Tektronix 475 Oscilloscopeの不具合対策(Dec 2-3, 2007)

12月2日・・・通電中に電気部品が焦げる匂いがしたため慌てて電源スイッチを切る。その際ブラウン管は全体が薄く光っていた。

一体何なんだろうと思い、ケースから本体を引き出した。高圧電源の何処かが焦げたのかと思い、金属カバーを外してみるが特に変わった様子はない。ブラウン管周辺の高圧部も確認したが同様だった。 高圧部品に付着した黒い埃が気になり、念のためブラシをかけ埃を落とした。
この作業が効いたのかどうか分からないが、恐る恐る電源を入れ直すと見事に復活。 あれだけ匂うのは何か問題が有ったに違いないと思い一晩中通電したが動作に異常は無かった。
これ幸いとケースに戻したがどうも合点がいかない・・・これってエンジニア気質?。
12月3日、メーカーでもサービスを打ち切ったTektronix製品のメンテナンスで有名な、静岡県裾野市のエバーテック社へ状況を伝えるメールを送った。
すると担当のS氏から返事があり、デカップル用に使われているタンタルコンが怪しいと連絡があった。古くなると焼損する事があり、その後はオープン状態になるので電源を入れ直すと復旧するとの事で、デカップル用なので余程の事が無い限り動作してしまうらしい。内部写真付きの貴重な助言だった。

そうだったのかと手を打ち、再びケースから取り出し今度は基板上のタンタルコンを入念に探しまくり遂に発見。手持ちにタンタルコンが無かったので代替えにケミコンを投入し完全復旧に至った。

エバーテック社は前述のように、既にTektronixがメンテナンス終了をアナウンスした製品を積極的に整備している。世界中に残る部品を集めこれに当てているのだ。面倒な事に挑戦される姿は、我々オールドユーザーには大変美しく見える。古いTektronix製品を大切に使っている個人ユーザーはもとより、有名製造メーカーや放送局からも整備依頼がくるようだ。
写真上は復旧した475オシロスコープ。輝線がやや太く見えるのはケースを外しているのでノイズを拾っているため。左は不良タンタルコンをケミコン(青色)に交換した様子。オレンジ色はオリジナルのタンタルコンで、これと同じものが付いていたと思われる(焼けて原型不明)。

オーナーはこの475(200MHz)や465(100MHz)は、電気的にも機構的にも本当に良くできた製品だと思っている。製造から既に30年を超えた今でもなお、当時の性能を発揮し続けているのだから・・・。