DDS-Kit(Direct Digital Synthesized VFO) Making for All Wave Radio Receiver

広島のウェーブ電子に依頼してあったDDS-Kit WH-002SHG-1が届いた。 写真は段ボール箱から出した部品取り扱い説明書と回路図。中身は「DDS-Kit」の他に「8桁7セグメントLED表示器Kit」も含まれている。DDS-Kitには機械式(クリック付き)ロータリーエンコーダが付属しているが、オプションパーツの光エンコーダも購入した。
このKitは現在製作が棚上げ状態になっているジェネカバ受信機のVFOとして使用する予定になっている。
早々に製作に取り掛かることにした。・・・実は少しは部品が取り付けてあるのかと内心期待したが、取り付けてあったのは心臓部であるANALOG DEVICESの高精度DDSチップAD9851BRSのみであった。したがってその他の部品は全て取り付ける必要がある。作業は大した時間は掛からないが、カラーコードや数字コードの読み方を知らないと一々変換表などを見る必要があり時間がかかると思われる。またある程度回路図や工作経験(半田付け等)がないとちょっと辛いかもしれない。また半田ゴテは大きなものは不要で15W程度のもので十分であろう。

凡そ2時間半格闘し基板部分が完成した。はやる気持ちを抑えきれず電源を供給したら写真の様に7セグメントディスプレイに鮮やかに数字が表示された。果たしてこれが正常動作なのかは未だ良く分からない。念のためウェーブ電子にこの写真とメールを送ってみた。その後返信が届き「正常である」旨の返事を貰い一安心
本来なら制御用のボタンやローターリーエンコーダをつなげなければいけないが、それは後日作業をすることにする。
写真中央の四角いメタルカンはTCXOのMTX-1625(30MHz)、その右にあるICがDDSチップのAD9851BRS、下は制御を司るコンピュータPIC16F877A。PICの右に空きスペースがあるが、これは2出力対応Kit WH-002SHG-2用のスペース。
DDS基板の大きさは128mmx80mm、ディスプレイ基板は138mmx25mmで程々の大きさである。これをEIAで2Uサイズのケースに収め大型のアルミ削りだしのノブで光ローターリーエンコーダを回す・・・発振系は現代の半導体の力を借りるが、アンプやミキサーは真空管を使ってみようか?、そしてLCによる同調回路を発振周波数情報によりサーボ駆動する・・・考えるだけで楽しくなる。

DDS本体の製作に併せ「8桁7セグメントLED表示器Kit」の製作も行う。昔の2.5mmピッチの部品類の半田付けには慣れているが、このように更にハーフピッチの1.25mm間隔になったICを基板に半田付けする作業がある。写真でLEDの2.5mmピッチに比べると、ICの1.25mmピッチはかなり狭い印象を受ける。半田ゴテ先の汚れを落とし、温度をやや低めにして素早く作業を行う。
このピッチで作業するのは、その昔文豪ミニ7SVワープロのマザーボードからアドレスバスとデータバスを引き出しHDDをつなげて以来である。他の部品も小さく、特に抵抗のカラーコードは暗いところではかなり読みにくくお日様に照らすような場面が幾度かあった・・・もう年か?。
また作り終えると14PinのDIPソケットが転がっていて???だったが、問い合わせるとTXCO用らしい。長く無線をやっていると基板上のTXCOやX-talは信頼性を上げるため直付けする習慣があってソケットは使わなかった。これは誤りというより、経験がそうさせたものである。
冒頭にも記したように、これらの作業にはそれなりに「半田や半田ゴテと対話」ができるレベルでないと組み上げが難しいかも知れない、と作ってから感じている。

写真は基板上のOUT-A1出力を同軸ケーブルで引き出しスペアナで測定した裸特性である(ウェーブ電子提供)。発生周波数は1MHzでスパン5MHzまでの様子が確認できる。高調波は-60dB以下に抑えられ、ノイズフロアも-85dB以下で非常に良好である。
高調波の影響が無い周波数構成をするか出力にLPFを併用すれば、不要輻射-85dB以下の良質な信号源を作ることが出来る。
率直なところこの値には驚きである。この特性をLCのVFOで実現しようと思ったら、可変範囲の制限や適正な帰還量調整、それに出力フィルタリングなど大変な努力が必要だろう。

写真は上記DDS-VFOを製作中(2005年9月現在)の受信機に組み込んだ様子。VFOの選択釦は自照式のSWとし、VFO_LEDランプをここに吸収させた。LEDパネルは前面をスモークドアクリル板で処理し大変見やすくなっている。大型のアルミ削りだしダイアルと光エンコーダのタッチは大変良好である。基板とLEDパネル・SW・光エンコーダ間はフラットケーブルでむき出しなので、これらを含めたシールドが必要と思われる。


★ウェーブ電子のDDS-Kitによる製作例

  1. DDS Unit for Collins S Line・・・JG1XLV/荒井氏
  2. DDS VFO for TRIO TS-700S・・・JK1VXE/石森氏
  3. DDSアセンブリの組み立て・・・JO1LZX/河内氏
  4. オールウェーブ受信機の実験・製作・・・JH2CLV/(オーナー)