HP/E5100B(ネットワークアナライザ)を復活させる(Aug 18〜Sep 20. 2015)
はじめに
ネットオークションでHP/5100B(10KHz〜300MHz)を破格でゲットした。 出展サイトでは立ち上がった状態のディスプレイを確認できたが、受領して電源を入れると電源投入時のブザー音(ビー)はあるものの、その後の動作が非常にクリチカルで出展サイトの様な表示(セットアップ完了)にならない。
当初は「やられたか!」と思ったが、この価格じゃこんなモノよ!と妙に納得し、楽しみながらの復活作戦が始まった。 先ず接触部分(コネクタ・ソケット・プラグ&ジャック・ICソケット・ICピン等)を疑い、考えられる接触部分は全て無水アルコール洗浄を実施。
電源投入時にコンピュータ特有のビー音が鳴る位だから制御動作は始まろうとしていると推測。現状を詳しく把握するために、2週間程かけて連日複数(数十回)の電源投入を繰り返し変化と傾向を記録した。
その結果明らかにSW電源の不良と確信。同じ電源ユニットを入手するのは難しいため、実負荷でアクティブティの低下する電子部品(主にケミコン)へ通電によるカツを入れ、VGA負荷の接続解放を施すことで安定動作を復活。
非通電により電子部品が一時的な特性劣化に陥り、クリチカルな動作を誘発していたと考えている…全くアナログの世界だ。これ、デジタルから入った人には中々理解されない。
部品又は電源ユニットの交換が好ましいが、当面は運用面(定期的通電)で凌ぎ様子を観ることとした。
受領時の状況
@電源投入と同時にビー音(ブザー)
Aディスプレイが真っ白になり停止、この時SW電源がジー音を発する
B真っ白から真っ黒(ソフトキー枠有り)になるが停止
C真っ黒に装置名・HP社ロゴ・ソフトVer表示がされるが停止
D表示のあとFAUT表示がされ停止
E稀にソフトが起動するが、キー操作中にFAULT表示がされ停止
F一度FAULTが発生すると、電源再投入してもBA@他の後いきなりFAULT表示がされ停止
G電源を切り完全放電させ且つ常温状態から操作を開始すると上記を繰り返す
Hこれらを根気よく1日数十回繰り返す事で状況に変化が現れ出した
I正常起動するときのブザー音は、電源投入時ビー、ソフト起動時ビービー、起動完了時ピーと3度鳴る

*E5100Bは分解し、制御基板上のソケットLSI全数の抜き差し、スロットコネクタの抜き差し、無水アルコール洗浄を実施

写真は100%起動するようになったE5100B。後述の金石舎XF-429(11.2735MHz)の特性、LOG MAG/DELAY/PHASE/Imを同時表示している様子。


E5100Bを分解する
背面のビス6本と、左側面のキャリーハンドルのビス2本を外すと、ロの字型のケースを後方へ抜くことが出来る。
更にフロントパネル左右のビス2本ずつを外せばフロントパネルが取り外せる。この時フィルム式のフラットケーブルにストレスが加わり易いので注意する。
ディスプレイはフロントパネル内側より、上側はハメ込み2ヶ所、下側はビス2本で固定されている。実はこのディスプレイ、当初より上側ハメ込みが外れた状態でビス締めされていた。したがってパネルエスカッション窓にセンターリングされず、下方にズレていた。これは前オーナーが何らかの操作をしたものと思われる。ディスプレイ表示が可笑しいので分解して調査したとか…色々と想像が巡る。


内部基板のレイアウト
カバーを外すと真っ先に見える光景。 一番左が電源で、側板に直接ビス止めされている。
その右側はスロットになっていてオプション用を含めて11ある。
実装は7スロットで、内訳は制御系で3スロット(A1/A2/A3)、RF系で4スロット(A24/A26A/A26R/A26)である。


制御基板のLSIの接触確認
使用条件や環境にもよるが、経験的にコネクタやソケット類の接触不良は数多く体験している。スロットのコネクタ、基板上のメモリカードのコネクタ、LSI類のソケット、配線用のコネクタ…至る所にある。
特に発熱の多いデュアルインライン型のICでは、運用と停止の繰り返しで、ICピンが膨張と伸縮を繰り返し、ソケットから飛び出してくる現象もある。
今回は全スロットの抜き差しとA1〜A3ユニット上のLSI類の抜き差しと押し込みを実施。
写真は専用の引き抜き工具でメモリICを抜いている様子。


FAULTメッセージ例
PROTECTION FAULT sp=201be040 ip=100608b0 rip=10060998 pc=001f0003 ac=33101004 running is sc8_par

PROTECTION FAULT/OPERATION FAULT/BAD ACCESSのメッセージが発せられると、Key及びソフトKey操作が出来なくなりハングアップ状態に陥る。

OPERATION FAULT sp=201be040 ip=100608b0 rip=10060998 pc=001f0003 ac=33001004 running is root

OPERATION FAULT sp=200098c0 ip=100b7764 rip=100b7c24 pc=001f0003 ac=33101002 running is basic

セットアップ時に表示される「E5100B REV3.11:Arp 3 1998 copyright c 1995-1998 by HEWLETT-PACKARD COMPANY」の上にかぶせて出ている。
このFAULTは、電源投入時の白画面から表示されることもあり、タイミングを選ばない。ハードウェアの不調を予告させる。

BAD ACCESS sp=20009880 ip=1006049c rip=100606d4 pc=001f0003 ac=33101004 running is sc8_par


電源投入〜セットアップ完了まで正常時のディスプレイ表示
電源投入時、ビー(Bee)音と同時に一瞬白画面。
0秒。

ディスプレイの枠表示。
1秒経過。

E5100B REV3.11:Arp 3 1998 copyright c 1995-1998 by HEWLETT-PACKARD COMPANY。
5.5秒経過。

Self Test In Progress。
20.5秒経過。

RECALLING "B;AUTOREC.ALL" FROM DISK、終わりにビービー(BeeBee)音。
32.5秒経過。

測定グラフ上に再びE5100B REV3.11:Arp 3 1998 copyright c 1995-1998 by HEWLETT-PACKARD COMPANYが一瞬表示されピー(Pee)音と共にセットアップが完了する。
40秒経過。


VGA端子に外部ディスプレイを接続
背面にVGAコネクタ(15Pin)があり、PC用のディスプレイを繋げば本体ディスプレイと同じ映像が表示出来る。

これは直接的な因果関係は無いと思うのだが、電源投入時のディスプレイ(白画面と音)が発振気味な感じ(映像技術経験者の目と耳で観て)がするため、負荷が軽いかもとVGA端子へ外部ディスプレイを繋ぎ終端した。すると発振気味だったディスプレイ表示が安定し、音も静かになった経緯が有る。それを機にE5100Bの動作が安定領域に入った。
関係が有ったとすれば、発振で電源が揺さぶられ、他の制御系回路に影響を与えていたとか…たまたま復旧するタイミングだとは思い難い。回路にはヒステリシスがあり、一度復活してしまうとそれがデフォルト状態になったりとか…特に発振回路では。アナログ的な発想って実に面白い。あながち外れでは無いかもだ…。


クリスタルフィルタf特測定風景
手元にあった日本電波工業のクリスタルフィルタYF300Dのf特測定風景。
1980年頃、名古屋のアメ横ビルのボントンラジオで買ったものと記憶している。300KHzで500Hzのモノだが、非常に良い特性を示している。
右の波形はクリックすると拡大します。



金石舎のXF-429(11.2735MHz)の測定風景。
CB無線機のSSB用だが、6dB程度のリップルがある。
確かにSSBにはなるが、もう少しフラットな特性が欲しい。
もう30年も昔の話だが、余剰品が大量に市場に流れていた。
自作のSSBトランシーバに良く使ったものだ。
この周波数になると、測定端の静電容量で裾の特性が大きく変わってくる。
しかし腐ってもクリスタルフィルタ、LC共振のフィルタでは、この周波数ではとてもこのような特性は得られない。
ちなみに前項も含め負荷は50Ωとしているので、特性はメーカー発表とは異なるかも知れない。




もう1つのネットアナとのツーショット
実はこのHP/5100Bと同時にADVANTEST/R3754B(10KHz〜150MHz)も入手。こちらは当初より正常動作している模様。
ベクトル表示が可能でHP/5100Bとは一寸趣を異にするが、写真下のADVANTEST/R3765H(40MHz〜3GHz)を所持していることもあって、慣れもありこちらの方が使い易い。