CAN型同軸スイッチの試作
バレンタインデーで貰った(事にしている)チョコレートのブリキ缶が、丁度100feetの16mmフィルム缶に似ていた。直径が100mmで厚さ30mmあるからフィルム缶よりちょっと厚めだ。この平らな缶を見ると直ぐ同軸切替スイッチを思い出してしまう。その昔、故JH1BAN藤村有弘OMのシャックで、壁に取付けた切替スイッチにまるでタコ足のように同軸がつながっていた様子が目に浮かんでくる。
そこで昔の思い出に浸ってみようと、余りコストを掛けないでこの缶を利用して同軸切替器を作ってみた。切替系統は4つとし、コネクタは外周ではなく背面に配置しケーブルを束ねられるように工夫している。

構造と製作
缶にM型コネクタをロータリーSW端子の放射上でかつ円周上に5個配置する。M型コネクタはMBRで、穴サイズは16mmΦ。
ロータリーSWは日本開閉器のHS-13Z、1回路4接点で接点容量は6A。
配線は1.6mmのスズメッキ線を使用。
フロントパネルになる蓋は中央に8mmΦの穴を開け、ローターリーSWの軸にナット締めする。何も目印の無い缶の中心を決定するにはセンターマーカー等のツールを自作しておくと綺麗に作業できる。
ロータリーSWとM型コネクタは福井市のマルツ電波で購入。
固定用のアングルは穴開きステンレス板をコの字型に曲げる。
缶の両サイドに5mmの穴を開け、5mmにビスをワッシャを挟みナット締め
更にステンレスアングルをあてがい、大型ワッシャを挟んで蝶ネジで締める。
材料は福井市新保のワイプラザで購入。

非常にローコストでシンプルだが電気的特性は以下に示すように大変良好。
休日の一時を使ってこうしたグッズを工作するのは大変楽しいものである。
シャックにセットすると中々の存在感を示し楽しくなってくる。現在は金属地肌丸出しだが、塗装やレタリングを施すと更に締まってくる筈だ。

SWR特性
左はSWR測定中のスナップ。SWRアナライザはBR-510D/Kuranishi、50Ωターミネータは401-1F3/MECA。下図は1.8〜430MHzまでのアマチュアバンドにおけるSWR特性を示している。ローターリーSWの選択は45度ステップで経路や長さが変わるため、430MHz帯でSWRの上昇が見られる。誘電体を充填すれば改善が図られるかもしれない。グラフの数字は各切替系統で、コモンに対し1番は折返45度、2番は90度、3番は135度、4番は180度の位置にある。50MHzまでは全く問題なく144MHzについても実用上は問題なく使える。