酷道157号線
金沢(石川県)―根尾村(岐阜県)

 酷道157号線...そう、あれはZZ-R400に乗る友人のMasaruとCB400SFに乗る彼の研究室仲間と一緒に、福井県の勝山に行った帰りのことである。
 国道157号線を使って順調に金沢〜手取川ダムまで来て、減速もしないのにブレーキランプをつけているうっとうしい車をパスしながら快適に山道を走り、勝山まで行って目的のソフトクリームを食べた後、僕は一人、実家に帰るために2人とは逆方向に走り始めた。
 勝山〜真名川ダムまではちょっと道に迷ったが、まあ快適に走れた。しかし、この真名川ダム当たりから地獄が始まった。
 真名川ダム付近では、「この先大型車通行不可」や「落石注意」などという”脅し文句”が何箇所か出ていた。ここで、僕の脳みそが「この先は危険なんだ。やめとくか。」なんて考えてくれれば良いものを、「大型車はダメでも2輪は大丈夫だな」とか「まあ、静かに走れば落石はあまり気にしなくて良いか」などと考えてしまったものだから、そのまま157号線を直進してしまったのである。お馬鹿な脳みそだ...
 そして真名川ダムを越えたあたりから酷道157号線が始まった。
 まずは、ダム付近の道路には砂や砂利でだけではなく直径3〜5pぐらいの小石がごろごろと転がっている。たまに20cmを越えるものもあった。しかもそのほとんどがカーブの入り口から出口にかけて(実際直線はあんまり無かったけど)。こんなのに乗り上げてしまったら滑るどころか転倒まで一気にいってしまいそうなんで、びくびくしながら走っていた。そんな道を1qほど走ったあたりから50T×50H×80Lぐらいのコンクリートブロックのガードレール(?)が付いた急カーブが出てくる。この急カーブの向こうはダム湖(麻那姫湖)へまっさかさまの絶壁になっていた。「日が落ちてからここを走る時は命がけだな。」と思いながらも「ここでドリドリやってる人がいたら尊敬するなぁ」とも思いながら麻那姫湖沿いの157号線を走り抜けた。
 で、ダム湖を越えてからは何も無い1〜1.5車線の山道を数キロ走って行くと前方に向こう側の見えるトンネルが...。しかし、このトンネルは工事中で通れず迂回路を廻るのだが、この迂回路というのがまたすごかった。ランクルとかがぎりぎりで1台通れるぐらいの道幅な上にでこぼこどろどろじゃりじゃりのダートで、下手なラインを通るとRFならおなかをするんじゃないかな。
 そんな道も無事パスして、また、どんどんと進んで行く。先へ先へ行っても行っても続くのは川沿いのグネグネしたアップダウンの激しい道。しかも、途中でぽつぽつと雨が降り出した。勝山で2人と別れてすでに2時間近くたっていた。その上、自分が今どこまで来ているかなんてGPSでも使わない限り解らないような場所で、ちょっと泣きそうになりながらトイレ休憩(実際にトイレは無い。つまり・・・・)。
 気を取り直して、走りっていると前方に滝を発見。しかもその滝から流れ出した水は道路の上を流れている!?なんてこったい、これからモトクロスでもないこのRFで川渡りか?って思いながら慎重にその川を渡った。前輪のホイールの内周が完全に水に使ってたから水深は15cmぐらいかな。この道路の上を流れる川は、自然に流れ出しているわけではなく、この道路を作る時から(?)道路の上を流れることが決まっていたらしい。なんせ、道路自体がそこの部分だけ水を流れやすくする為にでこぼこにしてあるんですよ。で、こんなところが全部で2箇所ほどと、本当に自然に流れ出している所が1箇所有ったかな。
 途中廃村みたいな数件の民家が立っていたが、ここに住んでいる人はたぶん自給自足なんだろうな。それから、道幅が0.8車線ぐらいの所や丸く継ぎはぎばかりしてある場所なんかもあって、非常にスリル満点な道である。
 そうそう、途中ですれ違った変わった車でパンダ車や二人乗っているサイドカーなんてのもいた。パンダ車の方は巡回だろうけど、サイドカーの方はあの道すべてを走れるのかな?