BCL(Braod Cast Listening)のページです

中3の1969年当時、海外からの短波放送を受信して局宛てに受信報告を行い、ベリカード(Verification Card)集めに熱中していた。受信報告はSINPOコード(S:信号強度、I:混信、N:空電、P:フェージング、O:了解度の5項目を5段階の数字表示)で行っていた。受信設備は、自分で製作したスーパーヘテロダインラジオに、7MHz用のダイポールアンテナだった。季節ごとに周波数が変わるため、プラグインコイルによるバンド切り替えで対応した。この方式は、プラグインコイルの巻き数を可変するだけで簡単にオールバンド(オールウェーブ・・・古〜ぃ)を聴け、大変重宝した。
周波数表示は粗末なもので、現在のように待ち受け受信など夢のまた夢だった。周波数は、最寄のJJYやWWVで校正するが、ちょっと離れると全く闇雲状態だった。このため、もっぱら放送開始前や終了後にアナウンスされる周波数を書き取った。この周波数は、電波伝搬を考慮して必ず複数が組み合わされており、また季節により変更されるので、その情報をいち早く入手し、雑誌(初歩のラジオ)にリポートするのも楽しみのひとつだった。
以下所蔵しているベリカードの一部を掲載した。短波放送の受信は、その後アマチュア無線を始めてからのDXingで、コンディションを掴むのに良い情報源となった事は言うまでも無い。また短波放送の果たしてきた歴史的な役割は、アマチュア無線のそれと異なり、東西冷戦後の今(2002年1月)考えるとやや複雑な思いがする。


Radio Australia

ワライカワセミのけたたましい鳴き声で始まる放送は余りにも有名。現在は日本語放送が休止されている。両者とも11.81MHzで、左は1970年5月23日19時17分、右は同年9月18日19時4分に受信したもの。なお右は日本語放送10周年を記念して発行されたベリカード。リスナーズクラブが1970年頃にでき、これに参加したらPinバッヂと会員証が送られてきた。


BBC

BBCからのベリカード。前記のRadioAustraliaと共に、強力で内容も豊富だった。放送開始はビッグベンの鐘の音であった。このカードにはThank you for your report・・・とあるが、詳細は一切書かれていない。周波数は11.955MHzだったと記憶してる。


Deutsche Welle(West Germany)

ドイチェヴェレ(DeutscheWelle)はケルンからの放送で、受信にはてこずった局のひとつである。このカードは1970年10月15日20時31分、21.650MHzを受信して得たものだが、貧弱な設備での受信は季節や空中状態に大きく依存していた。


FEBC(Far East Broadcasting Capany)

FEBCは極東放送とも呼ばれ、フィリピンのマニラから放送を出していた。距離が近い事もあって、11.92MHzと9.575MHzで毎晩強力な信号を送り込んでいた。放送所(出力50KW)はケソンシティーにあったと記憶している。カードには"Christ to the World by Radio"と書かれている。当時中川氏がアナウンスを担当されていた。最盛期には、リスナーズフェローシップというリスナーの集いがあり参加していた。効力はとっくに無くなっているが、今でもPinバッヂと会員証がある。


HCJB(Heralding Christ Jesus' Blessings)

「さくらさくら」のメロディ・・・で始まる日本語放送は「アンデスの声」として親しまれていた。このカードは9.715MHzで、日本時間の1970年9月7日21時前後に受信したものである。南米方面のコンディション把握には好都合だった。この局は多彩なベリカードの発行が有名で、また印刷の精度も当時としては高かった。アナウンスは尾崎氏他が担当されていた。


KBS(Voice of Free Korea)

お隣韓国の国際放送。隣国なので、どの周波数でも季節を問わず強力な信号で届いていた。このカードは1970年5月5日22時59分に6.135MHzで受信したもの。よど号ハイジャック事件(1970年3月31日)では、何処よりも早い情報をこのKBS国際放送から得る事が出来た。


Radio Moscow

誰でも知っているモスクワ放送。1970年2月2日17時30分、9.69MHzで受信したもの。今から(2002年)から考えると東西冷戦時代だったが、モスクワ放送は北京放送のように極端なプロパガンダ放送はしていなかったように記憶する。オープニングに使われた音楽や、ロシア民謡などのメロディが記憶の中にある。また、キャリアレベルに対し変調レベルが低めに設定してあったようで、独特な音色だった。


Radio Pyongyang(D.P.R.K.)

朝鮮民主主義人民共和国の国際放送ラジオピョンヤン。絵葉書の裏に、タイプライターで受信報告証明を打ち込んである。1970年7月12日22時、6.540MHzの受信となっている。


Voice of Free Chaina(Taiwan)

北京放送に対抗して「自由中国の声」として台湾より放送を出していた。近距離なので毎晩強力な信号を聴く事ができた。ベリカードと共に、蒋介石主席の写真を焼き込んだPinバッヂが送られてきた事もあった。1970年6月27日晩、7.130MHzで受信したもの。


Radio Vatican

バチカンラジオのベリカード。この局はモスクワ放送やVOAのようなハイパワーは出しておらず、いつもカスカスで中々捕まえ難かった。1970年6月30日6時50分に受信したものである。


Radio Veritas

フィリピンのマニラから日本語試験放送をしていたRadio Veritas。このカードは1970年9月25日20時48分に15.170MHzで受信したものだが、この年の2月12日FEBCをチューニング中に11.830MHzで初めてその存在を知った。「試験放送中・・・リポート求む!」のアナウンスに、住所もはっきりしないままマニラに手紙を出し、返信があったときの感激は忘れない。ただし結局は本放送には至らなかったようだ。


Voice of Vietnam

ベトナム戦争時代のVoice of Vietnam(ベトナムの声放送)。米軍が毎日北ベトナムを空爆していた頃のカード。いやカードと言うより、紙の受信証と呼んだ方が適当かも知れない。写真では分り難いが、大きさはおよそA6大である。所在地は58 Quan Su Street HANOIとなっている。1970年7月6日1時12分、15.02MHzで受信したもの。


Voic of America

VOAが日本語放送をやっていた頃の貴重なカード。1970年2月13日、7.160MHzで受信したもの。送信は返還前の沖縄で行われていた。VOAの信号の強さは圧倒的で、北京放送・モスクワ放送と並んで、何処でも、どの周波数でも季節を選ばず聞こえていた。


WWV

WWVは米国コロラド州フォートコリンズにある標準電波送信局。まさかこんな所からカードを貰えるなんてと思っていらっしゃる向きもあるかも知れない。電波を出す所は放送・通信を問わずこうしたサービスをやっている。このカードは1970年5月17日19時10分に10MHzの標準電波を受信したことに対して発行されたもので、No.6787の印刷がある。WWVは10MHz以外に、2.5/5/15/20/25MHzの標準電波を同じ地点から出していた。
なお米国の標準電波は次項のWWVHとWWVBがある。WWVBは60KHzでWWVと同じフォーとコリンズから送信している。WWVB のサイトを覗くと・・・WWVB is used for high level applications such as network time synchronization and frequency calibrations・・・とその使用目的を明示している。またWWV/WWVHのサイトも興味を引くデータが掲載されている。


WWVH

WWVHはハワイのマウイ島にある標準電波送信局。このカードは1970年5月7日10MHzの受信に対するものである。時間や発行No.の表記が無く、米国本土のWWVより扱いがややルーズに感じる。


KDD

これも意外なカードに思われるかも知れません。国際電信電話株式会社KDDが、短波で行っているSSB回線でのアナウンスに対して送ったリポートに対して発行したものです。記載内容は、Station:KDD名崎、CallSign:JBE47、Frequency:7.697MHz、Output:10KW、Ant:RH.27900となっております。


JJY

我がJJYも米国のWWV/WWVH同様にベリカードを発行していました。JJYは2.5/5/8/10/15MHzの標準電波を出し続けていましたが、現在はその役割を終え停波状態にあります。但し、停波したのは短波帯のJJYのみで、長波帯JJYは運用を続けています。詳細は日本標準時グループサイトをご覧下さい。


NSB日本短波放送

現在のラジオNIKKEI(旧ラジオ短波)、昔は日本短波放送と言った。以前はJARL監修によるアマチュア向けの番組や、技能講座的な番組があったが、現在は???。これは1970年5月4日22時34分、3.925MHz(1stPro)を受信した時のもの。現在では(2002年)インターネットでもラジオ短波を聴く事ができる。


Radio Japan 1970(NHK国際放送)

Radio Japanは当時国内向けにはベリカードを発行していなかった。写真は受信報告に対して送られてきた渋谷の放送センターの写真。1970年前後のものと思われ、本館ビルやNHKホールが未だ出来ていないし、中央奥に今は無い鉄塔が建っている。


Radio Japan 1957(NHK国際放送)

Radio Japanは、1957年当時にべリカードを発行していたと名古屋のK.Maeda氏から連絡を頂いた。写真は氏が受領したベリカードで、念のため裏面も掲示しておいた。受信日Nov 6,1957、Frequency 9.525Mc/s、Station JCB-20とする記述がある。


地上デジタル放送のベリカード

DXとは趣を異にするが・・・2003年12月1日より中京圏(他に関東・関西)で始まった地上デジタル放送の受信報告をすると、写真の如きべリカードが発行される。NHK担当者によれば、瀬戸デジタルタワーからの放送(JOCK-DTV・JOCB-DTV)が対象で、2004年秋開始予定のNHK岐阜(JOOP-DTV)や2005年春開始予定のNHK津(JONP-DTV)は対象ではない。 電気店にある受信報告ハガキに必要事項を記入し切手を貼り投函すれば郵送されてくる。記入内容は氏名・住所・受信開始日・アンテナ種別・受信レベル・BS受信の有無など。オーナーが受領したカードの右上にはNo.300-0006と記されているが、これは「愛知県の6番目か?」と勝手に想像している。