受電電圧降下救済オートトランスの実験

十分な受電容量と配電容量があればこの様な苦労は必要ないと思います。しかし現実にはAC100V受電で15Aも流せば95V程度まで落ちるケースは結構あります。受電が最初から高目の地域では104〜105V程度あって、落ちてもまぁ何とか100Vは確保できる場合がありますが・・・。
それで手持ちのトランスを使って受電電圧をステップアップするオートトランスの実験を行いました。オートトランスはスライダックその物です。米国製のAC115V機器を国内のAC100Vで使うために良く使われていました。また昔の真空管TVでも使われていた事を思い出します。仕組みは簡単でシングル巻き線上に目的電圧と100Vタップを設けるだけです。
ここでの実験は、1KVA級トランスの1次側100Vと2次側の6.3V巻き線をカスケードに接続し、AC100VをAC106.3Vにステップアップするものです。図に巻き線の接続状況を示します。それぞれの巻き線の位相は加算される方向「100+6.3=106.3V」に接続しないと「100-6.3=93.7V」となってしまいますので配線時に確認します。
これで受電1.5KVA以上の負荷でも何とか100Vの供給が可能になりました。但し軽負荷時は108V程度に上昇するので、それなりの注意が必要です。負荷は144MHzリニアアンプで行いましたが、受電電圧が96Vから100Vになった事で、今まで1KW出力だったのが1.2KW近くまで伸びる様になりました。プレート電圧の上昇もさることながら、スクリーングリッド電源が常時安定化領域で動作するようになった為です。
なおこの実験はあくまでAC100配電しか持たない場合の話で、本来なら1.5〜2KVA以上の負荷では200V受電した設計が必要でしょう。