可逆型サーキュレータは分配器に使えるか?

可逆型サーキュレータの励磁を止めたら分配器として使えないだろうか?。可逆型は、電磁石に流す電流の方向を変える事により磁場の向きが変わり、RFの進路(回転方向)を反転させる事が出来る。一般のサーキュレータにはフェライトによる永久磁石が使われ回転方向は固定である。したがって、電磁石を停止させたらどうなるだろうか?・・・と言う疑問が自然とわいてくる。写真は測定中のサーキュレータCU173S(TDK)で、B番がRF入力、@番がパワー計、A番がダミーロードにつながりハーメチック端子は内部で励磁コイルにつながっている。サーキュレータの励磁電流の方向を変えれば簡単に回転方向を変えられるため、マイクロウェーブ帯では高周波スイッチとしての用途もある。サーキュレータ本来の目的は、負荷SWRの悪化で発生する反射電力をアンプ側に返さず第3のポートに返し完全終端させ、アンプの保護を狙ったものである。

表はその測定結果である。この数字はケーブルやコネクタのロスを含んでいるので多少多めに出ている。なお無励磁にした事による各ポートのSWRは測定していないが、50Ω信号源と想定し負荷をつないだ場合、反射量は-20dB程度になったのでSWRは問題ない値と推測する。 これにより2系統への分配がそれぞれに5dB程度のロスで可能である事が分かった。したがって2分配分の総合ロスは3dB以内に収まっている。アンテナレベルの分配は辛いかもしれないがLNA以後の分配なら使用に耐えるだろう。