TP-Link/CPE510の工事設計認証品と非認証品との違い(Mar 27. 2019)
はじめに

2017年の秋頃、TP-Link JapanよりCPE510と称する屋外専用の5GHz帯無線LAN端末が発表された。奇しくもマウンテン・リモート・シャックの連絡回線に2.4GHz無線LAN端末を使用している最中で、その伝送速度について疑問を抱いている頃でもあった。
翌2018年になり、複数台を購入し室内で突き合わせテスト等を行っていたが、実は同じCPE510でも工事設計認証が取れた製品と、並行輸入された非認証品が存在することが後になって分かった。
ネットショップの複数の販売店から購入したCPE510を見ると、外箱や本体は一見同じに見えるが、認証品には外箱と本体、場合によっては保証書に認証シールが貼られている。並行輸入品にはそのシールが無いばかりか保証書もない。さらにWebサーバーのDeviceInformationを覗くと、認証品はDeviceModelがCPE510 v3だが、並行輸入品はCPE510 v2となっている。
違いはこればかりかと思って突き合わせテストをすると、相互に信号を感じない状況になり妙!。Webサーバーに入り調べると、同じ5GHz帯でも使用している帯域が異なり、さらに設定出力電力の最大値が異なっていた。またWebサーバーで見るメニュー項目にも若干の違いが見受けられたのだ。
ここでは、その違いについて調べた内容について記したい。
CPE510は、アンテナ内蔵で2.5kmのスパンで300Mbpsの伝送を保証しており、革命的な製品であることには違いが無い。当局のリモート設備の場合、送信所〜通信所間が2kmであり、現在市場に出回る無線LAN端末として最適な物と思われる。
左は2019年3月、マウンテン・リモート・シャックのタワートップに取り付けたCPE510。奥に見える道路は新東名高速道路の新清水JCT。


CPE510外箱と外観の違い

左は外箱の裏側のツーショット。
左が認証品で右上に認証シールが貼られている。
右は非認証品(並行輸入品)で認証シールが無く国内では使用できない。

下は認証シールのクローズアップ。その右は本体の外観。左の下方のコネクタカバーに認証シールが貼られている。しかしこれ、カバーが取り外し式だから、混在させると認証品と非認証品の区別が外観だけではつかなくなってしまう恐れがある。要注意だ。
混乱を避けるためとコンプライアンス上、非認証品はお蔵入りするのが良い。


左は外箱の表側のツーショット。
左が認証品で右が非認証品(並行輸入品)。
表記のし方が似ているようで似ていない。

下は外箱上部のツーショット。 左が認証品で右が非認証品(並行輸入品)。
認証品は5年保障の日本語シールが貼られているが、非認証品は2年保証の英語シールが貼られている。




CPE510内臓スペアナの周波数表示の違い

TP-Link_Japanが供給するCPE510(工事設計認証)の内臓スペアナ表示周波数。
5500MHz〜5700MHz(W56)で、国内では5GHz帯の屋外装置に認められる唯一の専用帯域。
これ以外の5GHz帯域の無線LANは全て屋内でしか使用できない。
注:W52は2018年7月頃、電波法施行規則の改正があり屋外使用が認められた模様。


並行輸入CPE510(工事設計認証非取得)の内臓スペアナ表示周波数。
国内では屋外用として認められていない5180MHz〜5240MHz(W52)と5745MHz〜5825MHz(?)が測定できる。


これらを見る限り。認証品は並行輸入された非認証品との通信が出来ない。復数個購入したモノを使い突き合わせテストすると、相互にRF信号すら確認できない(LEDのレベルメータが振れない)。そもそも、認証品は屋外専用帯域(W56)を使用する屋外機で、非認証品は国内法では屋外では使用できない周波数帯(W52他)となっている。


CPE510最大出力レベル設定の違い

TP-Link_Japanが供給するCPE510(工事設計認証)のWIRELESS設定メニュー表示。Transmit Powerが最大15dBmとなっている。

並行輸入CPE510(工事設計認証非取得)のWIRELESS設定メニュー表示。Transmit Powerが最大23dBmとなっている。

ここで記された出力レベル(dBm)は、尖頭電力を示しているのか、帯域全体の電力を示しているのかの説明は無い。工事設計認証に記された電力は単位帯域(1MHz)あたりの電力で表記されている。


まとめ
@非認証品(並行輸入品)のCPE510は周波数帯域の違いと出力電力の違いで国内では使用できない。
A認証品と非認証品は同じ5GHzでも帯域が異なり通信出来ない。
B両者は外観では区別出来ず、認証シールで判断するかWebサーバーを覗くしかない。
C法令順守と混乱を避けるため、必ず認証品を使用しなければならない。
Dネットショップでは非認証品が届く可能性が高く購入時に確認が必要。
E知らないで非認証品を使用した場合、速やかに停波するとともに設備から撤去する。
Eアマチュア無線家は無線従事者であることを忘れてはいけない。

*総務省資料:総務省電波利用ホームページ
*総務省資料:3000〜10000MHz使用状況の詳細(平成31年3月1日現在)