Mini-Circuits DBM ADE-1を使った汎用DBMの製作

知人から譲り受けたMini-Circuits社のパッシブ型DBMADE-1を使って汎用のDBMを製作した。主な用途は周波数変換やヘテロダイン復調である。特にPCのFFTアナライザを使って自局の電波を測定するような場合は十分な入力レベルが得られるので妙な受信機を使うより遥かに精度の高いデータが得られる。またSSB波のモニターも同様で、DBM自身にはAGCの様なエンベロープ制限が無いので、信号源の様子が正確に把握できる。また2波の位相検波にも使用が可能である。

(1)構 成
TAKACHのアルミダイキャストボックスTD 4-6-3N(60x35x60)にBNCコネクタ3個を取り付け、主役であるMini-Circuits社のADE-1を組み込む。各ポートRF/LO/IFはBNCコネクタでインターフェイスされる。
PCのFFTアナライザで復調出力を測定する場合は、RFポートに適度にレベル設定された被測定信号、LOにVFOからのシングルキャリアーを入力するとIFに復調出力が得られこれをPCのサウンドカードに接続して行う。この際HUMが乗りやすいので十分に絶縁・シールドされたオーディをトランスを挿入すると良い。 アルミダイキャストボックスは皿ビス4本で蓋を取り付けると完全密閉となる。一つ作っておくと各種実験に使用できるので大変重宝する。

(2)内部構造
グランドはプリントパターンに一括してベタアースするのが適当だろうが、500MHzまでのDBMのため幅3mm程のリン青銅板で各ポートに配線しリターン側はまとめてLOポートのBNCのアースラグに接地している。スズメッキ線を引き回すよりは良好な特性になる。パッシブ型と言っても各ポートの入力レベルには直線範囲と電力制限があり測定は必要最小限の電力で行う必要がある。

(2)その他
ADE-1の内部はダイオード4個によるリング回路であるが、内部詳細はMini-Circuits社のWebサイトで入手が可能である。メタルカンタイプに比べ小型であるが機械的に弱いので作業は慎重に行う必要がある。
アルミダイキャストボックスは手持ちの関係でやや大きめであるが、小型にすれば配線距離も縮まりf特も伸びるものと思われる。元々プリント基板上に配し、マイクロストリップラインで整合を取る構造であるので、この構造だとUHF帯では特性の暴れが予想される。ADE-1の能力を100%引き出すためにはそのような工夫が必要だろう。ただしHFで使用する場合や広帯域を必要としない場合は、このような配線で十分である。
こうした汎用のDBMがあると、受信機や送信機のミキサや検波器等に実験や測定で重宝する。