JRCのハンドマイク(Jun 16, 2009)
1997年頃に入手したJRCのハンドマイクが2個、使用する事無くダンボール箱で眠っていた。訳あって探し出す事になったが、この間に転勤や引越しもあって行方不明状態。中々思い出せなかったが何気なく開けた箱の中に、同軸や音声ケーブルに埋もれていたのを発見。カールコードが量的に支配的だからここに入れたのだろうか、と思いながら12年振りに手に取る。その訳とは8Pコネクタ処理を行い無線機で使える状態にすること。そしてRACALのトランシーバTRA3755の専用マイクに出来ないかと・・・。
写真の左はJRCのUMFD-135(コンデンサ型)、右はUMFD-15B(ダイナミック型)。
UMFD-135はJRCさんからQSYして来たモノ。当時の目的はマイクににはあらず、コネクタとケーブルにあった。あるJRC無線機を外部から制御するためにマイク内部の配線は外されていた。内部配線を戻しコネクタを8Pメタルに交換した。RIGのMICラインからの電源重畳(8V)でバイアスを掛けている。
UMFD-15Bはスピーカー&マイク。大型で握り甲斐がありガッチリしている。これはある無線システムに使われていたがJRCオリジナル・コネクタではなくシステムのアセンブルメーカーによりXLR型に変更されていた。スピーカーを変換トランスを使ってステップアップしマイクロフォンに流用する方式は少年時代のCBトランシーバを思い出させてくれる。PTT-SWには2極双投が使われ一つは送信制御(スタンバイ)、もう一つがスピーカーユニットを受信スピーカーと送信マイクに切り替えている。また前面にTx表示のLEDがあるが、オリジナルでは外部の電源供給で点灯させているが、ここではRIGからの8Vを1KΩの抵抗を介しPTTラインへ接続した。コネクタは標準の8Pメタルに交換。
左図はUMFD-15Bの回路図。現物を見ながら書き出してみた。「改」としている理由は、Tx表示用RedLEDの部分がオリジナルと異なるから。LEDには元々トランシーバ側から送信時LED点灯用電源が供給されていた。いわゆるTx-Tallyだ。ところがアマチュア無線機にはこのような考え方は無い。そこで8Pコネクタに標準で装備される8Vを利用し、電流制限抵抗R1を追加してPTT-SWでON/OFFするようにした。それ以外はオリジナルのままである。T1は8ΩのSP出力をステップアップして数百Ωにするもので電圧利得がある。トランスは10mm立方大だが詳細は不明。左の数字は8Pメタルコネクタのピン番号でicom製品に準じている。
下図はUMFD-135の回路図。こちらも現物を見て書き出したもの。マイクユニットはコンデンサ型で8PコネクタのMICライン重畳の電源でバイアスされている。他に電源を別供給しマイク出力をDCカットする回路も組み込まれている。
ハンドマイクコレクション
個人的にはハンドマイク大好き人間(もちろんスタンドやブームマイクも大好きだが・・・)。ハンドマイクを嫌う向きのOM氏もいらっしゃるようだが、この便利さは中々手放せない。音は運用面(アレンジやエンベロープ管理)でカバー。最近のDTMFマイクに至っては純度の高いツートーンやシングルトーンの発生も可能で見逃す手は無いと考えている。
上記のJRCの2機種と単身赴任先で愛用中のicomのDTMFマイク2機種を並べてみた。
写真は左からicomのHM-118TN(2009年現在製造中止)、上がicomのHM-154T(HM-118NTの後継)。両者ともDTMFマイクであるが、PTTの感触はHM-118NTが良い。HM-154Tはやや重くリアクションが分り難い・・・もっともこれは個人的な趣味の問題の範囲だが・・・。
これ以外にDTMFマイクとしてHM-14を四半世紀以上も使用している。こちらはテンキー面とマイク面が裏表の関係に位置する。
写真から見るとJRCのマイクの大きさが良く分かる。ちなみに中央のUMFD-135は重量感を出すためと思われる鉄板が内部背面取り付けらている。そこまでやらなくても思うのだが、その理由を想像するのも面白い。
スピーカユニットをマイクに流用したUMFD-15Bはオフ(距離を離す)で使うと明瞭度が落ち使い物にならない。しかし、口元にマイクを当てて使うと、いわゆる「通信機トーン」になりナローレンジだが一気に明瞭度が上がる。アマチュア無線向けの音作りとは趣が異なり、JRCの通信に対する考え方が見えてくるようだ。一方UMFD-135は比較的新しい事とコンデンサであるため今流の音だが、icomと比べるとやや歯切れが悪い印象だ。