同軸ケーブルのシールドに乗った高周波の悪戯

写真は144MHzアンプで出力をリンクコイルで取り出し、出力コネクタ間を結んでいた5D-2Wです。長さ約30cmの内の一部です。ケーブル途中の被覆が溶け一度風船の様に膨らみ冷えて萎んだ状態になっています。写真右は左と異なり、やや広い範囲にわたり被覆が溶け出したものです。一体こうした現象はどうして発生するのでしょうか?。
同軸関係にある芯線とシールド内側間は正常に働き出力コネクタに500W級の電力を出力します。写真は、リンクコイル側のコールド部(シールド側)を接地せずに作られたものです。比較的低い周波数やオーディオでは、シャシに高周波や信号を流したくないが為によくやる手法なのですが、周波数が高くなると訳が違います。
リンクコイル側のシールドはシャシに対しオープンですがコネクタ側は接地されており、先端短絡の伝送路とみなせ固有の共振周波数を持ちます。したがって出力周波数に共振すればシールド外皮とシャシ間で構成される伝送路に高周波が乗ることになります。先端短絡で電圧のヌル点があれば何処かに電圧のピーク点が発生し絶縁体の破壊を招きます。
この例は同軸の長さが共振長付近にあった事が悪戯の根源ですが、リンクコイル側のシールドは必ず最寄に接地する事が大切です。小電力の場合なら気にもしないで済んでしまう場合が殆どですが、高電力では浮いた金属や、片側が接地されていても長さを持った金属には要注意です。