直流電流計(KuwanoTRM-55/DC1A)の修理
GU-74Bのリニアアンプで使用していたKuwano製DC1A電流計が動かなくなっていた。高圧電源のリターン回路に挿入してあったものだが、プレート側のスパーク(瞬間地絡)で分流器が吹き飛んでしまった。Kuwano社のご好意で分けて頂いた分流器を取り付けたがウンともスンとも言わない。良く見ると可動コイルに給電する渦巻きバネが破断している。これじゃ動くはずがない。そのまま放置して半年、ようやく重い腰が上がり修理する事になった。前面のアクリルカバーを外し、渦巻きバネを慎重に電極に引っ掛けハンダを流し見事復旧。ゼロ調整も何とか可変範囲に収まった。しかし未だ動かない・・・。それでテスターで背面の端子から可動コイルまでの通電を試みると片側が断である。次に両面テープで貼り付けられている目盛り板をカッターを挟み込んで外した。写真はこの段階のもの。中を見てビックリ、中には更に分圧器用の抵抗器があってこいつが破断している事が分かった。抵抗値は240Ω(誤差1%級)であった。この抵抗を交換する事で回復の見込みが立った。ラジオ少年にとって計器(いわゆるメーター類)は大変高価なものであった。今はそんな時代じゃないのかもしれないが、このように吹き飛ぶ場所は大体決まっているのでその気があれば直ぐに復元できる事を覚えておくと良い。可動コイル自身が飛ぶケースは余り無い。なぜならコイルは自己誘導により電流の立ち上がりを抑える効果があるためである。したがって殆どの場合は可動コイルへのリード部分である。このような事を体験したり考えたりしていると、電流計の安全な挿入箇所や保護に興味が発展して行く。