TVI対策用RF絶縁(アイソレーション)トランスの試作 (May 17, 2006)
1KW程度の高出力をアンテナに接続するとTVチャンネルや送信バンドに関係なくTVIが発生する場合がある。当然だがダミーロードでは発生しない。
この場合TV受像機の能力によっては内部の映像回路へ直に高周波が流入し映像障害(偏向サイズ変動・カラービート等)が発生する場合がある。高周波の流入は電位の低い方に流れ込んだり流れ出たりする場合や、同軸ケーブルとTV受像機を含めた線路共振を起こしている場合などがある。これらは同軸ケーブルのシールド側やACラインのバイパスコンデンサから筐体に流れ込んでいるモノが殆どである。そこで何らかの方法で侵入路を断ち切ればこうした障害は回避する事が出来る。
一番手っ取り早く確実な方法としてアンテナ入力に絶縁(アイソレーショントランス)の挿入をお勧めする。写真はその実例で、それぞれ1又は2Tの入出力コイルを#43材フェライトビーズで結合させたものである。入出力のSWRは小型になるほど良好で、最下のフェライトビーズ(FB-801)1個の場合、100〜500MHzに渡りSWR≦1.5に収まっている。アンテナからの信号はアンテナ端子に供給されるが、同軸ケーブルのシールド側からの侵入の多くはトランスで絶たれTV受像機には影響を与えなくなる。ただ両コイルの間隔は入出力の静電容量に影響するので注意。
写真の上は大型のメガネコアを使用した1T巻きでBNCコネクタ処理、下はFB-801を使用し2T巻きFコネクタ処理した物である。ケースはプラスチックで、もし金属ケースを使う場合は片側のコネクタは筐体から浮かせる必要がある。

写真は上記のFB-801を使用したもののクローズアップである。TV受像機対策で使いやすくするために小型プラスチックケースに収めFコネクタ処理している。0.6mm/UEW(ポリウレタン銅線)を入出力で2Tずつしている。
この程度の仕掛けでも、同軸ケーブルに多量のフェライトコアを挿入(或いは巻き込む)するより簡単にアイソレーションがとれ劇的な改善が期待できる。