1995年頃、一風変わったアンテナを米CQ誌で発見しました。その後GAPアンテナジャパンがあることを知り、直ぐ購入してテストしたのが上記のSWRデータです。殆ど無調整でこの状態を得ることができましたが、周囲の条件で値は変わります。この時のTRCVはIC-756ですが、アンテナチューナー無しでフルパワーが供給できました。
このアンテナは電気的には垂直ダイポール(確か?)ですが、構造は複雑怪奇です。その特徴は@低SWR、A低ノイズ、B給電線へのリーク、Cトップヘビー、D分布定数回路のかたまり・・・等が上げられます。
@低SWR・・・これは建ててみると直ぐ分ります、ButternutのHF-6Vなどは3.5MHzでは大変ナローですので、そのワイド感に驚きます。
A低ノイズ・・・同時に受信テストができるアンテナを立て、ローカルノイズのレベルを比較しますが、当然ゲイン異なりますので、ATTを入れフィールドに置いたTSGかフェージングの無い放送局で校正して比較します。最初はゲイン不足かと思ったのですが、これが意外と静かなのです。
B給電線へのリーク・・・慣れないとこれに悩まされます。ちょうど垂直アンテナの給電線のシールド表面にRFが逆流してくる現象と同じです。この対策には給電線に高μのフェライトビーズを通し、位置を微調してSWRを抑えます。垂直に設置するため、トップ側とボトム側とで構造が異なりますので、アンテナ自身で平衡状態を作れない事が原因と思われます。アンテナ直下でSWRアナライザで見てOKなのに、シャックに引き込みリグをつなぐとNGになる場合はこの現象が発生しています。フェライトビーズかコアによる、強力なコモンモードチョークにより、アンテナをRF的に絶縁する必要があります。
Cトップヘビー・・・このアンテナの悩みです。底部がしっかり固定されていない限り、一人での建柱は無理と考えた方が良いでしょう。ステーは必須ですが、メーカーは弾力のある化学繊維のステーを推奨しています。
D分布定数のかたまり・・・普通のアンテナや伝送路なら、j(複素数)の計算で何とか解が見つかるのですが、このアンテナはエレメントの中に同軸のスタブや固定コンデンサ等が封じられており???です。各バンドで低SWRを維持するために、巧妙に計算された分布定数がぶら下がっている模様です。
全体の印象・・・一本持っていたいアンテナです。ラジアルは不要ですので、ステーが張れるスペースがあり周辺の見通しが良い場所なら、VerticalやGPに勝る結果が得られる(経験より)と思います。
私は3.5MHz/CWで、VK9IRをこのアンテナでGetしています。但し電力は500Wです。