中間周波トランスIFT(Coil)の2次側は直列共振
あるWebの解説記事でコイルの1次側と2次側の振る舞いについて書いてあった。それによると「2次側は共振時にインピーダンスが最大となる・・・」旨の内容だったが、果たしてその説明で十分だろうかと疑問がわいてきた。図は誤解を招かないように説明するものである。共振のためには一定の周波数の電力を持った信号源が何処にあるかを考えなくてはいけない。そしてその信号源に対しL(Coil)とC(Capacitor)がどのように接続されているかで「並列共振」か「直列共振」かが決定される。
さて図では中間周波トランス(IFT)を例に取り上げて説明している。IFTは一見するとコイルとコンデンサが並列に接続されているから、1次側も2次側も「並列共振」と誤解されている方が結構いらっしゃる。そこで前述のように何処に信号源があるかを考えて見る。1次側については、明らかに信号源eに対してL1とC1が並列に接続される。ところが2次側はL2とC2は1次と同様に接続されているが、信号源を探すとそれはL1との相互誘導Mにより発生するe'がL2内部にあることが分かる。したがって2次側は信号源e'に対しL2とC2が直列に接続される事になる。
ここで冒頭の話しに戻るが、並列共振が「電流共振」と呼ばれるのに対し、直列共振は「電圧共振」と呼ばれる。共振時はL2とC2を流れる電流は最大になるから、信号源から見た共振回路のインピーダンスは最小になる。別の表現をすると、L2とC2両端の電圧は最大になるが、位相は180度ずれているため信号源から見ると電圧は最小になる。この場合信号源はL2内部にあるため、実際にはL2両端の電圧測定は信号源を含んでしまい分離困難であるから等価回路による説明になる。
という事で結果的には共振により目的周波数を最大電圧で取り出す事が出来るのであるが、1次と2次では全く異なる共振原理に基づいているので注意しなければいけない。なお直並列変換により動作点(ピンポイント)を等価的に並列共振に置き換えて説明する事も出来る。