真空管式無線機の定期通電の勧め(Dec 29. 2015)
はじめに
R-390Aや51S-1、そしてKWM-2/2Aなどの真空管式受信機やトランシーバは、製造後すでに半世紀を超えているものもある。
所有するR-390Aは 1954年(昭和29年)製造で私の歳と同じだ。51S-1やKWM-2/2Aについてもそれに近づいている。
たまに電源を入れると、立ち上がり特性が良くなかったりすることがある。たとえばR-390AではAF出力に誘導音が混入し、消えるまで5分程度を要すとか(電源ケミコンはOK)、51S-1では立ち上がり時のSメータゼロADJのずれが確認できる(電源電圧の変動か)とか…。
抜本的な対策を行うのが筋だろうが、決定的な不具合ではないし、時間が経つと復旧するためそこまでは力が入らない。
部品の経年変化が主な原因と考えられるが、これらの課題を定期的な通電により回避する事にしている。

当初はオーディオタイマー
当初はオーディオタイマー(A&D製DC-138)を使い、1週間単位で2系統のAC制御を試みた。
ところが、一定時間の停電があると時刻データやタイマーデータがリセットしてしまうため、この目的には合わないことが使ってみて分かった。
もっとラフでシンプルなAC制御で十分と言うのが結論だ。
DC-138は良くできているが、操作が複雑だし、この目的にはオーバースペックだった。

結局機械時計式のタイマーに落ち着く
昔からある機械式時計のACタイマー(REVEX製PT25/1500W)に落ち着く。
通常運用する時に備えてタイマーは操作しやすい場所に設置し、スルースイッチを見える様にしておく。
このタイマーは24時間式で、円周状に配置されたピンを操作することで、15分単位で時間を設定する事が出来る。
1日1回の定期的な通電により、劣化している部品の活性化が実現し、安定な動作が確保できる様になる。真空管無線機はまさに生き物の様だ。

無線機に限らず真空管を使用した機器は、URM-25等のRF-SSG、そしてVTVM(真空管電圧計)、さらにオーディオアンプまで多岐に及んでいる。たまには電源を入れようと思っても、中々定期的には難しい。そういう向きの方に是非お勧めしたい。