだよね。
ws47{cf7175}13% cp -i a b cp: b を上書きしてもよろしいですか (yes/no)? y
ws47{cf7175}17% mv -i a b mv: b を上書きしてもよろしいですか (yes/no)? y
ws47{cf7175}19% rm -i b rm: b を消去しますか (yes/no)? yこの「-i」のようなものを「オプション」と言います。 なお、これら三つのコマンドでオプション「-i」が使えるのは、 これらのコマンドがそれぞれ「-i」を受け付けるように作られているからです。 どんなコマンドにも「-i」が効くわけではありません。
ファイル名に使える文字の種類、 名前の長さの上限は OS に依存しますが、たいていの場合 「アルファベットと数字からなる8文字までの文字列」 は使えるようです。 ほかに、 「_」(下線)も使えます。 「-」(ハイフン)は使わないほうがよいでしょう。 unix では大文字と小文字は区別され、 8文字より長いファイル名も使えます。
ファイル a とファイル b を使って、これらのコマンドの練習をしてください。 済んだら、消してしまって構いません。
「ファイルとは何か」はだんだんわかってきたと思うので、 ディレクトリの説明に移ります。 ディレクトリはファイルを置いておくところ、と思ってください。 本棚のようなものを想像してもいいです。 今まで上でやってきた操作は、 実は「ホームディレクトリ」と呼ばれる、 みなさん一人一人に別々に割り当てられたディレクトリ内で行なった操作でした。 ディスクの中には、ほかに何百ものディレクトリがあり、 それぞれファイルが置かれています。
ディレクトリは次の図のように、ツリー(tree)状につながっています。 この構造のことを「階層ディレクトリ構造」ともいいます。
+- etc +- fujimaga | | / -+ +- kakuma -+ +- cf7175 -- nsmail | | | | +- home -+ +- iwase -+ | | : | : | : +- eb00g01 -- nsmail : | | | +- eb00g02 -- nsmail | : | : | +- eb00g48 -- nsmail | | +- kakuma2 -+- iwase -+- iwase | | : :
一番左の「/」は「ルート(root)」 あるいは「ルートディレクトリ」と呼ばれ、 根にあたります。 なぜかルートの方向を上、 その反対方向を下という習慣になっているので、 / が一番上、そのすぐ下に etc や home があり、 home の下には kakuma, kakuma2 がある、 といった具合になります。
ルート以外のディレクトリから見ると、 すぐ上のディレクトリ (以下「親ディレクトリ」という) は必ず一つだけ存在しています。 すぐ下のディレクトリは存在しないこともあるし、 ひとつだけ存在することも、それ以上存在することもあります。 このことをツリー状と表現しているのです。
ルート以外のディレクトリを「サブディレクトリ(Subdirectory)」 と呼ぶことがあります。
任意のディレクトリに対し、 そのすぐ下のディレクトリの名前は互いに異なっていなければなりません。 それ以外のところに同じ名前が現われることは構いません。 上の図の中だけでも3つの iwase が現われています。
WS を使っているときには常にどこか一つのディレクトリが 「カレントディレクトリ(current directory)」 と呼ばれるものになっています。
上の図で eb00g01, eb00g02, ..., eb00g48 と書かれたところのどこかに、 みなさんのログイン名と同じ名前のディレクトリがあります。 そこが各自の「ホームディレクトリ(home directory)」と呼ばれ、 ログインした直後にはそこがカレントディレクトリになります。
さっき ls で見えたディレクトリはみなさんのホームディレクトリのすぐ下にあるディレクトリであり、 見えたファイルはホームディレクトリに置かれているファイルでした。
ディレクトリを指定する文字列を「パス(path)名」といいます。 それには「絶対パス名」と「相対パス名」の二種類があります。
※ 上にも書いたように、 同じディレクトリ名をもつディレクトリが複数あることがあるので、 単純に上の図に書かれた名前だけではディレクトリを特定できないことに注意。
絶対パス名は「/」で始まり、 ルートから順にそのディレクトリ名をたどって降りていった先のディレクトリを表わします。 /home は図で home と書かれた(図の中では唯一の)ディレクトリ、 /home/kakuma2 は図で kakuma2 と書かれた(図の中では唯一の)ディレクトリ、となります。 /home/kakuma2/iwase, /home/kakuma2/iwase/iwase が上の図のどのディレクトリを表わすかはわかりますよね?
※ このあたりで、上のツリーの絵とだいぶ離れてきて見にくいかもしれません。ごめんなさい。相対パス名は「/」で始まらないパス名で、 カレントディレクトリから順にそのディレクトリ名をたどっていった先のディレクトリを表わします。 例えばカレントディレクトリが /home/kakuma2 のとき、 iwase/iwase は /home/kakuma2/iwase/iwase を指します。
※ パス名を口に出していうときは「/」を「スラ」という人が多いようだ。
そのほかに、パス名に使われる特殊な記号があります。
. カレントディレクトリ[ピリオド一つ] .. 親ディレクトリ[ピリオド二つ] ~ 自分のホームディレクトリ ~iwase ユーザ iwase のホームディレクトリ
例えばみなさんのホームディレクトリがカレントディレクトリのとき、 「..」は /home/kakuma/iwase を表わし、 「../cf7175」は /home/kakuma/iwase/cf7175 を表わします。
ファイルにも「パス名」があります。 ファイルは必ずどこかのディレクトリに置かれています。 例えば tx.scr という名前のファイルがディレクトリ /home/kakuma/iwase/cf7175 に置かれていたら、 そのファイルの「絶対パス指定」は /home/kakuma/iwase/cf7175/tx.scr となります。 もしもカレントディレクトリが /home/kakuma ならば iwase/cf7175/tx.scr と 「相対パス指定」しても同じファイルを指します。
もう少し例をあげると、 「~/tx.scr」は自分のホームディレクトリにある tx.scr という名前のファイルを、 「~iwase/tx302」はユーザ iwase のホームディレクトリにある tx302 という名前のディレクトリを表わします。
なお、名前だけをみてそれがファイルなのかディレクトリなのかを判断する方法はありません。 (上にあげた「..」などは除く。)
※ 上の説明では、 ファイルはディレクトリ「に」置かれているとしたが、 ディレクトリの「下に」置かれていると考えてもよい。+-- cf7175 --+ +-- nsmail --+ | tx.scr | | | ---+ tx.usr +---+ | | | | | +------------+ +------------+と考えるか、
----- cf7175 -----+---- nsmail --- ... | +---- tx.scr | +---- tx.usrと考えるかの違い。
こんどはオプションをつけて「ls -al」としてみましょう。 単に「ls」としたときよりもたくさんの情報が表示されます。 ファイル名・ディレクトリ名以外の情報も表示されるし、 表示されるファイル・ディレクトリの数も多くなっています。 カレントディレクトリにあるファイル、 カレントディレクトリのすぐ下のあるディレクトリはここに表示されているもので全てです。
ws47{cf7175}50% ls -al 合計 50 drwxr-xr-x 7 cf7175 iwase 512 10月 12日 17:06 ./ drwxr-xr-x 51 root other 1024 9月 28日 02:15 ../ -rw------- 1 cf7175 iwase 735 10月 7日 18:33 .Xauthority -rw-r--r-- 1 cf7175 iwase 2790 9月 28日 02:14 .cshrc -rw-r--r-- 1 cf7175 iwase 971 10月 7日 18:55 .desksetdefaults -rw-r--r-- 1 cf7175 iwase 4712 9月 28日 02:14 .emacs drwx------ 3 cf7175 iwase 512 10月 7日 18:47 .fm/ -rw-r--r-- 1 cf7175 iwase 575 9月 28日 02:14 .login -rw-r--r-- 1 cf7175 iwase 1491 9月 28日 02:14 .mailrc drwx------ 5 cf7175 iwase 512 10月 7日 18:32 .netscape/ -rwxr-xr-x 1 cf7175 iwase 1090 9月 28日 02:14 .openwin-init* -rw-r--r-- 1 cf7175 iwase 306 9月 28日 02:14 .rhosts drwxr-xr-x 2 cf7175 iwase 512 10月 7日 19:27 .wastebasket/ drwx------ 2 cf7175 iwase 512 10月 11日 17:20 mail/ drwx------ 2 cf7175 iwase 512 10月 7日 18:32 nsmail/ -r--r--r-- 1 cf7175 iwase 1016 9月 30日 18:24 tx.scr -r--r--r-- 1 cf7175 iwase 160 10月 11日 17:03 tx.usr ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ パーミッション 所有者 グループ バイト数 日付 時刻 ディレクトリ名・ファイル名なお、カレントディレクトリのすぐ下にあるディレクトリのほかに、 上で説明した「.」「..」も表示されることになっています。
「.」で始まる名前をもつファイル・ディレクトリは ls では表示されません。 これらは、種々の設定用ファイルがほとんどです。 ユーザは、特に理由がなければこのような名前をもつファイル・ ディレクトリを作るべきではありません。 また、よくわからずにこのような名前をもつファイル・ ディレクトリを削除したり改名したり内容を変更したりしてはいけません。 (読むのは構いません。)
「パーミッション(permission)」というのは、 ファイルやディレクトリに対する読み書きの許可のことです。
最初の1文字(「d」や「-」)は抜かすことにして、次の9文字は
最初の3つの rwx ……所有者 cf7175 自身に対して 次の3つの rwx ……グループ iwase のメンバーに対して 最後の3つの rwx ……すべての人に対してのパーミッションを示しています。rwx は
r ... 読み取り許可 w ... 書き込み許可 x ... 実行許可の意味です。 例えばファイルが「-rw-r--r--」だった場合、 所有者は読み書き可、グループのメンバーと他人は読み取りのみ可、となります。 ディレクトリの場合は少々違った意味になります。 いまの段階では、 rwx または r-x のディレクトリはそこをカレントディレクトリにできる、 「---」だったらできない、と理解しておきましょう。
ただし、「スーパーユーザ(superuser)」と呼ばれる管理者は、 パーミッションに関係なくすべてのファイル・ディレクトリに対しなんでもすることができます。 マスターキーを持っている大家さんのようなものです。 スーパーユーザのログイン名は root です。 私(岩瀬)は実習用 WS のスーパーユーザではありません。
「所有者」はファイル・ディレクトリの所有者です。 WS のディスクは全員で一つのものを使っていますが、 個々のファイル・ディレクトリは所有者がはっきり決まっています。 「グループ」の機能は一般ユーザの間ではあまり有効に使われていないようなので省略しますが、 みなさんは iwase グループに属しています。
「バイト(byte)数」はそのファイルのバイト数です。 ファイルの中味が文書の場合、「abc123」のような文字は一文字1バイト、 「あいうえお」のような文字は一文字2バイトとしてカウントされます。
「日付」「時刻」はそのファイル・ディレクトリを最後に修正した日時を表わします。 6カ月以上前のファイルの場合、時刻の代わりに年が出ます。
「.open-win.init*」のように「*」がついているのは実行ファイルです。 プログラムとして実行できるファイル、というぐらいの意味。 またくわしく説明します。 この「*」はファイル名には含まれません。
ファイルが多すぎて画面が流れるときは「ls -la | more」としてください。
「-- 継続 --」が出て止まったらスペースで次の画面、「q」で中止です。
※ 試してみたかったらカレントディレクトリを /etc に移して実験するとよいでしょう。
cd のところを読んだあとでやってみましょう。
「ls tx.scr」「ls -la tx.scr」とすればそのファイルについてだけ表示させることができます。
※ 諸君のアカウントにはしかけがしてあり、 単に「ls」としても「ls -F」が実行されるようになっている。 「ls -la」は「ls -laF」なのである。 また、「ls -la」の代わりに「ls -al」としてもよい。 なお、単なる「ls」をめったに使わないなら、 「ls」とだけ打って「ls -alF」が実行されるよう自分で設定することもできる。 それはまたそのうち。
カレントディレクトリの絶対パス名を表示させるコマンドです。
ws47{cf7175}23% pwd /home/kakuma/iwase/cf7175
パス名を引数にとり、 それで指定されるディレクトリをカレントディレクトリにするコマンドです。 引数がないと、ホームディレクトリがカレントディレクトリになります。
「cd /home/kakuma」 絶対パス 「cd mail」 相対パス 「cd ..」 親ディレクトリ 「cd ~」 ホームディレクトリ 「cd ~iwase」 iwase のホームディレクトリ 「cd」 ホームディレクトリ
※ もうひとつ、例外的な動作がある。 引数が相対パス名でありかつそのディレクトリが存在しないと、 ~/引数 に移動するのだ。
ws47{cf7175}29% cd mail ~/mail
パーミッションが「---」のディレクトリ、 およびそれより下のディレクトリをカレントディレクトリにすることはできません。
いろいろなディレクトリを動き回ってみてください。
cat の引数にはファイル名だけでなくパス名も使えます。 例えば「cat ~iwase/tx.usr」とすればファイル ~iwase/tx.usr の内容が画面に出力されます。
※ 実行ファイルの中には cat すると意味不明な文字があとからあとから出てきてどうしようもなくなるものもあるから要注意。 さしあたっては、cat しないほうがいいかも知れない。 ディレクトリも cat しないこと。してもいいことは何もない。
読み出しパーミッションのないファイルは cat できません。 例えば iwase のホームディレクトリにあるファイルで試してみてください。
第一引数に数を、第二引数にパス名をとり、 第二引数で指定されたファイル・ディレクトリのパーミッションを、 第一引数で指定されたものに変更します。 例えば「chmod 600 tegami」は tegami のパーミッションを 600 に、 「chmod 644 /home/kakuma/iwase/cf7175/tegami」は /home/kakuma/iwase/cf7175/tegami のパーミッションを 644 に変更します。
パーミッションを数で表現するには、左から順に
r ... 400 w ... 200 x ... 100 r ... 40 w ... 20 x ... 10 r ... 4 w ... 2 x ... 1と対応させ、「-」でない部分だけ足し合わせます。 くり上がりはないから簡単です。 rw-r--r-- なら「644」になります。
よく見かけるパーミッションの例をあげておきます。 これ以外のものにセットすることはほとんどありません。
ファイルの場合: 644 (rw-r--r--) ... 所有者は読み書き可。他の人は読むだけ。普通のファイル。 600 (rw-------) ... 所有者だけ読み書き可。秘密のファイル。 755 (rwxr-xr-x) ... 所有者は読み書き実行可。他の人は読むと実行だけ。実行ファイル。 ディレクトリの場合: 755 (rwxr-xr-x) ... 誰でもはいれる。所有者は書き込める。普通のディレクトリ。 700 (rwx------) ... 所有者だけがはいれて書き込める。秘密のディレクトリ。
※ たいていの場合、グループに対するパーミッションと他人に対するパーミッションは同じにする。 つまり、2ケタ目と3ケタ目は同じ数字になる。
※ 自分自身も自分と同じグループに属しているので、 厳密にはグループに対するパーミッションというのは 「自分以外のグループメンバーに対してのパーミッション」となる。 同様に他人は「グループメンバー以外の他人」の意。
友だちと組んで、パーミッション変更をしては「見えるか?」などと実験をしてみてください。 (以下の mkdir なども参照のこと。)
まだみなさんは“秘密”のものを WS に置いてはいないと思いますが、 そういったものは他人に見えないようにパーミッションを設定しておくべきです。 別の言い方をすれば、見えるようなパーミッションでファイルが置いてあれば 「読んで構わない」という意思表示だととられます。
「mkdir dirname」で、 カレントディレクトリのすぐ下に dirname という名前のディレクトリを新しく作ります。 できたディレクトリのパーミッションは rwxr-xr-x になります。 カレントディレクトリに書き込みパーミッションがないと失敗します。 (ここで dirname はディレクトリ名のつもり。)
「rmdir dirname」で、 カレントディレクトリのすぐ下のディレクトリ dirname を削除します。
もしもディレクトリが空でないと (i.e. その下にディレクトリがあったりそこにファイルが置いてあったりすると) メッセージが出て削除は行なわれません。
※ dirname の書き込みパーミッションはこのコマンドの成功・失敗と関係がない。 関係あるのはカレントディレクトリの書き込みパーミッションらしい。
これらは上でも出てきましたが、 前に「ファイル名」と説明したところにパス名が使える場合があります。
※ 以下では引数(argument)ということで arg と書いてみました。 偏角じゃないぞ。
「cp arg1 arg2」の arg1 にはファイルを指すパス名が使えます。
※ arg2 にもパス名が使える場合があるけど、ここでは省略。
「mv arg1 arg2」の arg1 にはパス名が使えます。 arg1 がファイルを指していればファイルの、ディレクトリを指していればディレクトリの改名が行われます。 mv はファイルの移動にも使えます。 第二引数がディレクトリを指すパス名である場合、 第一引数の指定するファイル・ディレクトリを第二引数の指定するディレクトリに移動します。
「rm arg1」の arg1 にはパス名が使えます。
コピーしたファイルのパーミッションは rw-r--r-- になります。 mv はパーミッションを変えません。
コピー先のディレクトリ(ここで説明した方法ではカレントディレクトリに限る) に書き込みパーミッションがないとコピーできないなど、 パーミッションによってこれらのコマンドは成功したり失敗したりしますが、 前の説明のようにパーミッションを設定しておけば 「他人のファイルやディレクトリは見ることはできても変更はできない」 となります。
more は cat と似ていますが、 ファイルの内容を一画面ずつ見ることができます。 「-- 継続 --」が出て止まったらスペースで次の画面、 「q」で中止です。
タイピング練習を一生懸命やったひとは more ~/tx.scr で実験できるはず。
ここまでの「パス名」「ファイル名」という用語は JIS X 3030 (1994) 「移植可能なオペレーティングシステムのインタフェース (POSIX) ―第1部 応用プログラム向けのインタフェース (API)[プログラム言語C]」 という規格内の定義に基づいて使ってきました。
しかし、実際には「ファイルを指定するパス名」の意味で「ファイル名」ということが多いようです。 つまり、今までの言葉づかいだと /etc/passwd はファイルを指すパス名であってもファイル名ではなかったわけですが、 これをファイル名ということも多いのです。 同様に、「ディレクトリを指定するパス名」を「ディレクトリ名」と呼ぶことがあります。 今後はこのような言い方も使うことにします。
なお、本当に厳密にその規格に従うなら、 「ディレクトリ名」という用語はありません。 ディレクトリは特殊なファイルと考え、 上で「ディレクトリ名」と言っていたものもファイル名に含まれるのです。
「ファイルを作る」「ファイルの内容を変更する」 にはテキストエディタと呼ばれるプログラムを使います。 テキストエディタはいろいろなものが用意されていますが、 最初は textedit を使ってみましょう。
作りたいファイル・内容を変更したいファイルのファイル名を引数にとり、 textedit filename & のように起動します。 あとの操作はメールのときと同じです。 「ファイル」「保存」で打ったものが保存されます。 終わるには「▼」「終了」です。
「~iwase/tx をホームディレクトリに適当な名前でコピーすると、 その名前を打ち込むだけでタイピング練習ができるよ」。
試してみよう。
各自のホームディレクトリの下に public_html というディレクトリを作り、 そこに index.html という名前のファイルを置くと、 そのファイルは http://wwwedu.ipc.kanazawa-u.ac.jp/~???????/ (??????? は各自のユーザ名)という URL で学内から見ることができます。 そのファイルの書き方は ~cf7175/public_html にあるのを参考にしてください。
※ このような説明でどんな作業をすればいいかがわかることが、 きょうの最初に書いた「unix 入門の第一段階の突破」なのだ。
次回、もう少しくわしく説明してからこれを課題にする予定ですが、 きょうは時間のある人だけやってみてください。
ファイル tx.scr と tx.usr はやや特殊です。 パーミッションを 444 にしてあるので、 本人もすぐには削除したり変更したりできなくなっています。 ただし、移動はできてしまいますが、絶対に移動しないでください! 移動するとタイピング練習の続きができなくなります。