掃き出し法で連立一次方程式を解く

最初の例

連立一次方程式

を掃き出し法で解く。

以下で、最初の 3 行は、上の方程式の係数と定数項を書き抜いたもの。 そのあとは、右に書いた操作をしてゆく。 一度使った式も、そのまま残しておく。


134-7
25-1122 倍して引く
5-2155 倍して引く

134-7
0-1-926× (-1)
0-17-1940

134-73 倍して引く
019-26
0-17-194017 倍して足す

10-2371
019-26
00134-402÷ 134

10-237123 倍して足す
019-269 倍して引く
001-3

1002
0101
001-3

最後の 3 行を、連立方程式に戻せば

となり、x = 2, y = 1, z = -3 と解けたことになる。

次の例

上では、 「ある行を k 倍する(または k で割る)(ただし k ≠ 0)」、 「ある行を k 倍してほかの行に足す(または引く)」 の二つの操作だけを用いた。

次では、 「ある行とほかの行を交換する」 も用いる。 (クイズ:実はこの操作は上の二つの組み合わせで書ける。考えてみよ。)


0114いれかえ
1016
1108

1016
0114
1108引く

1016
0114
01-12引く

1016
0114
00-2-2-2 で割る

1016引く
0114引く
0011

1005
0103
0011

「解けない」例

次は、中学・高校の範囲では「解けない」とされるものである。 答えが一つに決まらないのである。


12-114
-2-30-23
38-752

解こうとすると次のようになり、その先はどうにもならない。

 

 


1034
01-25
0000

実は、これで解けているのである。 連立方程式に戻してみよう。

第 3 式はないも同然である。 第 1 式、第 2 式で、z は両方に現れているのに対し、 x, y は片方にしか現れない。

そこで、z = c(定数)とおく。この数は好きに決める。 すると第 1 式は x + 3c = 4 となるから x = -3c + 4。 第 2 式は y - 2c = 5 となるから y = 2c + 5。 まとめると

この三つを、元の三本の方程式に代入してみよう。

と c は消える。 つまり、c の値がいくつであっても、元の連立方程式は成り立つ。

「解けない」例をもう一つ


15214
15111
210325

これは次のようになる。


1508
0013
0000

第 2 式から z = 3 である。 y = c とおく。 すると x = -5c + 8 となる。 これで解けていることを確かめよ。


岩瀬順一