HL-2.5KFX(スタンバイSW/ON状態)で電源投入を可能にする方法(Jul 5, 2016)
意外と凝った造りのHL-2.5KFX
リモートシャック用発電機の実負荷試験をHL-2.5KFXで行っていた際、このHL-2.5KFXには想定外の機能があることが分った。 すなわちSTANDBYスイッチ(S2)を常時OPER(送信)にして電源を投入すると、OPER-LEDが点滅しディスプレイ上でSTANDBYスイッチを切るように促される。STANDBYスイッチがOPERでは通常起動ができず、ましてや送信への移行もできない。
電源投入時のSTANDBYスイッチは必ずOFF(受信)にしておく必要があることが分った。
これは、電源投入と同時に闇雲に送信しない安全策(設計思想)と思われるが・・・リモートシャックのリニアアンプON制御を電源投入行為で代替する考え方にはチト都合が悪い。
そこで、電源投入時から僅かな時間STANDBYスイッチOPREを遅らせる回路が必要になる。試しに電源スイッチとSTANDBYスイッチを手動で投入し、どの程度の時間差が必要なのか確認してみた。その結果正確な時間表現は難しいが、0.1秒程度(一瞬)の時間差があれば起動出来る事が分った。


この動作を確実に行うにはタイマーリレーが便利である。電源投入電圧(AC200V)でタイマーリレーを動作させ、遅延接点出力をSTANDBYスイッチ回路へ直列に挿入する。電源トランスのタップ端子(ネジ締め)からAC200Vをタイマーリレーに導き、遅延接点出力をSTANDBYスイッチまで導き半田付けで回路に挿入する。

余 談
この改修には余り関係のない話なのだが・・・。
HL-2.5KFXは大変良くできていると思うのだが、一つだけ残念なことがある。それはフロントパネル裏の狭いスペースとゴチャゴチャ状態である。スタンバイスイッチのリード線も直ぐ基板コネクタへ結ばれ全く余裕が無い。
何も改修目的で物を作られている訳じゃないとは思うが、手や指が入るスペースを確保して欲しいのは自作派だからだろうか・・・。

ダメ元で簡易方法を検討するも…
以上は最も確実な方法だがそこはアマチュア。何とかもっと簡単な方法が無いか回路図とにらめっこをするが、制御基板でいきなりロジックICへつながっている。例えばその回路にL(インダクタ)を挿入して波形を鈍らせたら遅延を作れないだろうかと原始的な発想。。
それで小型リレーの巻き線をインダクタ代わりに挿入してみた。しかし結果はNG。数百mHはあろうかと思うが全く遅延を感じない。どうやらこの回路は電流を殆ど流さず電圧的(Hi-Z)な制御をしている模様だ。

結局のところ…
この結果、ダメ元だったが前述の如く小型のタイマーリレーを内部に取付ける方法を採用することに決定。
写真はHL-2.5Kの内部。電源トランスのタップ端子の左側にAC200Vタイマーリレーが見える。
使用したタイマーリレーはOMRONのH3Y-2相当品のMax5秒の物だが、設定は0.5秒程度にしてある。
これでスタンバイスイッチをOPERで電源投入(本体スイッチONで外部電源投入)しても、通常に起動し送信制御を受け付ける状態になる。

○参考資料…GENERAL SCHEMATIC OF HL-2.5K…(タイマーリレー挿入ヶ所赤字)