「スーパーニュース」取材 in 沖縄

 

   ジェスパへ 
 
    このたびは我々を沖縄旅行に連れて行ってくれて、ありがとう。
    ジェスパのお陰で楽しかったし、ジェスパの飼い主になれて本当に幸せだと思ったよ。
    これを機に、日頃の傍若無人な我々の態度と、暴言を許しておくれ。
                                                   ユウコ・アリ

と、言うことで3回目の沖縄・ケラマ旅行。 
なんと我々は、ジェスパに連れて行ってもらったのだった。(実際にはテレビ局の方に連れて行ってもらったんだけど。)
いつもケラマに行く時は、決まって早朝に羽田を出発する。 なぜなら、島に渡る船が港を出てしまったら
犬を泊めてもらえる所が那覇には無いからだ。  なのに今回はテレビ局の人が、ジェスパが泊まるペットホテルを
用意してくれた為 アリの会社が終わるのを待って、沖縄に出発した。

夜11時、沖縄に着くと小雨が降っていた。 
ペットホテルはおろか、他所に預けられた事など無いジェスパなのに本当に大丈夫? 
翌日には阿嘉島で、ゴジラ君と共に海に潜る取材があるのに・・。 きっと眠れないのでは・・・。
と凄く心配だった。  そうこうしてるうちにペットホテルに到着。
ジェスパを連れてタクシーを降りた途端、いっぱいの犬の吠え声と、鼻を突く悪臭に、胸が痛くなった。
折角だけど、こんな所に一時も預けられない! 東京に帰らせてもらいたいよぉ。

ところがである。 我々の願いが通じたのかペットホテルの人は呼んでも呼んでも、誰も出てこない。 
局の人は困っていたが、我々は心の中で「よっしゃーっ!」と叫んでいた。 ディレクターが東京のADさんに
「他にペットホテルを探せ」「動物病院も当たれ」と指示を出している間、どこも見つからないように祈った。  
幸いにして(?)ジェスパを泊めてもらえるペットホテルは見つからなかった。  

我々はディレクターと相談して人間用のホテルに迎い、ホテルの人に頼んで 屋根付きの車庫に泊めて
もらえるようにした。 それでも、心細くなったジェスパお嬢様 (←今回だけ主役)が鼻を鳴らし
最後には「ちょっとー、私を誰だと思ってるのよ〜っ!」と うるさく怒り出したので
ついには部屋まで連れ込む許可をもらった。 
凄いぞ!テレビ局効果 そして躾が全くなって無い犬の執念。

 執念で観光ホテルに泊めてもらったのだ。 ニンマリッ!

翌朝、いよいよ阿嘉島へ。
島に着いた所からすぐに取材開始となる。 まずはゴジラ君とのご対面シーン。 
我々もゴジラと初対面なのでワクワクしていた。 ゴジラはジェスパよりも一回り大きくて、逞しくってカッコ良かった。 
ゴジラはジェスパを見て気に入ってくれた様だったが、相変わらず人にも犬にも無愛想なジェスパの頭の中は
すでに目の前に広がる海の事でいっぱいのようだった。

そんなに海に入りたいのなら・・と、さっそく本題の素潜りの撮影へ向う。
ところがゴジラの飼い主で、ダイビングショップオーナーのゴジ父によると、海は荒れていて
決して良い状態では無いと言う。 ジェスパは潜ってくれるのか?  「取材で沖縄〜♪」なんて、
本当に飛び上がって喜んだ我々だったけど、6歳になるジェスパに無理をさせているんじゃないか、
潜れなかったらテレビ局の人にも迷惑が掛かる・・等 不安が湧いてくる。

ゴジ父が風が当たらず、比較的 波が穏やかな場所を見付けてくれ撮影を開始する。
カメラが2台、海底に待機し、我々は犬達と海面に浮かんでタイミングを見る。 ゴジラはゴジ父の合図で潜っていく。 
体を回転させて、若くて力強い。  一方のジェスパは合図で潜ると言うことを知らない。
(要するに自分のタイミングで勝手に石を追っかけて潜っている) だからいつも少しゴジラとのタイミングが合わず、
おまけに飼い主の我々は(忘れていたが)かなりのへなちょこダイバーな為、
“すぐに流される・波間に揺られて酔う・溺れる”
ハッキリ言ってジェスパ様ご一行は、撮影の邪魔であった。(^^;ゞ

とりあえず何とか取材を終わらせて宿へ帰るが、念の為 翌日も再撮影する事になった。
東京を出てからずっと興奮状態にあったジェスパは、すぐに白目を剥いて眠ってしまった。 お疲れ様。

  お世話になった撮影のスタッフの方々 


翌日は、珊瑚と魚が多く居る場所へ移動した。
透明度は高かったものの流れと波と風はもっと酷くなったみたいだった。 
石を手に持ち水面でジェスパの攻撃を撃退しながら待機していたユウコは、潮の流れがあるポイントなのか、
天候のせいで流れが早いのか、気が付くと流されていてカメラからドンドン遠くに行っておリ、ゴジ父に叱られていた。
しかも、波が高く酔い性のユウコは、シュノーケルとマスクに涙と涎を貯めながら 半分真剣に溺れていた。

ヘなちょこ隊に限界が近づいて来たのを察知したゴジラとジェスパが、頑張ってディレクターのO・Kを貰ってくれた為
無事に我々は過酷な任務を終了する事が出来た。  はぁ〜っ、良かったよーーーー。

    ゴジラ、潜るっ!       ジェスパも、潜るっ!


テレビ局の人はこの日に東京に帰る事になっていたが、我々はちゃっかり1日延泊させて貰う手はずになっていた。
午後、局の人が帰って 急に肩の荷が降りた気がした。 よぉ〜っし、ここから1日半がケラマ旅行の本番だぁ〜!

早速、午後のダイビングへ向う。 が、やっぱり波が高くて入れるポイントが無い。
オーナーのゴジ父も「今日は潜っても、ただ潜るって言うだけだぞ」と言って岩場の洞窟に案内してくれた。
潜ってみたら魚も珊瑚もほとんど無い所で「なるほど、本当に潜るだけだ」と思った。 
それでも日頃ダイビングに飢えている我々には楽しかったが。 

ゴジラはダイバーがボートに上がる際、ダイバーからフィン(足ヒレ)を受け取る係りを買って出て
ダイビングショップの一員らしい働きをしていた。
それに引き換えジェスパは、久々に南の海に遊びに来た、浮かれきった観光客の一員らしく 「いい加減に上がれっ!」
と言われるまで海で泳いでいた。

        
        ゴジラとジェスパ、仲良く泳ぐ                                    そして、満足そうに笑う

夜はショップのオーナーの奥様・愛ちゃんが作る沖縄料理を頂いた。 紅いもの天ぷらも、ラフテもみんな
那覇で食べた郷土料理屋よりもずっとずっと美味しかった。 (出来ればもう1度、いや 今すぐ食べた〜い)
食卓では、やっぱり犬談義で多いに盛り上がった。
食後は、ショップの地下室にあるライブハウスで 息子(小学生)の和丸君の天才的なドラムの演奏を聞いた。
これは本当に「凄い!!」の一言に尽きる。
布団に入ってもドラムのリズムが残って頭はギンギンに冴えてるのだが、体は相当疲れていたらしく
知らない間に爆睡していた。

 ジェスパも特別にライブハウスに入れてもらって、和丸君と記念撮影。

あっという間に最終日の朝を迎えた。 もう帰る日なので午前中だけ潜る事にした。 
この日は前の2日(撮影のあった日)に比べると、風も波も穏やかで太陽も燦燦と照っていた。 
(きっとスタッフの中に嵐を呼ぶ男がいたに違いない・・)
ボートでポイントに向う間も水面が日に照らされて、本当に綺麗だった。
この日のポイントは、レタスのような形の珊瑚がひしめく所だった。  一面の珊瑚礁のレタス畑の中を小魚と一緒に
泳いでいると肩から力が抜けて体がフワフワと浮くような気分で爽快感があった。
最終日に凄く気持ち良いダイビングが出来たので、我々はかなり上機嫌だった。 

    
   海は荒れていたが、この透明度。 さすがケラマ          「お嬢さま」と呼ばれても、やっぱりサンダル喜んで運ぶ「奴隷」の図

ダイビングの後、ゴジラ一家は、和丸くんのライブがある為 我々より一足先に那覇へ行ってしまった。
「さよなら」を言って別れたが、ゴジ父と和丸くんは3日間一緒に居たジェスパが居なくなるのが寂しいと言ってくれ
「また来いよー」と何度もジェスパにだけ言っていた。 あのぉ〜、我々の立場は・・・。(^^;ゞ

宿に帰り昼寝をしていたら、大事な事を忘れていたのに気が付いた。 
阿嘉島と言えば「ニシバマビーチ」と言う有名なビーチがあるのに、行ってなかった! 
高速船の時間まで、まだ間がある。 慌てて帰り支度をすませて、ショップのお姉さんに軽トラで連れて行ってもらった。 
「ビーチから宿までは歩いて20分位あるので、船の時間に遅れないで下さいね」と言い残し、お姉さんは去って行った。
我々も「ありがとーー♪」と明るく手を振り別れた。 

     
          白砂が永遠と続く西浜ビーチ                             珊瑚拾いに熱中するジェスパ

ニシバマは、座間味の古座間味ビーチよりも真っ直ぐに浜が続いていて、人っ子一人いない為か だだっ広く感じた。
水の青さも抜群で「いやぁ〜、来て良かったねぇ!」と大はしゃぎで記念撮影なんかしていた。
・・・・がっ、本当は来てはいけなかったのであった。
まさか、最終日の最後の最後になって お約束のあれ・・・旅のお土産“ハプニング”があろうとは・・・。

砂浜でちょっと記念撮影だけ。 の、つもりだった。 でも、ニシバマビーチを目の前にして我々が(ジェスパが)
写真だけで帰れる訳もなかった。
「そろそろ行かなくちゃ、やばいよ!」 「わぁっ、ホントだ」 急ぎ足で来た道を引き帰す。 10分位経過。
汗が額を走り、顔が真っ赤になるが、まだまだ半分も戻っていない。 「お姉さん、20分って言わなかったっけ?」
「そう聞いた気がしたけど、聞き違え?」  どうしよう・・。 
船はこの日の最終便で、乗り過ごしたら飛行機にも乗れない。 心ばかり焦ってるのに、足がなかなか前に進まない。 
なんだか夢の中で、悪人がら逃げてるような感覚だった。

ところがそこへ、港へ向う真っ赤に光る神様の車が!(本当は荷台にタンクを積んだダイビングショップの車)
我々は身を呈して車を止め、「あぁ、神様。 どうか、この愚かな私達を乗せて下さい。」と言った。
車を運転していた茶髪の神様は、かなり不信そうに我々を見たけれど「どうぞ、どうぞ。」と快く乗せて下さった。 
我々は心から感謝しつつ、「急いで! もっと早く〜っ!と荷台から叫んだ。

港に着くと船は岸壁に着いていて ビーチに送ってくれたお姉さんが、心配そうに荷物を持って待っていてくれた。
あぁ、ごめんなさい。(涙)  時計を見ると、出発まであと15分位あったので、とりあえずユウコがチケットを買いに、
アリは庭に干していたダイビング器材を片付けに宿に戻る。 仕事を終えたアリの携帯に、泣きそうな声でユウコから
電話が入った。 「早く!もう船がでるよ。私達を待ってるんだよ!」 時計を見るとまだ出発の時間には10分ある。
とにかく港まで車を飛ばすと ユウコが船に片足を掛けて待っていた。私達が乗り込むと船はあっという間に出航した。

そんなこんなでショップのお姉さんにちゃんとお礼も言えなかった・・。 
それにしても、船の出航は早まったのかなぁ?と、思っていたらお姉さんが私達に教えてくれた時間は、
なんと、次の停泊場・座間味島の出発の時間だったのだ。 
「おねぇさん、3日間ありがとう。 そして、こらーーーっ!(笑)」 

しかし、お陰で飛行機にも間に合い 3泊4日の思い出の詰まった旅が終わった。
テレビ局の方々、ゴジラ家の皆様、ショップのお姉さん、そして、ジェスパ。 ありがとう 楽しかったよ。

 バイバイ、ゴジラ。 最後の記念撮影

お終い。

ちなみにゴジラ&ジェスパの撮影の様子は、数日後の「スーパーニュース」で放送された。 
例に漏れず、「大好評でしたよぉ〜」とテレビ局の人に言われたが、本当かどうかは定かで無い。

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