GU-74B/144MHz/GKアンプの高調波とローディングの関係

Making Goodsコーナーで試作したGU-74B/144MHz/GKアンプの高調波特性をとってみた。この際ローディング(負荷との結合状態)を意図的に変えその違いも確認した。ローディングの違いはIsg値を見て行ったが、出力はローディングにより600W〜550Wの中で変化している。エキサイターはIC-706MKUG、周波数145MHz、電波形式CWとした。
測定器はスペアナE4411B/Agilent、CM型方向性結合器MP520P/アンリツ、パワー計WV-4/DRAKE、ダミーロードは乾式+自作同軸ATTを使用した。なお方向性結合器は+6dB/octの周波数特性を持っているため、スペアナの高調波はその分高く表示される。またスペアナはPowerAverage100モード(一定時間の電力平均)で計測している。以下各段階のスペアナ表示と若干のコメントを記した。


Isg=15mA時の特性(600W出力)・・・600W出力になるようにドライブレベルとプレート・ロードのチューニング行った状態。この時Isgは15mAを示した。2次・3次高調波の表示は共に-26dB程度であるが、方向性結合器のf特補正をかけると、2次=-32dB、3次=-35dBとなる。したがって4次と6次が-60dBで表示されているがこれは殆どノイズレベルとみなせる。


Isg=20mA時の特性(600W)・・・ロードVCを抜いて行くと4次以降の高調波が一斉に顔を出してくるのが面白い。出力は600W程度で余り変化は無い。また表示上では2次より3次のレベルが高くなって来る。f特補正した値は、2次=-34dB、3次=-33dB、4次=-65dB・・・となる。


Isg=0mA時の特性(550W)・・・ロードVCを戻し今度は入れる方向に回しIsgを0mAとした状態。この時の出力は約550Wに低下。確認出来るのは2次=-25dBと3次=-29dBのみで4次以降はノイズレベルである。f特補正をかけると2次=-31dB、3次=-38dBとなる。


Isg=20mA時の特性(1KW)・・・1KW出力になるようにドライブレベルとプレート・ロードのチューニング行った状態。この時Isgは20mAを示した。表示は2次=-24dB、3次=-21dBであるが、方向性結合器のf特補正をかけると、2次・3次共-30dBとなる。また4次以降は-65dB以下である。


エキサイターの特性・・・IC-706MKUGの15W出力時の特性。2次はノイズレベルだが3次=-58dBが確認できる。f特補正をかけると-67dBでノイズレベルである。出力を上げて行くと2次が顔を出してくるが、50Wでのレベル表示は3次を上回る事は無かった。

注意・・・出力タンク回路は並列共振でタップダウンによる直列給電である。したがってHFや50MHzで多用されるπ型やπL型等と異なり本質的にローパスフィルター効果は無い。運用にあたっては高調波対策としてローパスフィルター或いはノッチフィルターの併用が必須と言えよう。