SANSUI AU-D907 Limited 低圧電源トランスの修理


Yahooオークションで購入したSANSUIのプリメインアンプAU-D907 Limitedが持ち込まれた。1979年の製造とあるから既に23年を経過し、SANSUIのサービスでは修理をしてくれない。止む無く・・・いやいや、楽しみながら自分で直す事にした。依頼主は息子達である。


症状は電源ON後プロテクションは解除されるが、全く音が出ない。電源を調べると、トロイダルトランスの系統は直流出力までOKだが、小型EIコアのトランスは2次側のAC出力が無い。これだ!と当たりを付けトランスの周辺を確認する。2つある2次巻線はOKだが、1次巻線が明らかに断線している。トランスを外し断線箇所を確認すると、リード線部分は問題なく明らかにトランス内部(1次巻線)で断線している。
意を決してトランスを分解する事にした。写真はそのときの様子である。コールドエンドが茶色、ホットエンドが赤色のリード線がつながれている。幸か不幸かこの作業中に1次巻線内にハンダ付けポイント発見。リード線は無く絶縁被服で覆いコイルの隙間に押し込んであった。このポイントとホットエンドとコールドエンド間の導通をみると、コールドエンド間はOKでホットエンド間はNGだった・・・ラッキィ!。ここに赤色リード線をつなげば回復できる!。ワニ口リード線で1次側に100Vを加え2次側を確認すると、67Vx2(橙色)と45Vx2(黄色)が出力された。
その後回路図がSANSUIのカスタマーサポートから届いた。見ると、温度ヒューズ(ThermoFuse)をバイパスしていた事が分かった。以上の作業で無事動作が回復した。23年も経っているので、別の特性劣化やNG部分があるかもしれないが、取り敢えずは通常のオーディオアンプとして機能している。
しかし何で断線したのだろう?・・・1次巻線のホットエンドと赤色リード線との接続状態は、コイルの中でワニスに固められていたため確認できなかった。追い込んだがリード線を外すために引きちぎってしまったから。壊れたものが直った瞬間ってのは、今までの苦労を吹き飛ばす効果があると再認識。